来年の抱負


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は1月10日でいっぱいになりました。次のご予約受付日は2月1日(水曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年9月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

1 胸のスプリング糸での引き上げを、ナグモクリニック名古屋院の山口先生との共同研究で10人ほど施術する予定です。またここに告知します。

2 アトピー性皮膚炎の萎縮した皮膚(首や肘)にPRPが有効かどうかの検証を行います(→こちら)。こちらも10例。

3 もう一つ、アートメイク用色素を国内生産しようと画策しています。私の中での以前からの懸案だったのですが、来年一月に、池田先生が「医療アートメイク学会」を発足させ、そのことで厚労省と交流しておられるようなので、この機会に厚労省の理解を得て、製作しようと考えました。

なぜ、厚労省の理解が必要かというと、アートメイク用の色素は、皮内に埋め込むものなので、化粧品の範疇を越えて、医薬品扱いになると考えられるからです。
しかし、一般医薬品と同じ扱いで申請するとなると、巨額の資金が必要となり、現実的ではありません。医薬品としての認可は下りないまでも、後になって「薬事法に違反する」と言われない様に、厚労省に説明しておく必要があります。
 
アメリカでは、アートメイク用の色素は医薬品ではありません。化粧品です。なぜかというと、外見を改善し魅力を引き出す目的であるからです(The FDA has considered intradermal permanent makeup to be cosmetics because they are applied to the body for the purpose of altering appearance or promoting attractiveness.)(→こちら)。
同じ理由で、アメリカではアートメイク施術は医療行為ではありません。アメリカではアートメイク施術は各州が施術免許を発行して管理しているようです(The application of permanent makeup (and tattoos) is regulated as a commercial business in most states, requiring licensing and/or registration by most state health departments.)。
FDAはいかなるアートメイク用色素も承認してはいません(No pigments are approved by the FDA for use in permanent makeup.)。

さて、ここからが本論です。日本ではアートメイク施術は医療行為とされており(→こちら)、医師免許のない者の施術が警察に取り締まられるようになりました。私も含め美容系の医師たちは、これを新しいマーケットと考え、施術メニューに取り入れるところが増えています。
一方で、使用する色素はというと、アメリカなど海外からの輸入に頼っています。これでいいのでしょうか?
海外の色素は化粧品扱いですが、日本と異なり、成分開示の義務がありません。何が含まれているのか、まったく解らないままに施術が行われているわけです。無資格者が施術している時代にはそれで通ったでしょうが、医師が医療行為として施術するからには、成分を把握しておくくらいは最低限の倫理です。
「現状大きな問題は生じていないようだから、いいじゃないか」という楽観的な意見もあるかもしれませんが、そうでもないのです。実例があります。
1988年から2003年までの5年間に、FDAに寄せられたアートメイクの副作用報告はたった5件でした。ところが2003年には150件以上の副作用報告がありました。調べていくと、それらはPremier productsという会社が製造した色素を用いていることが判りました。
製品はリコールされましたが、原因となった成分の特定には至らなかったようです。The new England Journal of Medicineという医学雑誌にも掲載されています(→こちら)。
メーカーに成分表示の義務がないということは、内容の変更も可ということですから、原材料調達や仕入れなど何らかの理由で成分変更が行われることもあり得ます。ですから、これまで問題がなかった製品だからといって、今後も安全が保障されているというわけではありません。
ここに、私たち医師が、成分のはっきりしたアートメイク用色素を製造することの大義があります。
 
蛇足かもしれませんが、私はアートメイクやタトゥーを掘る作業そのものは、技術やデザインに優れている方であれば、医師免許を持っていなくてもよいと考えます。ただし、医師の監督というか、管理は必要だと思います。将来的には、アメリカ各州で発行されているようなライセンスを取得した施術者が、医師の管理の下で働けるようになるのが最善です。
 
さて、大きな風呂敷を広げましたが、実際にアートメイク用色素を試作し始めて、ちょっと頭を抱えています。私は、現在はプチ整形専門の美容医師ですが、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医ですし、以前は接触皮膚炎学会や日本アレルギー学会の会員でした。化粧品関係のアレルギーに関しては、Fischer’s Contact Dermatitisというバイブルのようなデータベースがあります。成分をこれに一つ一つ照らし合わせて、アレルギーを起こしにくい色素を調合すればいいくらいに考えていました。

