母親の顔のメンテナンス(ヒアルロン酸注射)


 ヒアルロン酸には、Q-med社(スウェーデン)のレスチレンを使っています。以前は様々な製品を試したものですが、使用感に大差はないし、結局、最初に開発されて、世界的に圧倒的なシェアを有するQ-med製品が、ブランドとして一番信用に価する、と考えています。注:この記事は2011年に記したものです。現在は2014年に日本の厚労省の認可を受けたジュビダームに切り替えました→こちら
 難点は、レスチレンは、他社製品に比べて割高で値引きもしてくれないところですが、これをクリアする方法が一つだけあります。大量に買い付けることです。

 今回は、500本オーダーしました。通常うちのような個人クリニックからのオーダーは、一回に数本からせいぜい10本、20本くらいまでだそうで、私が取引している輸入代行業者さんによれば、毎回100本単位の注文は、うちだけだそうです。これだけまとまった本数で発注すると、さすがに割引があります。そうすると、ブランド物を手頃な値段で提供できます。ただし、使用期限があるので、それまでに使い切らなくてはね。今回の500本は、何ヶ月で使い切るかなあ・・。 
うちのヒアルロン酸注射は、「3万円か5万円」ですが、量は半端じゃありません。3万円というのは、だいたい1ml(1本)未満、5万円は1ml以上で、2mlを超えると3本目になるので、4万円追加で5+4=9万円、3ml超えると5+4+3=12万円という計算でいくのですが、はじめに「5万円」と私が見積もった場合には、満足いく結果に仕上がらない場合には、料金5万円のまま3mlくらい打ちます。仕上がりの満足感を売っているのであって、ヒアルロン酸を量り売りしてるわけじゃないからです。技術も要りますが、技術だけでは必ずしも満足に結びつかないのがヒアルロン酸の世界です・・。たぶん、普通に仕入れていたのでは、原価が割れます。だから大量発注します。


母親(昭和9年生まれ、77歳)の顔が、だいぶしぼんで、小じわが増えてきました。
それで、小じわにヒアルロン酸打って、メンテナンスしました。顔全体の小じわにチクチクと3mlくらい使ったかなあ。

(画像をクリックすると拡大します)

 実は、母親、白内障がかなり進んできたので、12月に手術を受けることになりました。
 知人の眼科の先生によると、白内障の手術を受けたひとは、よく見えるようになって嬉しがるかと思いきや、よよよと泣き崩れてしまうことが多いのだそうです。なぜかというと、それまで見えなかったしわやしみが、とてもよく見えるようになってしまうので。
(あるいは、部屋のゴミが目について急に掃除をし始めるそうです。泣き崩れるか、掃除に忙しくなるか、どちらかだそうです。)
 それで、母親の白内障の手術の前に、ヒアルロン酸での小じわ取りと、しみも少し取っておくことにしました。
 ついでなので、母親に大量に届いたヒアルロン酸持たせて、挨拶かねてクリニックの宣伝をさせてみました。ご笑覧ください

(画像または→こちらをクリックすると動画サイトに飛びます)

(2011.11.28)

エクストーシスでたるみが引き上がる動画


施術時のあまり生々しい動画というのは、お見せすると引かれてしまうことがあるので、あまり公表してこなかったのですが、先日UPしたアプトスの動画がわかりやすくて良かった、という評価をいただいたので、エクストーシスについてもUPすることにしました。

(注)とは言え、生々しいのは好まない、という方は、やっぱり動画は見ないほうがいいかもです!ブログの画像と文章だけでも、だいたい解るようになってます(^^;。
(画像または→ここをクリックすると動画が始まります)
二本の長い糸を、交差させてX(エックス)状に入れたあとからの動画です。
以下、糸を入れてからの動画について解説です。

 
糸は、A-B-CとD-B-Eの二本が入っています。B点で交差しています。


まず、A-B-Cの糸をグッと引き上げます。髪をアップにすると、たるみが上がりますでしょう?あれと同じ効果を、皮膚の下に糸を通すことによって達成するわけです。「お顔たるみ防止ブラジャー」を入れておくってことです。

次いで、D-B-Eの糸を引き締めて、糸端を切り取ります。


糸端が浅いところに留まっていると、エクボのようなひきつれになるので、しっかり外しておきます。


もう一度、しっかり頭側の糸を引き締めます。B点にはかなりの力がかかります。エクストーシス専用に作られた糸を用いていないと、糸が切れてしまうことがあります。また、そういう安物の粗悪な糸を用いている(韓国のメーカーでそういう糸を作っているところがあります)クリニックでは、切れるのを怖れて強く引き上げません。くれぐれもご注意ください。


頭側の糸を切り取って、端を戻して、終了です。 


さて、これでエクストーシスとしては一段落なのですが、赤矢印の方向に糸で引き上げる関係から、青線の部分に「そげ」のような感じが出ることがあります。
それを補うために、黄矢印方向に、アプトスを入れておくと、バランスがいいです。
縦糸(エクストーシス)に加えて、横糸も加えておく感じです。次の動画は、ここにアプトスを加えるものです。


(画像または→ここをクリックすると動画が始まります)


まず、中空の針を刺します。


中空の針に糸を通します。


口横近くの脂肪(バッカルファット)をしっかり拾います。
このあたりが、ノウハウです。前にも記しましたが、糸というのは「ただ入れれば上がる」ものでは決してありません。皮膚の下に何があるか?=解剖を意識しながら理にかなった作業が必要です。


糸を通したところ。


強く引き締めます。引き締めることで、口横のバッカルファット(赤矢印)が、しっかり90度方向に上がっていることがお分かりかと思います。


糸端を切り取って終了です。

Before → After です。



(直後)

「皮を切り取らなければたるみは解消しないんじゃないか?」と疑問の方は、今回の動画を見ると納得いただけるかと思います。 
人間の皮膚は弾力があるので、内側の重み(脂肪など)を持ち上げてやれば、これを覆っていた皮膚は、おのずから引き締まります。必ずしも皮膚を切り取る必要は無いです。

逆に、この内側(重み=抗重力)の作業を行わずに皮膚だけ切り取っても、皮膚は重さに負けて再び伸びて落ちてしまいます。レーザーやラジオ波などで、皮膚を硬く強くしてやるか、内側の抗重力の操作を加えることのほうが、理にかなっているのです。
切るフェイスリフトで、たるみ対策になるのは、実は、皮膚を切り取ることよりも、「剥いでからくっつける」ことで、その部分が瘢痕繊維化してしっかりする(=抗重力)ことや、内側の脂肪をこそぎとることで、重量を減らす(=抗重力)ことが、現実にはたるみ対策になっているんじゃないかと思います。
白人のフェイスリフト術前後で、素晴らしく若返った写真を目にすることがありますが、ああいう方を、実際に間近で見てみると、ほとんど骨の上に皮が乗っているだけのようなことが多いです。欧米人は、元々の顔の骨格が綺麗なので、お肉を削ぎ落としていけば、確実に「写真映り」レベルでは、「若返り」様の印象となります。
糸での引き上げは、皮膚もお肉も硬くしません。なので、触感とか、間近で見たときの質感が自然なのです。これは、糸での引き上げの最大のメリットです。

 ※ここをご覧の他クリニックの先生で、エクストーシス用の針糸の入手先を知りたいという方いらっしゃいましたら、クリニックまでお電話ください、ご紹介しますよ。
 エクストーシスは私が考案した術式なので愛着があります。粗悪な糸を使って良くない結果となって術式の評判を落とされないように、せめて正しい針糸の入手先のご紹介くらいはさせて頂きます。お気軽にご連絡ください。
(2011.11.11)