スタッフの顔のメンテナンス(リポレーザー)

 開業して丸8年を超えました。開業当時からのスタッフは、ほとんど入れ替わりがありません。友人の医師に聞くと、驚異的らしいです。
 皆仲良くて有難いことなのですが、問題はありまして、スタッフ(私を含めて)皆が、だんだん年を取っていくという点です。このまま入れ替わりが無いと、自分たちが気が付かないうちに、スタッフが年寄りばかりの「若返りクリニック」になってしまうのではないだろうか?・・
 「先生、大丈夫よ、お客さんもいっしょに年取っていくから」と、スタッフは励まして(?)はくれるのですが、ちょっと心配です。
 男の私でもそうだから、女医さんがやってる美容皮膚科クリニックなんかは、切実だろうなあ。
 とりあえず「若いひとを混ぜてみよう」ということで、スタッフの娘さんに一人、ときどき来てもらうことにしました。音大生でバイオリン専攻です。運がいいお客さんは、カーボンピーリングのあとのイオン導入のときに、生演奏付きだったりします。これはほんと、宮廷気分ですよ。
 もうひとつは、やっぱりスタッフの若返りです。ということで、このところ、合間を見ては、順番に皆のメンテナンスしています。
 このスタッフ、糸入れて頬はあがってるのですが、口横のたるみがどうしても取り残されます。
それで、リポレーザーで焼くことにします。Aの×から細い針を入れて、先端からレーザーを出して、Bの×あたり一帯を皮膚の裏側から熱凝固させて、引き締めます。
 直後はこんな感じ。局所麻酔を打った分ぷっくりと膨らんでいます。
これは一週間後。少し内出血があったのでしょう、下のほうが黄色~青色になっています。
一ヵ月後です。リポレーザーは、皮膚の裏側から脂肪を焼いて「火傷」を起こさせ、その瘢痕収縮を利用して引き締めるので、結果が出るまでに3週間から2ヶ月くらいかかります。
Before→Afterの写真を上下に並べました。

 施術の動画を例によってUPしてみました。動画はちょっとキビシイ、という方は、無理に見ないでくださいね! 以下の解説と写真見るだけでも、だいたいは把握できるようになってますから。
(画像または→ここをクリック)

リポレーザーというのは、グラスファイバーを介してレーザー光をその先端部分から照射できるようにしたマシンで、上は、ガーゼをあぶって焼いてみているところです(焼け具合を確認しています)。
顎のしたのほうに18G針で孔をあけて、そこからリポレーザーの針を入れていきます。このとき赤く光っているのはガイド光で、レーザーではありません。
施術中は、部屋を暗くします。リポレーザー針の先端の位置が、皮膚を透けて(光が見えて)わかるからです。

 一回のリポレーザーで焼けて引き締まるのは、このスタッフの場合で、体積でいうと1mlくらいかなあ?ちょうどヒアルロン酸注射の逆(入れるのではなく削ぐ)と思うといいです。
 脂肪吸引と違って、「取れすぎない」のがいいと思います。というか、脂肪吸引の場合は、脂肪をとったあと、皮膚はしぼみますが、リポレーザーの場合は、裏側からエネルギーをかけるので、締まって張りが出ます。
 例えていうと、皮膚の裏側からアイロンかけるような感じですね。

 注意:リポレーザーを希望されるお客様の中で、ときどき、糸を入れるのは怖いけど、「リポレーザーは大したことなさそうだから」とおっしゃる方がいるのですが、腫れに関して言うと、リポレーザーのほうが糸でのリフトより腫れますていうか、うちでの糸でのリフトは、血管に当たって内出血しない限りは、ほとんど腫れません。1)手技が速く、2)通常より細い針を使って入れているのと、3)静脈麻酔を使って局所麻酔薬を減らしているからだと思います)。
 リポレーザーの場合は、1)局所麻酔薬を多く注射することによる早期の腫れ(4~5時間後には退きます)と、2)火傷の腫れ(人によります。1日で退く人もいれば、1~2週間かかる人もいます)との2回の山があります。
 そのかわり、治まったあとには、上のスタッフのひとのように、引き締まり効果が得られるので、楽しみに待っていてください。
(2011.12.16)

母親の顔のメンテナンス(ヒアルロン酸注射)