ところが、問題が浮き上がってきました。それは「肉芽反応」です。異物に対して組織が反応して、増殖して盛り上がってくる現象で、これはそもそもアレルギーではないから、接触皮膚炎のデータベースには無いし、そもそも化粧品というのは肌の上からつけるものなので、皮内に注入した時の反応に関してはまったく未知です。

肉芽反応というのは、成分(物質)によって起こしやすさが異なるようです。起こしやすい代表的なものには、例えばシリコンやアルミニウムがあります。
アートメイク用の色素を、複数の化粧品製造メーカーに試作をお願いしたのですが、メイク化粧品に強いある会社から「色素はシリコンコーティングされたものを用いますから、直接組織と接触しないので安全性が高いと思います」と言われてぞっとしました。なるほど、メイクに用いる色素というのは、お肌への乗りや触感を大切にしますから、シリコンコーティングするメリットは大きいでしょう。しかし、アートメイクには不適です。

幸いにもネット上で英語サイトですが、基本的なアートメイク用の色素の成分表示が見つかりました。これを参考にして、一つ一つ吟味していくしか無さそうです。
しかし重要なことですから、なんとか試作にこぎつけようと思います。
 
試作したあと、実際に人に施術するのは、誰に行えばいいでしょうか?わたしは来年58才、だいぶ頭髪も薄くなってきました。
「ここの前髪の薄くなった辺りに施術して、色具合とか実験すれば一石二鳥でいいんじゃないかな?」
「先生、その薄くなったところ、3年後も同じように毛が生えているとは限らないのよ。」
なるほど、今は薄くなったところが色がついてちょうどいいと思っても、将来禿げ上がってきたときにその箇所だけ落書きみたいに色素が出てきたらさすがに恰好悪いです。
スタッフはじめ色々な人に相談しながら、来年も新しいことを開拓していきたいと思います。
 
Dance before the music is over, live before your life is over.(音楽が終わらないうちに踊りなさい。人生が終わる前にしっかりと生きなさい。)
(H28.12.29記)

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継

切らない眼瞼下垂手術・その6


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は12月2日でいっぱいになりました。次のご予約受付日は1月5日(木曜日、10:00-18:30)です。7ヵ月後の来年8月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

現在、クリニック混んでいて、目回りの手術のご予約は休止しています。休止してはいるのですが、昔の知人が久しぶりに現れて、重そうな瞼を一生懸命挙げているのをみると、ついつい声をかけて施術してしまいます。
左眼の眼瞼下垂が著明です。目の上がくぼんで四重五重になっていて、額の筋肉を使ってがんばって目を開けているため、眉が上がって額にしわが入っています。

下は、開院祝いで来てくれた13年前の写真。もう13年会ってなかったんだなあ。。振り返ってみると、このころから、左眼瞼下垂の兆しはありましたね。

 一針、5分で手術は終了します(→こちら 注:動画は施術の解説で別の人です)。術直後の写真がこちら。

下の写真は、12日後です。戻りがないので成功です。この施術は、誰に対しても必ず成功するというものではないですが、1週間たって戻りが無く、痛みや違和感もなければ成功です。効果は永続します。

 それで今回思いついたことがあって実践してみたんで、ここからが本論です。この施術、一見うまくいったようでも、目の裏側からナイロン糸を通して引き上げるので、糸の断端が角膜に細かいひっかき傷のようなものを付けることがあります。症状はとくにないのですが、たまたま眼科で検診受けたときに指摘されてびっくりして問い合わせを受けることがあります。

糸を外してやり直せばよいだけのことですが、施術した後、一回眼科を受診させて診てもらっておいたらどうだろう?と考えました。角膜の細かい傷っていうのは、肉眼では見えません。眼科でスリットランプという機械で確認するのが一番確実です。

=====
〇〇様ご紹介申し上げます。左眼瞼下垂に対して、上瞼結膜側から糸を刺入し、ミュラー筋・挙筋をタッキングして引き上げるという施術を行いました。この施術では、ときに糸断端が角膜に当たって細かい傷をつけることがありますので、眼科での術後の確認が望ましいと考え、ご紹介申し上げました。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします
=====

