切らない眼瞼下垂手術・その5


 眼瞼下垂手術についての私のポリシーは→こちら

 切る眼瞼下垂手術については、機能的な問題がある場合には、形成外科の専門医の先生が、保険診療で丁寧にやってくださるところが多いので、そちらに紹介することにしています。
 くれぐれも、保険診療で済ませられるものとまったく同じ仕上がり・内容の手術を、自由診療の美容外科価格で買わされるなんてことのないように御注意ください。

 切る眼瞼下垂手術を非保険の自由診療でメニューに掲げているところは、それだけで不誠実と判断していいです。
 
 さて、「切らない眼瞼下垂手術」は、真崎先生という方が考案した方法ですが(→こちら)、手軽でよい方法であるにも関わらず、普及していません。形成外科や眼科の先生がたにもっと知っていただき、将来的には健康保険適応がなされると良いのになあ、と思います(その価値は十分あります)。

 当院の宣伝というよりも、その普及キャンペーンの一環として、再び症例を紹介させていただきます。写真使用に御諒解いただきましたお客様、有難うございました。

 まずは、この方。
右目(向かって左)は、近所のクリニックで「切る眼瞼下垂手術」の施術を受けています。下垂は上がったのですが、手術時間が長く、局所麻酔でとても怖い思いをしたので、反対側(向かって右)は施術を受けるのを止めた、という方です。うちのお客様のご紹介で、その方に付き添われて、いらっしゃいました。

 下の写真は、施術されていなかった左目(向かって右)を、タッキング(切らない眼瞼下垂手術)で上げたところです。
片目だけやった直後というのは、このように左右差が極端に出ます。この方では起きていませんが、反対側の下垂が強調されることもあります(ヘリングの法則)。数時間~数日でおさまって、だいたい左右が揃うので、ちょっと経過を待ってください。

 下の写真は二ヵ月後です。
開いた眼が左右ほぼ同じになっています。
 これは、糸がゆるんだのではなくて、眼瞼下垂とともに奥に引っ張り込まれていた脂肪が、引き出されたためです(→こちら)。この方の場合、ほとんど戻りはありません。
右目(向かって左)は「切る手術」の結果で、左目(向かって右)は「切らない手術」の結果です。
 黒目の開きを比べれば、この方の場合は、「切らない手術」が「切る手術」とほぼ同等の効果があったことが判るでしょう。

 全ての方で、このような結果が出るとは限りませんが、症例によっては、この「切らない眼瞼下垂手術」は本当に有用だと思います。「最初からこの方法でやってもらえばよかった」と繰り返しおっしゃっていました。

 もうお一方、御紹介します。
一見、眼瞼下垂は無く、黒目はしっかり開いているようですが、眼の上の窪みが強く、額に横皺が寄っています。
眼を閉じると、上の写真のように、額の横じわは少なくなります。
 ということは、おでこの筋肉(前頭筋)を用いて、一生懸命眼を開けている状態です。

 タッキング手術をして3日後です。
眼の上の窪みも引き出され、涼しげな眼になりました。綺麗な仕上がりです。効果の出るかたは、タッキング手術だけで、これだけ変わります

 眼を閉じたところ。
おでこの皺も、眼を開け閉めしても、変化がありません。おでこの筋肉を使わなくても、目が開くようになったからです。

 しかし、残念なことに・・このお客様、どうしても違和感や白目の充血が気になり、このお写真を撮らせていただいたあとで、糸を外しました。

 右目(向かって左)は、まったく何ともないそうですが、左目(向かって右)が、どうしても気になるそうです。見た目にはまったく問題無いのですが・・。

 糸がうまくかかって、眼の上の脂肪がしっかり引き出された結果、慣れるまで数日~2週間くらいのことなのですが、違和感や鈍痛、白目の充血(この方の場合は、上瞼をめくってみるとわかる程度のものなので写真ではわかりません)が起きることがあります。
 その期間をやりすごしてクリアすれば、違和感や他の症状も無くなるのですが・・

 元々眼のぱっちりした方で、出来栄えが良かっただけに、術者としては残念ですが、糸を外しました。糸を外せば、すぐに違和感はなくなり、見た目も翌日には、まったく元に戻ります。

 一年以内でしたら、無料で再手術しますので、気が変わって、またチャレンジしていらしていただけるといいのですが・・。

 性格の良いかたで、眼周りの写真のブログでの使用は、快諾いただいていますので、こういうケースもあると、こうして、御紹介できる次第です。

 ただ、まあ、こういう美容若返りの施術というのは、「やらなくても、生きていくのに不都合でもない医療行為」ですので、お客様の価値感・考え方最優先です。

 ときどき、タッキングの「切らない眼瞼下垂」手術では、こういうことがあります。二重の埋没法もそうですね。見栄えよくできても、何らかの理由で「やっぱり外してください」と言われることはたまにあります。

 笑顔で応じるのですが、内心「もったいないなあ・・」と思います。やっぱり、お1人お1人、皆、私の「作品」ですからね。愛着はあります。
(2012年3月2日記)