アートメイクの施術後の経過


眉のアートメイクの施術後の経過の説明です。

術前。お化粧落としたところ。

まず、メイクの先生がお好みを聞きながら、ベストなデザインを引きます(だいたい30分から一時間くらい)。
  
 次に、そのデザインに沿って紫色のペンで輪郭を引き、女医さんが色素を入れます。下の写真は直後です。この時点では濃すぎると感じるでしょうが、翌日、翌々日と薄くなっていきますので、ここは堪えてください。
 
 約一か月後です。直後に比べると大分色が落ちています。このときの色の落ち具合で、二回目に入れる色素の種類や、入れ方の強さを調整します
 
 二回目の色素を入れた直後です。色素は同じ種類で、初回よりもしっかり入れています。

 翌日です。多少ファンデもついていますが、一日でこのようにやや色は落ちます。


 二ヶ月後です。いい仕上がりです。「眉を描く手間が省けてほんとに楽♪」とのこと。



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 なぜ私がアートメイクを分院のアトリエで始めようと思い立ったかと言うと、これはもう、以前から「アートメイクしたいのだけれど、上手なところを御存じないですか?」とたびたびお客様から聞かれていたからです。

 実際、街中で、アートメイクをしている方は、エステティシャンンや美容師さんなどでもいらっしゃるのですが、アートメイクと言うのは医療行為なので、医師の資格を持たない方が行うのは違法なのです。・・あまり固いことを言うつもりもないのですが、私がそういった方にお客さんをご紹介して、万が一何かトラブルがあった場合に「私の紹介だから安心して行ったのに」と、クレーム頂くことになったら嫌じゃないですか。

 かといって、お医者さんでアートメイクをしているところは、少なくとも平成264月現在、名古屋では他に知りません。厚労省も、「アートメイクは医療行為である」と厳しい通達を出しておきながら、現実にアートメイクをやってもらえる医療機関がほとんど無いという問題点については、全然関心がないようです。

 たまたまご縁があって知り合った、以前アートメイクの施術をしていらっしゃった方から、「最近は警察の取り締まりがきびしくなったので、もうアートメイクは止めました。」と伺いました。同業者もリスクを考えてどんどん手を退いているとのこと。

 しかし、アートメイクの需要は絶対的にありますよね?そういう希望者はどんどんアングラな施術者を探さざるを得なくなります。素性の知れない色素を使われて(注)、おかしな副作用に悩まされることになりかねません。それなら、女医さんも働いてくれることになったことだし、自院で責任の取れるアートメイクを提供しよう、そういうことです。

(注)アートメイク用の色素は海外から個人輸入するのですが、現在は、医師免許を保有していることを示さないと、正規購入は出来ません(以前は出来たそうです)。非医師で現在なおアートメイクを施術している方は、手持ちの在庫でやりくりするか、偽物のリスクのある非正規品をネットオークションなどで購入するしかありません。
 
 医師(美容外科医)がアートメイクを行うのは、「いざとなったらレーザーで消せる」という長所もあります。レーザーを持たない、使えない無資格の施術者は入れた色素を消すことが出来ないので、色調や入れすぎた個所の修正には、上から薄い色を重ねて入れるか、あるいは、不自然なことを覚悟で広範囲に色素を入れてごまかすしかありません。

 たまたま先日良い例えとなる眉アートに遭遇しました。数年前に街のアートメイク屋さんで入れたそうです。(お客様の御了承を得て写真をUPしています)。




 どうにも不自然でしょ?多分ですが、眉頭あたりから始めて太すぎることに気が付いて、あわてて眉尻を急に細くしたってことじゃないか?って思います。

 アートメイクをいったん全部消して、後日新たにアートメイク入れてもいいんですが、うちのスタッフ兼メイクアップアーティストのあこさんにお伺い立てたら、「これはね、眉頭の下と眉山の頂を削ってやれば、よくなるはず。」
 それでその通りにレーザーで消してみました。




 なるほど、バランスよくなりました。顔全体お見せできないのが残念ですが、すごく可愛くなりました。
 眉描きっていうのは、上手な人の意見は大切ですね・・。

 アトリエでアートメイクをやり始めて思うことは、

1)   アートメイクは、いざとなったら消せる(=レーザー治療の出来る)クリニックで施術を受けた方がいい。

2)   デザインがとても重要なので、眉を描くのが得意な人(メイクアップアーティストの資格があっても無くてもいいが、とにかく上手な人)、とのコラボで施術するといい。