お返事はすぐ来ました。
=====
本日診させていただきました。角膜に傷はありませんでした。ご紹介ありがとうございました。
=====

これですっきり、安心して手術終了です。「切らない眼瞼下垂」の手術をするときには、術後の眼科検診をセットにするのが合理的ですね。

さて、そう考えたとき、この手術、そもそも眼科でやったほうがいいのじゃないだろうか?と考えに至りました。
眼科で保険診療で眼瞼下垂の手術に力を入れているところはあまりないんじゃないかと思います。それは、切開して行う手術の場合、時間や経費を考えて、採算が合わないからだと思います。
それに比べると、この「切らない眼瞼下垂」手術は、時間も手間もかかりません。保険診療で眼瞼下垂の手術をするにあたって、術式まで指定されているわけではないから、この術式で保険請求したってよいのではないでしょうか?ここは、解釈の問題なので、私が勝手に決めることではないのですが。

東京では、うちに勉強にいらっしゃった眼科の女医さんが、すでに施術メニューに入れています(→こちら)。

私が教えたのだから、うちとほぼ同じやり方です。関東方面の方、よかったら行ってみてください。ただし、この施術、加齢による眼瞼下垂にしか効きません。若い方の先天性(うまれつき)の眼瞼下垂には効きませんから、ご注意くださいね。

この施術習得したいという眼科の先生、いらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください。上述したように、現在うちで予約は受け付けていませんが、どなたか患者さんおひとり連れてきていただければご教示いたします。
(2016/12/24 記)

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継

ヒアルロン酸注射で失明させないために(その6)


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は12月2日でいっぱいになりました。次のご予約受付日は1月5日(木曜日、10:00-18:30)です。7ヵ月後の来年8月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

前回、針を工夫して試作品を作ってみる話まででした(→こちら)が、試作品ができたので、浜松にある動物実験施設をお借りして、ウサギの耳で実験してみました。
今回は動物実験のお話なので、苦手な方はご遠慮ください。法令を遵守し、目的を明確にして倫理委員会の承認を得たうえでの実験です。ヒアルロン酸注射による失明という重篤な事故を回避するための、真面目な取り組みです。

試作した針はこちら。

設計通り、先端から少し離れたところに小穴が開いています。

シリンジに付けて、ヒアルロン酸を押し出したところ。側穴からほとんどが出ます。なので、注射時には少し慣れが要りそうです。

実際にウサギの耳で実験したところ。YoutubeにUPしました。
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgp3QS29ram1gSbiJw-BnwfFasPj1jB2Zn-VVMshtPDPlhbEYTcfJVR5pPnsFdIG-yjGtSgMHqKwJgozdsVquphbr2eNHfhN1zDRw-bTHOiDU9fL-eh94rdLk77Nj0gUkA0yDvOdiDfGoha/s320/%25E3%2583%259E%25E3%2582%25A4+%25E3%2583%25A0%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2593%25E3%2583%25BC%25EF%25BC%2592.mp4_000015348.jpg 

さて、実験も終わって、和子先生に助手として同行してもらったので、二人で慰労会です。浜松はすっぽんの養殖場があってお値打ちらしいので、すっぽんコースにしました。

「昔、国立病院の勤務医だったころは、よくこうやって二人でランチしたよなー♡」
「そんなこともあったっけ?子供産んだらみんな忘れちゃった♪」
男性の未来は闇、女性の過去は闇、こっちが楽しい思い出として共有したいことっていうのは、たいてい相手は忘れてますね。まあいいけど(^^;。
 (2016/12/15 記)

続報→こちら。この方法(側孔開ける方法)では駄目みたいです・・。

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継

糸でのたるみ引き上げの効果をわかりやすく見せるための工夫(その2)

 
鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は12月2日でいっぱいになりました。次のご予約受付日は1月5日(木曜日、10:00-18:30)です。7ヵ月後の来年8月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

先回のbefore/afterの写真(→こちら)に関連して、ふと思いついて実験してみました。
a-d、4枚の写真を一枚づつうちのスタッフにみせて、それぞれ何才に見えるかを言ってもらいました。aは施術前、bは施術後で、cdはabをモノクロにしてコントラストを強調したものです。

スタッフ5人に行った結果が下表です。
単位:才

たとえば、スタッフ1はaの写真を34才、bを31才と判定したということです。
平均をみると、
1) a<c, b<d、すなわち、モノクロにしてコントラストを強くしたほうが老けて見える
2) (a-b) < (c-d)、すなわち、モノクロにしてコントラストを強くしたほうが、差が強調される
ということが言えそうな気がします。
 
n=5ですが統計学的にはどうなんでしょうか?対応のあるt検定でp値を出してみると、

通常 <0.05 で有意差ありと判定します。1)は有意ですが、2)はp=0.07ですから有意差出ません。
n=5ですから、判定者の数増やしていくと有意差出てくるかもしれませんが。
 
