鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は5月1日(月曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の12月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。
アドレナリンのプレフィルシリンジの使用期限が切れたので買い換えました。もう何回これ買い換えたことだろう。いつも一回も使わず使用期限が来るたびに丸ごと捨ててます。
一箱10本入っていて、問屋からクリニックへの納入価格1577円です。安いとはいえ、もったいないですが、またこれ使わずに済んだ、有難い有難いと、本当に心の中で拝むような気持で廃棄しています。
開業医の方々って、アドレナリン注射液って、何割くらいの方が常備しているんでしょうか?AEDは、結構普及してきていると思いますが、あれは心室細動・心室性頻拍の治療のものなので、アナフィラキシーショックや心静止・PEAのときには役に立ちません。
病院勤務のときには、緊急カートの中に必ずアドレナリン入ってますから、安心なんですけど、開業すると、アドレナリン、他にあんまり利用法もないし、二年で使用期限切れちゃって買い換える手間考えると、少なくともAEDよりは備えられてないんじゃないかなあ。
私のように、1人でやってる小さなクリニックの院長っていうのは、大海原を1人で航海しているようなもので、自由で楽しみも多いですが、「板子一枚下は地獄」です。ある先生は手術室に神棚がこしらえてあって、毎朝拝んでから手術するそうです。真似する気はないですが、気持ちはわかります。
開業して16年になりますが、一回だけ、アナフィラキシーを経験しました。手術じゃなくて、にんにく注射(マルチビタミン注射)でです。注射しているうちに意識が低下してきて、頸部から頬にかけ発赤してきたので、注射を止めて、脈拍数測ってみたら(こういう場合は、迷走神経反射のこともあります。その場合は徐脈で心配することはありません。アナフィラキシーのときは頻脈です)、弱い頻脈でした。
先ず行うべきことは119番コール。
私(スタッフに)「アナフィラキシーショックになるかもしれないから119番かけて救急車呼んで!」
クリニックに救急車来たら恥ずかしいなどと躊躇してはいけません。最悪のシナリオ考えれば一刻も早く救急隊の人手借りて、どこかの救急室に運び入れるべきです。
それから写真のアドレナリン準備していたら、患者さんが、
患者さん「先生、大丈夫です。」
ああよかった、意識低下したのは一瞬で、顔の赤みもさっきよりはちょっと退きました。
私「ごめん、119番電話して救急車もういいって断って!」
スタッフ「先生、もう出るところだって言ってます。」
私「だめだよ、クリニックに救急車来たら恥ずかしいじゃん!ごめんなさい大丈夫でしたって謝って断って!」
とにかく患者さん、しばらく休んでもらって、無事にお帰りになりました。
終わってしまえば、こうやって笑い話に書けるんですけどね。
うちのような小さな個人クリニックで、万が一患者さんが急変した場合に、出来ることっていうのは本当に限られると思います。
自分への忘備録のような気持ちでまとめますと、
1) 胸部圧迫(心マッサージ、とにかくこれが一番大事!)
2) AED
3) アドレナリン(アナフィラキシーショックのときは筋注、心静止のときは静注)
これくらいじゃないかしらん。
あとは
4) 119番電話して救急車を呼ぶ!(遅いよりはまだ早すぎるくらいのほうがいい)
かなあ。
ほかにももちろん救急用医薬品っていろいろありますけど、それは救急室での話。一次救急のさらに手前のゼロ次救急で何が必要か?個人開業医が救急車呼んで到着するまでになすべきことは何か?これ、意外と研究されてないと思います。どなたか、救急出身の先生、ACLSみたいなシミュレーションプログラム作ってくれないかなあ(本気です)。
アドレナリンのプレフィルシリンジ開封した写真です。蓋を開けて針付ければすぐ打てます。エピペンっていう針付きのもあるけど、こちらのほうが静注にも使えるので便利と考えています。
(2017/04/26 記)
鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継