歯医者さんで麻酔後気分が悪くなり、キシロカインによるアナフィラキシーショックを疑われて、以後キシロカインを使用しないようにと言われている患者さんに糸を入れました。
もっとも、詳しく状況をお聞きすると、必ずしもアナフィラキシーではなく、迷走神経反射であった可能性もあるのですが、それは措いておいて、万全を期すために、キシロカインとは化学構造の異なる局所麻酔薬を用意します。
プロカインが定番です。5ml×50アンプルと、この方のためだけに用意するには多量ですが、これが最小包装だし、問屋さんからの仕入れ価格も4千円弱で大した額では無いです。
もう一つ、絶対に必須なのは、0.1%アドレナリンです。プレフィルドシリンジの製品があり、これはクリニックに常備しています(→こちら)。
患者の気分が悪くなった時に、それがアナフィラキシーなのか、迷走神経反射と言って、一過性の自律神経失調なのかは、心拍数(脈拍)を見ればわかります。
最近では、非常に小さなモニターが出てきて、使い勝手がいいです。「チェックミー・プロB アドバンスモデル」といって、amazonで購入できます。
画面のように、SpO2とHR、心電図波形が表示されて、一人分ですが、8時間連続記録されます。本ブログ読んで下さっている同業医師の方、外来小手術時にはほんと使い勝手良くて便利ですよ。
向こうに見えるのは、従来の生体情報モニターです。チェックミーが便利すぎて、まったく使用しなくなりました。
閑話休題、これだけではブログ記事として淋しいので、症例写真を一つ。
10年前に目袋の脱脂(皮膚を切らずに、結膜側から切開して脂肪を取り出す→こちら)の手術を受けた方が、10年ぶりにいらっしゃいました。目の下が相変わらずすっきりを保っていらっしゃったので、ご了解の上写真供覧させていただきます。
<術前>
<10年後>
もっとも、この脱脂の手術も、いまは予約がいっぱいで、受付けていない状態ですが・・
最近毎月一日の予約受付用に、コールセンター用のヘッドセット買いました。受話器ずっと耳に当てっぱなしだと、皆疲れてしまうので。
糸リフトとしみ取りだけで、7か月先まで予約一杯で、ほかの施術に対応が出来ない状態が続いているのですが、女性の性感を高めるための膣ヒアルロン注射(→こちら)と、身体改造願望の方のスプリットタン施術(→こちら)は、お昼休みつぶして対応しています。
なぜかというと、あまりやられていない、新しい領域だから。
症例で示したような、目袋の切らない脱脂は、いろいろなクリニックで普通に施術されるようになってきたと思います。私と同等、あるいは私より目周りの施術に慣れた、上手い形成外科の先生もいるでしょう。だから、7か月待たせるなんておこがましいので、現在休止中です。
しかし、膣ヒアルは、私が改良した注射方法が一番結果が良いと思うし、スプリットタン施術は、もっと受け入れられて社会的認知されていいような気がします。
変なことを言っていると思われるかもしれませんが、人と違った体になりたいという身体改造欲求を満たしたい方は、タトゥーよりもスプリットタンのほうが間違いなく良いです。普段の社会生活で差別されないから。
やったことはまだ無いですが、割った舌を再切開して癒着させて元に戻すことも可能なはずです。タトゥーを消して、元の肌に戻すことは、不可能です。お金もかかるし、何度レーザーを当てても、よく見ればうっすらと痕が判ります。
私は昔から、こういう他の人がやろうとしないけど、よーく考えると正しいのではないか、と思われることに関わってきました。アトピー性皮膚炎のステロイド外用剤依存問題も、昨年発表された新しいガイドラインでは言及されたし(→こちら)、膣ヒアルもスプリットタン施術も、十年後くらいには今よりも普通になっていると予想します。
そうしたら、私はまた別のことに取り組むかもです。まだ元気であればですが。
スプリットタン願望のある主人公を記した私の小説は→こちら
なぜ、私がスプリットタンの施術を引き受けることにしたかが判ると思います。小説というより、ほとんど症例報告のような内容なので、面白い方には面白いと思います。
インスタグラム始めました。クリニックのお花を撮っています。お口直しにどうぞ。
(2019.8.10記)