もうひとつ、検定してみて気が付いたのですが、
3) aとcでは有意差出るが、bとdでは有意差が出ない、すなわち、「たるみが少なくなると、カラーとモノクロとの差がなくなる」
ということも言えそうです。
 
・・面白くないですか?わたしは、かなり興味深いです。
これまで「たるみ」や見た目の老化って数値化しにくかったですからねー。
n数増やしたり、判定者を年齢区分して(同年代のひとのほうが正しく判定しそうな気がする)、検討してみようと思います。
 
ちなみにこの方、実年齢はaのとき30才、bのとき34才で、スタッフ5人の評価の平均値がaが34.8才でbが30.6ですから、実年齢より約5才老けて見えていた人が、実年齢より約3才若くみられるようになったということになります。
(2016/12/11 記)

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継

糸でのたるみ引き上げの効果をわかりやすく見せるための工夫(その1)

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下の写真は、うちで4年間で3回糸入れた方のbefore/afterです(上は初診時、下は4回目の糸入れるために来院されたときの術前写真)。ご本人はいたって満足で、ブログでの写真使用もご許可いただいたのですが、変化わかりますか?



私はもちろんわかるし、うちのスタッフたちも慣れているからわかるんですが、中には「わかりにくい」と言う方もいるようです。
それでちょっと工夫してみました。下は同じ写真をphotoshopで色を削除してコントラストを強調したものです。


変化が判りやすくなりました。
間違いのないように念を押しますが、上が4年前、下が4年後です。年齢で4才違います。逆みたいでしょ?
 
たるみっていうのは、数値化しにくいので、before/afterの画像変化でとらえるしかないのですが、いずれは3Dの技術も進んで、こういった画像のたるみの具合を数値化できるのかもしれません。・・ていうか、技術的にはもう出来るのかも。
早くそうなるといいなあ。そうすれは、説得力ありますからね。

さて閑話休題、スタジオの和子先生から差し入れで「うなぎの刺身」が届きました。みんなで分けて今日のお茶受けです。写真は私の分↓


うなぎっていうのは、生血に有毒成分が含まれているので、刺身では食べられないものなのですが、ここのお店は、どうやっているのか判りませんが、これを取り除いて刺身にして通販もやっているようです。
「何も、わざわざ毒抜きまでして、うなぎを刺身でたべなくてもいいじゃないか、蒲焼で十分美味しいし」という意見もあろうかと思いますが、それでもうなぎを刺身で食べてやろう、と、思った人がいたのでしょう。
そういう考え方、姿勢は、私は「好き」というよりも、まるで自分自身を見ているようで共感します。どうやって血を抜こうか考えて商品開発してるときは、さぞかし楽しかったんだろうなあ。
 
お顔のたるみを引き上げるって、たるんだら人間死んじゃうわけじゃあるまいし、正直そんなに大層な問題じゃないんですよ(^^;。しかし、これをいかに引き上げるか。その工夫をする過程が私は好きです。
 
うなぎの刺身、味は脂ののったふぐという感じです。おいしいけど、かばやきのほうが私は好き(^^;。だけど、一回くらいは、ネット通販でも売られてるみたいだし、お取り寄せして食べてみてもいいと思いますよ。ごちそうさまでした。
(2016/12/07 記)

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継

ヒアルロン酸によるチンダル現象とPRPでアトピーが良くなるかもしれないお話

 
鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は12月2日でいっぱいになりました。次のご予約受付日は1月5日(木曜日、10:00-18:30)です。7ヵ月後の来年8月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。
 
ヒアルロン酸というのは、透明なジェル状の物質です。そのため、注射したあと、透けて青白っぽく見えることがあります。これをチンダル現象と呼びます。
「打つ深さが浅いとチンダル現象を起こす」と言われています。そういうケースもあるでしょうが、逆は真ならずで、「チンダル現象を起こしたらそれは打つ深さが浅かったということだ」とは必ずしも言えません。皮下組織が乏しく、皮膚のすぐ下がもう筋肉(眼輪筋)な方の場合には、適切な深さに打ってもチンダル現象を生じます。
 