 ヒアルロン酸には、Q-med社(スウェーデン)のレスチレンを使っています。以前は様々な製品を試したものですが、使用感に大差はないし、結局、最初に開発されて、世界的に圧倒的なシェアを有するQ-med製品が、ブランドとして一番信用に価する、と考えています。注:この記事は2011年に記したものです。現在は2014年に日本の厚労省の認可を受けたジュビダームに切り替えました→こちら
 難点は、レスチレンは、他社製品に比べて割高で値引きもしてくれないところですが、これをクリアする方法が一つだけあります。大量に買い付けることです。

 今回は、500本オーダーしました。通常うちのような個人クリニックからのオーダーは、一回に数本からせいぜい10本、20本くらいまでだそうで、私が取引している輸入代行業者さんによれば、毎回100本単位の注文は、うちだけだそうです。これだけまとまった本数で発注すると、さすがに割引があります。そうすると、ブランド物を手頃な値段で提供できます。ただし、使用期限があるので、それまでに使い切らなくてはね。今回の500本は、何ヶ月で使い切るかなあ・・。 
うちのヒアルロン酸注射は、「3万円か5万円」ですが、量は半端じゃありません。3万円というのは、だいたい1ml(1本)未満、5万円は1ml以上で、2mlを超えると3本目になるので、4万円追加で5+4=9万円、3ml超えると5+4+3=12万円という計算でいくのですが、はじめに「5万円」と私が見積もった場合には、満足いく結果に仕上がらない場合には、料金5万円のまま3mlくらい打ちます。仕上がりの満足感を売っているのであって、ヒアルロン酸を量り売りしてるわけじゃないからです。技術も要りますが、技術だけでは必ずしも満足に結びつかないのがヒアルロン酸の世界です・・。たぶん、普通に仕入れていたのでは、原価が割れます。だから大量発注します。


母親(昭和9年生まれ、77歳)の顔が、だいぶしぼんで、小じわが増えてきました。
それで、小じわにヒアルロン酸打って、メンテナンスしました。顔全体の小じわにチクチクと3mlくらい使ったかなあ。

(画像をクリックすると拡大します)

 実は、母親、白内障がかなり進んできたので、12月に手術を受けることになりました。
 知人の眼科の先生によると、白内障の手術を受けたひとは、よく見えるようになって嬉しがるかと思いきや、よよよと泣き崩れてしまうことが多いのだそうです。なぜかというと、それまで見えなかったしわやしみが、とてもよく見えるようになってしまうので。
(あるいは、部屋のゴミが目について急に掃除をし始めるそうです。泣き崩れるか、掃除に忙しくなるか、どちらかだそうです。)
 それで、母親の白内障の手術の前に、ヒアルロン酸での小じわ取りと、しみも少し取っておくことにしました。
 ついでなので、母親に大量に届いたヒアルロン酸持たせて、挨拶かねてクリニックの宣伝をさせてみました。ご笑覧ください

(画像または→こちらをクリックすると動画サイトに飛びます)

(2011.11.28)

エクストーシスでたるみが引き上がる動画


施術時のあまり生々しい動画というのは、お見せすると引かれてしまうことがあるので、あまり公表してこなかったのですが、先日UPしたアプトスの動画がわかりやすくて良かった、という評価をいただいたので、エクストーシスについてもUPすることにしました。

(注)とは言え、生々しいのは好まない、という方は、やっぱり動画は見ないほうがいいかもです!ブログの画像と文章だけでも、だいたい解るようになってます(^^;。
(画像または→ここをクリックすると動画が始まります)
二本の長い糸を、交差させてX(エックス)状に入れたあとからの動画です。
以下、糸を入れてからの動画について解説です。

 
糸は、A-B-CとD-B-Eの二本が入っています。B点で交差しています。


まず、A-B-Cの糸をグッと引き上げます。髪をアップにすると、たるみが上がりますでしょう?あれと同じ効果を、皮膚の下に糸を通すことによって達成するわけです。「お顔たるみ防止ブラジャー」を入れておくってことです。

次いで、D-B-Eの糸を引き締めて、糸端を切り取ります。


糸端が浅いところに留まっていると、エクボのようなひきつれになるので、しっかり外しておきます。


もう一度、しっかり頭側の糸を引き締めます。B点にはかなりの力がかかります。エクストーシス専用に作られた糸を用いていないと、糸が切れてしまうことがあります。また、そういう安物の粗悪な糸を用いている(韓国のメーカーでそういう糸を作っているところがあります)クリニックでは、切れるのを怖れて強く引き上げません。くれぐれもご注意ください。