です。

 アートメイクをやっている東京のクリニックのホムペをチェックしてみると、元々美容師の方が医学部に入りなおして医師になってアートメイクを施術しているという、脱帽せざるを得ないような方も一名いらっしゃいますが、他はほとんど看護師任せのようです。

 たまたまその看護師の方が、眉描き上手であれば全然問題ないのですが、そういうデザイン的なセンスや経験が無いのに、院長の方針で「うちでもアートメイクをやることにするから、講習を受けてきなさい」と言われて、色素を入れる技術だけ身につけてきました、では、必ずしもきれいな眉は引けないかもです。

 アイラインは・・目のふちをなぞっていけばいいので、デザイン力はあまり要らないですが、眉は、まさにデザイン力が問われる世界です。奥が深いですよ。
(2014年4月18日記)

PRP(多血小板血漿)の作り方 by 鶴舞公園クリニック(2014改訂版)


 当院では、私が考案したオリジナルな方法でPRPを作製していることは、以前からこのブログで何度も報告している通りです。
 個人的興味が昂じて、外部機関にPRP中に含まれているPDGF(血小板由来成長因子)の濃度を、作成方法のパターンを変えていろいろ測定してもらいました。

 PDGFというのは、しこりで問題になっているFGF(フィブラストスプレーの成分でもある繊維芽細胞成長因子)とはまったく異なります。それにも関わらず「同じ成長因子だから似たようなものだろう」と安易に考えて施術した結果がFGF入りPRP療法の悲劇です。

 それは置いておいて、PRPの効果は主にPDGFの作用によると考えられています。このブログでは繰り返し「PRPといっても血小板が十分取れていなければ、効くものも効かない。毎回必ず調整後のPRPの血小板濃度を顕微鏡で数えて、十分な数の血小板が存在することを確認したうえで施術することが肝要だ。」と訴えてきました。

 ところが・・実際にいろいろ条件を変えてPDGFを測定してみると、PRPの血小板濃度とPDGF濃度とは、相関しないのです。ううん、これは困った。

 私の目論見としては、PRP作製の最適条件を決めることもさることながら、血小板濃度とPDGF濃度とは良く相関することを示して、「やはり、血小板濃度を確認することは大切ですね。うちのクリニックでは毎回施術のたびに血球計算版で確認しています。えっへん。」とまとめて、またこのブログで自慢したかったのですが・・。

 それで、いろいろ条件を変えて検討した結果、抗凝固剤としてヘパリンを用いると(PHが中性で施術時の痛みや腫れが少ないので、私は推奨していた)、遠心によってたぶんα顆粒が放出されてしまうのでしょうか、最終的に調整されたPRP中の血小板濃度は多くてもPDGF濃度は低下してしまうことが解りました。

イメージ図
血小板に含まれるPDGFは遠心の刺激によって一部放出されてしまう。そのためPRPの血小板濃度とPDGF濃度は必ずしも相関しない。抗凝固剤としてACD-Aを用いたほうがヘパリンよりも遠心刺激によるPDGF放出が少ない。
 
 抗凝固剤にはACD-Aを用いたほうが最終的なPRPのPDGF濃度は高いです。

 ACD-Aによる痛み対策としては、最終段階でのバッファーコートの希釈を生理食塩水で置き換えてやるといいです。

 以上は解ったのですが・・うーん、これは困った。

 このブログでも散々ACD-Aよりヘパリンのほうが良いと書いてきたし、PRP研究会でも発表しちゃったよ。のみならず、英語解説入りでYoutubeに動画UPして世界中にこの作成法のファン作っちゃった。いや、ほんと、マジで。インドの整形外科の先生とかコスタリカの細菌学研究者とかセルビアの美容外科医とか・・。

 それで責任感じて、英語論文にまとめて報告することにしました。昨日最終的なアクセプトの通知が来たので、たぶん近日中にこの記事に追記できると思います。

 私はまもなく55才になります。この年になって英語論文書くことになるとは思いませんでした・・。30才台くらいだったら鼻高々だったんだけどなー。今は・・あんまりメリットがありません。

 とりあえず、Youtubeには、最新というか、PRP中のPDGF濃度がもっとも高くなる調整条件での作成法の動画をUPして旧動画は消しておきました。関心のある方はご覧ください。

 
https://www.youtube.com/watch?v=gpeikkJhm0s

(2014年4月9日記)