施術前。目の下(鼻側)の凹みを気にしています。
 

注射後。凹みはちょうどいいくらいに底上げされていますが、注射部位が少し青白いです。これがチンダル現象。


斜めから見たところ。施術前。


施術後。凹みの部分にきれいに入って凹凸是正の観点からは上手に入っています。これ以上深いと眼輪筋の中に入ってしまいます。自分で言うのもなんですが、なかなかこれだけ綺麗に目の下にヒアルロン酸打てる先生少ないと思います。


 この方、このチンダル現象(打った後が少し青白い)を気にして来院されたのですが、写真のbefore/after見て、ご納得いただいてお帰りになりました。その際、ブログでの写真利用についてもご快諾いただきました。
 
膨らみはちょうど良いのですから、ヒアルロニダーゼで溶かしてしまうのはもったいないです。お化粧工夫するといいでしょう。凹凸はお化粧で隠せませんが、色は隠せます。

さてPRP(多血小板血漿)注射の話もひとつ。PRPは上記のような目の下の凹みを埋めるようなダイナミックな効果は期待できませんが、肌質は良くします。
 
私は現在、美容(プチ整形)のクリニックをやっていますが、昔はアトピー性皮膚炎が専門の皮膚科医でした。その関係もあって、アトピーの方が首のしわ・萎縮の改善目的でいらっしゃることもたまにはあります。今日いらっしゃったお客さんが、
「PRPをしたところは、本当に湿疹が出なくなるんです。今日は、首のしわではなくて、アトピーの残っている別の場所に打ってもらってもいいでしょうか?」
とおっしゃいました。
症例は少ないですが、私も以前から同じことを感じていて、アトピーのほうのブログにも記しています(→こちら)。
この方の経過写真を並べてみましょう。

初診時、PRP一回目施術前。

8ヵ月後、PRP二回目施術前。

1年6ヵ月後、PRP三回目施術前。

2年5ヶ月後。

首の横じわが目立たなくなって、鳥肌のようなぶつぶつ(毛孔など皮膚付属器)の間がコラーゲンで埋まってなだらかな質感になりました。湿疹も良くなっています。

興味深い話ではあるのですが、アトピーの患者さんに「湿疹が良くなるかもしれない」とPRPを勧めることができるかというと、ちょっと抵抗があります。それは、アトピー性皮膚炎が病気であり、PRPの施術が患者たちにとっては高額であろうからです。

昔患者を診ていたからよく知っていますが、成人のアトピー性皮膚炎患者たちというのは、普通の人より日常生活を送るのに手間やお金がかかります。休職したり入院したりして経済的に困窮する人も多く、高額なPRPの施術を安易には勧められません。

上の写真の方のように、現在は比較的症状も軽く、首のしわなど美容に関心もあって、その目的でPRPを試して、たまたまアトピーにも効いた、ということなら良いんですけどね。
深刻に思いつめた患者に「アトピー良くなるかもしれないよー」って軽い乗りでは勧められません。

しかし、本当によくなるのなら朗報です。だから、ブログにも記しました。その一方で、このブログ記事を見た東京かどっかの美容クリニックが、ビジネスチャンスと考えて、高額なPRPの施術をアトピー患者に売りつけ始めたら私も寝覚めが悪いです。それで急きょ10人くらい集めて有効性の検証を行ってみようと思い立ちました(→こちら)。

仮に有効性が検証されたら、私はアトピー患者にいくらで施術したらいいのでしょうか?・・うちのPRP料金は一回5万円です。市販のキットを使った他院での施術の相場は30万円くらいでしょう。なぜうちが安いのかというと、自分でキットを作っているからです(→こちら)。しかし、経済的に苦しいアトピー患者にとっては一回5万円でも負担だと思います。そもそもうちのクリニック、これ以上予約は入れられません。
どうしたらいいのか、目下のところ良いアイデア浮かばないのですが、とりあえず検証は行ってみます。
 