頭側の糸を切り取って、端を戻して、終了です。 


さて、これでエクストーシスとしては一段落なのですが、赤矢印の方向に糸で引き上げる関係から、青線の部分に「そげ」のような感じが出ることがあります。
それを補うために、黄矢印方向に、アプトスを入れておくと、バランスがいいです。
縦糸(エクストーシス)に加えて、横糸も加えておく感じです。次の動画は、ここにアプトスを加えるものです。


(画像または→ここをクリックすると動画が始まります)


まず、中空の針を刺します。


中空の針に糸を通します。


口横近くの脂肪(バッカルファット)をしっかり拾います。
このあたりが、ノウハウです。前にも記しましたが、糸というのは「ただ入れれば上がる」ものでは決してありません。皮膚の下に何があるか?=解剖を意識しながら理にかなった作業が必要です。


糸を通したところ。


強く引き締めます。引き締めることで、口横のバッカルファット(赤矢印)が、しっかり90度方向に上がっていることがお分かりかと思います。


糸端を切り取って終了です。

Before → After です。



(直後)

「皮を切り取らなければたるみは解消しないんじゃないか?」と疑問の方は、今回の動画を見ると納得いただけるかと思います。 
人間の皮膚は弾力があるので、内側の重み(脂肪など)を持ち上げてやれば、これを覆っていた皮膚は、おのずから引き締まります。必ずしも皮膚を切り取る必要は無いです。

逆に、この内側(重み=抗重力)の作業を行わずに皮膚だけ切り取っても、皮膚は重さに負けて再び伸びて落ちてしまいます。レーザーやラジオ波などで、皮膚を硬く強くしてやるか、内側の抗重力の操作を加えることのほうが、理にかなっているのです。
切るフェイスリフトで、たるみ対策になるのは、実は、皮膚を切り取ることよりも、「剥いでからくっつける」ことで、その部分が瘢痕繊維化してしっかりする(=抗重力)ことや、内側の脂肪をこそぎとることで、重量を減らす(=抗重力)ことが、現実にはたるみ対策になっているんじゃないかと思います。
白人のフェイスリフト術前後で、素晴らしく若返った写真を目にすることがありますが、ああいう方を、実際に間近で見てみると、ほとんど骨の上に皮が乗っているだけのようなことが多いです。欧米人は、元々の顔の骨格が綺麗なので、お肉を削ぎ落としていけば、確実に「写真映り」レベルでは、「若返り」様の印象となります。
糸での引き上げは、皮膚もお肉も硬くしません。なので、触感とか、間近で見たときの質感が自然なのです。これは、糸での引き上げの最大のメリットです。

 ※ここをご覧の他クリニックの先生で、エクストーシス用の針糸の入手先を知りたいという方いらっしゃいましたら、クリニックまでお電話ください、ご紹介しますよ。
 エクストーシスは私が考案した術式なので愛着があります。粗悪な糸を使って良くない結果となって術式の評判を落とされないように、せめて正しい針糸の入手先のご紹介くらいはさせて頂きます。お気軽にご連絡ください。
(2011.11.11)

ヒアルロン酸とアプトス

年配の男性の口周りのしわ・たるみです。
まずは、くっきりとしたしわを、ヒアルロン酸で埋めてやります。
正面から見たところです。きれいに埋まりました。
横から見たところ、ヒアルロン酸注射前。
ヒアルロン酸注射後。「しわ」は改善したのですが、「たるみ」による頬の落ちがまだ気になります。
そこで、アプトスを3本、紫のマーカーのように、下に弧を描いたデザインで入れてやります。そうすると、赤矢印のように、下がった頬を上方向に持ち上げてくれるはずです。

術後です。予定通り持ち上がりました。
反対側からみたところ、術前。
ヒアルロン酸注射後。
アプトス術後。
写真を並べてみると、変化がよくわかります(画像をクリックすると拡大します)。

アプトスで頬が持ち上がっても、口横のたるみが残る人もいます(その場合はリポレーザーがよい)が、この方の場合は、アプトスで頬を引き上げてやることで、口横もかなり解消しました。

 アプトスで頬のたるみが引き上がる仕組みを動画で解説してみました。モデルは当院スタッフです。
(画像または→ここをクリック)

 私のアプトスの術中動画を、一般に公開するのははじめてです。糸を入れる深さ、ラインの取り方、最後の糸端の戻し(真ん中は締めたまま端のみ戻す)など、いろいろコツがあります。アプトス糸というのは「ただ入れれば上がる」というものではありません。単純な手技なのですが、単純なだけに、簡単には真似ができないと自負しています(寿司職人が寿司を握るのに似てます)。