ところで、このPRP療法、再生医療とみなされていて、施術するには届出と委員会の審査が必要です。委員会の審査は最初に数十万円、その後も毎年30万円くらいの審査料が発生します。これもまた、PRP施術の価格を上げる要因となっています。
しかし、そもそもPRP療法、本当に再生医療に含まれるのでしょうか?末梢血中の血小板というのは、細胞膜を持っていますから、分類としては「細胞」なのかもしれませんが、核がないので分裂増殖できず、培養も出来ません。そんなものを用いた施術が再生医療だろうか?
日本以外のどこの国もPRPに規制などかけていないと思います。
厚労省の専門委員会議事録では、少なくとも平成25年1月30日の時点では、PRPは「細胞を用いない治療」であり、法の対象外でした。
http://www.mhlw.go.jp/.../2r98520000.../2r9852000002r9wo.pdf
のp9参照)
議事録を読んでも宮田委員の
「そうすると、ここの濃厚血小板血漿は違うぞと書いてあるけれども、例えばiPSで血小板を作ったときに一体どのように考えるのか。」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002r9yd.html
というように、iPS由来の血小板はともかく通常のPRPは法の範囲外として認識されていたようです。
以降この委員会は10回開かれましたが、PRPが議題になることはありませんでした。
それが、法の成立後、平成26年11月21日の厚労省の事務連絡(Q&A)
http://www.mhlw.go.jp/.../06-Seisakujouhou.../0000066137.pdf
で、「PRP は細胞加工物であるため、法の対象である。」と通達されて、皆が何の疑問も抱かずに従っているわけです。
なぜ委員会で当然のようにPRPは細胞加工物ではないと扱われていたのに、厚労省が「PRP は細胞加工物であるため、法の対象である」と通達したのか、ほんとに謎です。
 
先日抜け道ひとつ思いつきました。最終的に出来上がったPRP液にCa加えて活性化したあとで、もう一度(3回目の)高速遠心加えてその上清を用いるという方法です。
活性化により血小板から成長因子が放出されて(測定すると濃度で活性化前の2/3くらい。1/3は血小板にくっついたままのようです)います。上清には血小板含まれていませんから、規制対象外となります。
ただ、ひと手間加えて、量・濃度とも少ない成長因子液を作るわけですから、ちょっとばかばかしいです。
 
ちょっと憤慨して熱く書きすぎて長くなってしまいました。最後まで読んでくださってありがとうございますm(_ _)m。
たかがPRPされどPRP。たしかに他の施術では出せない効果があります。しかし私の感覚では、一回に5万円以上支払ってするような施術ではないと思います。一回に30万円請求したら、そのお客さんはきっとリピートしてくれなくなるでしょう。長い眼で見ると損失です。
 
施術代金は、原価計算ではなく、お客様感覚で決めたいと昔から思っています。すると原価をいかに安くするかという工夫に自ずからなっていきます。そうなると委員会の審査料もなんだか無駄でいまいましく思えてくるというわけですね。
(2016/11/15 記)

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継

ドイツからアンジェリーナが来ました

 
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アンジェリーナと会ったのはロシアのアラのところに勉強に行って時だから、もう十数年前になります。東京の伊勢丹で働いているロシア人女性で、たまたまウラジオストックに帰っていてアラのお客さんで居合わせて、日本語の通訳してくれてずいぶん助かりました。
今はドイツ人と結婚してドイツに住んでいます。久しぶりに日本に来たので、糸の追加入れのために立ち寄ってくれました。
術直後、麻酔から覚めて元気になったところでの、スタッフのともちゃんとのツーショット。


開業して間もないころに、ホームページで使うモニター用の写真(その後リニューアルしたため今はないです)撮影のため、糸入れたときの写真がこちら。

それから早いもので、12年経ちました。現在の写真と、今回追加して糸入れた直後の写真がこちら。・・同じピアスしてますけど、上の写真の12年後です。


 「変化がわかりにくい」という方のために、マウスオーバー画像作ってみました。カーソルを下の画像に当てると、Before/Afterが入れ替わります(PCのみ)。
 
(法令線が浅くなって、顎から耳にかけてのラインがシャープになったということです。ロシアの方は骨格が日本人と違うので判りにくくてごめんなさい)

  開業間もない頃に糸入れた方なので、長期予後の参考になると思います。
同じ年頃のロシア人と比べると圧倒的に若く見えます。
私も混ざって3人で記念写真。術直後ですが、笑顔で満足度が伝わると思います。

私が手に持っているのは、ドイツ人の旦那さんのお父さんが作っているハチミツで、とても品質のいいものだそうです。ネットで探したらありました↓。
http://deutscherimkerbund.de/226-Echter_Deutscher_Honig

おまけです。先日日本美容医師会のハロウィンパーティーに行った時の記念写真。品川から六本木までリムジン借りました。片道3万7千円(往復7万4千円)で8人乗りだから、割れば1万円切ります。意外とお得ですよ。

 動画もUPします。スタジオの和子先生(→こちら)、医局の後輩で50代の会の仲間の有美先生(→こちら)、クオールのあさこ先生(→こちら)、チュチュシュシュでコラボしている咲江先生(→こちら)、私も含めて全員50代、日本美容医師会は、主導する池田先生(リムジンで私の横の黒いマントの先生)ほか30代~40代の先生方が多いと思うので、交流して良い意味で切磋琢磨して頑張りたいと思います。
https://youtu.be/DMzprBs1AKM 
(画像をクリックすると動画サイトが開きます)
(2016/11/04 記)
鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継

厚生労働省の行政指導に従いました

 
鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は11月2日でいっぱいになりました。次のご予約受付日は12月1日(木曜日)です。7ヵ月後の来年7月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

私はヒアルプロテクトという中間分子量ヒアルロン酸化粧水を製作販売しています。その通販サイトの記載に問題があるとして、名古屋市を介して厚労省から指導がありました。
 

決して納得はしていないのですが、互いの労力の無駄を考えて従うことにしました。どういった指導で、私がどのように納得していないのかについては、通販サイトに記しましたのでご参照ください(→こちら)。
 
指導は名古屋市の方が担当なさっていますが、厚労省からの指示なので、とおっしゃっていましたから、誰かが厚労省に働きかけたのだろうか?と思います。通販サイトのリンク先に記したように、カルピス社の乳酸菌など、大々的に宣伝広告されているものは放置されているので、厚労省がネット上をパトロールしていて見つけたということでは無さそうです。
  
これは推理の域を出ませんが、厚労省に働きかけたのは、顧客(消費者)ではなく医療関係者であろうか?と思います。なぜかというと、
 
1) 顧客(消費者)からであれば、直接私のほうに寄せられるか、国民生活センターに届けると思います。これまでに「薬事法違反ではないか」という問い合わせ・クレームは直接にも国民生活センターからも来ていません。
2) 直接厚労省に働きかけるというのは、厚労省や薬事法に詳しい方の発想です。
3) 指導票に記載されているような「ステロイド外用薬によって皮膚が薄くなる副作用を防止する効果」というのは、特に皮膚科医や小児科医にとっては、伏せておきたい話です。それを堂々と化粧品の通販サイトに書かれたとあっては、面白くないと思います。
 
とにかく指導には従うことに決めたので、こちらのブログ内記事の該当部分にも、修正を加えました。「以前読んだのと少し内容が異なる」と思われた方のために、ここに説明しておきます。
 
さて、私は行政指導に従うことには決めたのですが、そうなると上記リンク先に記したカルピス社の乳酸菌の件がどうにも気になります。そこで、下記のような問い合わせを厚労省にしてみることにしました。
=====
厚生労働省医薬生活衛生局監視指導麻薬対策課 御中
460-0012 名古屋市中区千代田5-20-6
鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継
謹啓
小生は名古屋市内で開業する医師ですが、最近YAHOOのフロントページにて、カルピス社の下記のような広告を目にすることが多いです。
このバナーおよびリンク先サイトは、医薬品医療機器などの品質有効性および安全性の確保に関する法律68条および健康増進法第32条に抵触すると考えますが、行政指導はなされているのでしょうか?
ご回答お待ちしております。よろしくお願いいたします。
平成28年10月28日     謹白
=====

2003年12月12日の日経メディカルの記事「【専門記者の目】 食品のエビデンス発表は「より厳密に」 花粉症対策品の記者発表で気になったこと」(→こちら)に、カルピス社の乳酸菌発表当時の話が記されています。これを読むと、この問題は業界にとってかなりデリケートなものであることが解ります。

はっきり断っておきたいのですが、私はカルピス社の乳酸菌や、その宣伝広告内容が問題だとは思っていません。

1) なぜ、大々的に宣伝広告しているカルピス社が放置で、うちに行政指導が来たのか?
2) 私が厚労省にこのような手紙で問い合わせたときの厚労省の動きはどうなのか?(カルピス社に行政指導はなされるのか?)
に関心があります。

この問題のいちばん良い解決法は、ヒアルプロテクトにしろ、カルピス社の乳酸菌にしろ、有用性を示すデータや根拠となる論文の紹介を禁じるのではなく、そこは自由にして、そのうえで「医薬品としての厳密な評価がなされて医薬品として認定されたものではありません。あくまで化粧品・食品です」という一文を明記させることだと思います。この点における厚労省の法の解釈・運用が妥当とは言えない、と私は考えます。
皆さんはどうお考えになりますでしょうか?