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 さて、閑話休題。

 この春から、広告をわたしの顔写真入りのものに変えました。
 これには実は訳があって、この春、娘が大学に合格したので、お祝いに、娘の通学路の地下鉄・市バス全てに、父親の笑顔を貼り付けてやろう、と考えた次第です。
 まあ、よくよく考えてみると、娘にしてみれば、悪い気こそしないだろうけど、気恥ずかしいばかりで、それほど嬉しくもない、いかにも男親らしい発想だったかもしれないなあと、半年経った今は思います。
 しかし、せっかく広告屋さんに作ってもらったので、しばらくは続ける予定です。
(2010.10.20)
 

上まぶたのへこみ


目の上のへこみが気になって来院された方です。眼窩内脂肪の萎縮か、眼瞼挙筋のゆるみとともに眼窩内脂肪が奥に引き込まれたか(メカニズムの解説はこちら)、どちらかまたは両方です。
前者なら、ヒアルロン酸を打ってやればいいし、後者なら眼瞼下垂のタッキングが有効です。
一見、眼瞼下垂は無さそうに見えますが、左目(向かって右)の眉毛が上がっています。眉毛を上げて一生懸命目を開いていると考えると、軽い眼瞼下垂があるのかもしれません。

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それで、試しにタッキングで糸をかけたところです。緑色の糸(ソフトナイロン)が見えますが、これは、糸をかけたまま、まだ切らずに、上がり具合を確認しているところだからです。目の上のくぼみが改善しているので、眼窩内脂肪がうまく引き出されたと判断されます。
もし、改善しなければ、それは、1)脂肪が萎縮して量が少なくなってしまっているか、2)もともと少ないか、3)タッキングの糸がうまくかかっていないか、です。

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3ヶ月たって、いらっしゃた写真です。タッキングの戻りはありません。タッキングはうまくかかっていないと、数時間で戻ってしまうこともありますが、3ヶ月経って戻らなければ、ほぼ永続的です。
この方が来院されたのは、「窪みは気にならなくなったが、二重の幅が狭くなってしまったので何とかしたい」でした。内側から糸をかけて引っ張りあげるので、その分、どうしても二重の幅は狭くなります。逆に言うと、二重幅が狭くなったということは、タッキングがちゃんと効いているということでもあるわけですが。
下垂のほうはやはり軽度あったようで、左眉の上がりが下がって改善しています。

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それで、埋没法で二重の幅を広げました。写真は直後です。二重のラインにも一工夫があって、この方の場合、元々の目が三角形ぎみ(△)なので、外側の刺入点を高めに、内側を低めのライン上に置くことによって、二重のラインを架橋してやります。そうすると、きれいな半円状になります。
直後の写真なので、やや幅が広いですが、2週間ほどで少しかぶさってきて、丁度良い感じになる予定です。それまでは、周りの人には、「アイテープして二重の癖つけてるの」と言って、2週間経ったら、「アイテープやってるうちに二重の幅が広くなっちゃった!」とか言ってれば過ぎると思います。もっとも、この方は、写真の使用もご快諾いただいたくらいなので、その必要もないかもしれませんが。
左(向かって右)がやや広めのようにも見えますが、元々の目の形の違いもあるので、まあ、いったん二週間たって落ち着くまでは、これで様子をみて、どうしてもであれば修正する(糸外して少し下でやり直す)すればいいと思います。たぶん、これで正解だと思うけどなあ・・。

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写真を並べてみました。上から、タッキング前、タッキング後3ヶ月、埋没二重直後、です。並べると、左眉の下がりもよくわかりますね。

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さて、閑話休題。
お客様に、少しお待ちいただかなければならないとき時などに、お茶をお出ししますが、そのときの器を入れ替えました。
ロイヤルコペンハーゲンのフルレースのバーガンディーです。廃盤なので、なかなか手に入らなかったのですが、ようやく一客だけ入手できました。

こちらは日本茶用の湯のみです。こちらは3客手に入りました。

なんで、このバーガンディー探してたかというと、クリニックのソファの色にしっくり合うんです。今までの青のロイヤルコペンハーゲンも、それなりに合うんですが、やっぱりバーガンディーのほうがいいです。ちなみにバーガンディーっていうのは、フランスのブルゴーニュの英語読みだそうで、赤ワイン色ってことです。
生花は欠かしません。クリニックの内装も、女性のお顔と同じで、ほんのちょっとの違い、こだわりで、明るく映えるように思います。小さなクリニックですが、お客様をお迎えするために、それなりに頑張ってお化粧してお待ちしているところです。
(2011.8.4)