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継

ハロウィンパーティーに行くことにしました

 
鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は10月2日でいっぱいになりました。次のご予約受付日は11月1日(火曜日)です。7ヵ月後の来年6月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

日本美容医師会という、美容系医師の懇親会のような集まりがあります。ハロウィンの仮装パーティーに招待されたので行ってみようと思います。

私は今年で57才、パーティーはフェイスブック上で参加申し込みなので、参加表明していらっしゃる先生の名前が判るのですが、今のところ私が最年長のようです。この10年ほどおよそ学会にも行かず引きこもっていた私ですが、美容外科の世界もゆっくりと世代の変化があります。あと10年くらいは現役で仕事続けたいので、若い世代の先生たちに交わっておくのも大事かな、と思いました。

さて、先日「マツコ会議」という番組が放映されて、ポールダンス教室に通う女性のお話でした。
そこに出演されていた女医さんが、このパーティーに参加されて、どうもバーレスクのお姉さんたちに混ざって踊るようです。楽しみが増えました。マツコ会議は、付録の動画が日本テレビのサイトにUPされて、現在視聴可能です。一週間経ったら消えてしまうでしょうから、よろしければ今のうちにご覧になってください。ポールダンスの女医さん(白石先生)と、パーティーの主催者である池田先生が出ています。
http://www.ntv.co.jp/matsukokaigi/#ooid=k1MXVvNjE65APrHSjAQv7eVUG8l5EX7B 
画像をクリックした先にマツコ会議のサイトがあります。その下のほうに動画があります)

当日の写真など、またブログに掲載しますね。

さて、そんな浮かれた話だけで終わらせてしまったら、プチ整形のブログの意味がありません。毎年いらっしゃるロシアのアラ先生ご一行がまた今年もいらっしゃいました。アプトススプリング(もどき)入れたBefore/After画像と施術動画です。お楽しみください。Enjoy and watch the movie. Наслаждайтесь и смотреть фильм.




施術動画は↓こちら。(画像をクリックしてください)
https://www.youtube.com/watch?v=WQxAvle4z2I 
(2016/10/20 記)

追記
パーティーに行ってきました。
私のコスチュームは、手術着そのまま(^^;。ただし、オレンジ色でコウモリとクリニック名シルクスクリーンで印刷してもらった特注品です。
ずんぶん考えたんですが、やっぱり私には手術着しか似合いません(^^;。
ただし、下はサルエリパンツに、黒のフェルトでコウモリ切って、アイロンで貼り付けました。自分で台紙にコウモリ画いてハサミで切ってアイロンかけたんですよ。器用でしょ。

座っている人左から、和子先生、あさもと先生、東京の藤本先生、滋賀の居原田先生、私、お店のダンサーの方、咲江先生、あさこ先生。
和子先生、あさもと先生、私、咲江先生、あさこ先生の名古屋からの5人は、全員50才台です。みんなで頑張りましょう!

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継






スプリングアプトスによる胸の引き上げ(その2)

鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は10月2日でいっぱいになりました。次のご予約受付日は11月1日(火曜日)です。7ヵ月後の来年6月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

前回(→こちら)の続きです。胸をアプトススプリング(もどき)で引き上げた方のその後です。
術前と術直後の写真は下図でした。


2週間後ですが、なんとか保ってくれているようです。


両乳頭を結ぶ線の水平線に対する傾きは、3度から2度に減少しました。
傾き(角度)は直観に訴えるには良いと思いますが、角度で数字化すると意外と鋭敏ではなさそうなので、下図のように乳頭下から乳房下縁までの距離を写真上で測って、A:Bを算出してみました。


術前 1:0.625、術直後 1:0.75、2週間後 1:0.68
でした。この数値のほうが鋭敏なようです。
 
この方、日を改めて10本くらい左側に追加糸入れようと思います。もしも上がりすぎたら、右にも追加します。
お顔に糸を入れて引き上げるのは、なかなか数値化が難しく、説得力のある論文に仕上げにくいのですが、胸は数値化しやすそうです。ひとつ論文にしてみようと思います。
どなたか、乳房の左右差気にしている方いらっしゃらないでしょうか?できればあと二人くらい症例集めたいです。何回か経過みたいので、名古屋近郊の方に限ります。
もしいらっしゃったら、クリニックまでお電話ください。

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JR鶴舞駅の看板新しくしました。3面横並びで全部借り上げたので、大きくて目立ちます。スタッフ集まって集合写真。この穏やかな日々がいつまでも続くといいなあ。
(2016/10/10 記)

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継