医療アートメイク教本の解説動画の撮影が終了しました

長かったー。

全部で16本、一本がだいたい30分弱ですから、けっこう見ごたえがあります。

堅い内容を、どれだけ噛み砕いて解説出来たかは、ちょっと自信が無い所ではありますが、本文には書きにくいぶっちゃけた内容をしっかりと話すことが出来たので、本を読んでも今一つ痒いところに手が届かない思いをしていた人の中には「ああ、そういうことだったのか」と納得していただけた方もいるのではないでしょうか?

少し調子に乗って羽目を外した箇所もあるかもしれませんが、あまり難しいことは言わずに笑い飛ばしてくださいm(_ _)m

YoutubeUPしていたのですが、Youtubeって、ときどきBAN(運営側の判断で予告なく削除されてしまう)ことがあるようなので、クリニックのHP内に動画を移しました。これなら勝手に削除されたりしません。

https://tclinic.jp/artmake2/artmaketext.html

になります。ご参照ください。


また、教本全文を英訳したサイトも作りました。

https://sites.google.com/view/medical-permanent-makeup-japan

誰か見てくれるといいんですけどね(笑)。

英語サイト作ったついでに日本語サイトも作りました。

https://sites.google.com/view/medical-permanent-makeup-text

これ、教本の内容そのままなので、このサイト読めば本買わなくて済みます。

「本売れなくなっちゃうじゃん!」って言われればまあそうなんですが、別に商売で出版した訳じゃありません。本が好きな人は本で読めばいいし、ネットで読めば済むという方はこちら読んでくれればいいと思います。目的は、一人でも多くの人に知識として知ってもらうことだから。

そのうち英語や中国語の動画も撮りたいなと思います。私はマルチリンガルじゃないので、誰か日本語の堪能な外国人に協力してもらって通訳してもらってですけど。

今年で64才になりました。もう少し元気で働けるかな?

(昨年スタッフたちと沖縄に慰安旅行に行った時のスナップ写真。真ん中がサトピーのお母さんのともちゃん、手前がゆかさん)

2023/09/13記

医療アートメイク教本解説 色素各論 カーボンブラック

 4月に出版した「医療アートメイク教本」ですが、内容が固くて読みにくいのではないかと思って、Youtubeで解説動画を上げることにしました。

 
Amazonで販売中です→こちら

「群青(ぐんじょう)」というアイドルとお笑い芸人という異色の組み合わせのサトピーとそら君に手伝ってもらって、ややこしい話をなるべく解りやすく楽しく解説しているつもりです。よかったら観てみてください。

動画編集は私が診療の片手間にやっています。だいぶ慣れてきました。
最初の頃はマイクで声を上手に拾えなかったりで観にくかったのですが、今回のあたりはかなりましになってきたんじゃないかな?
それで、解説動画を上げるたびに、該当の本文部分を、こちらのブログにも転記しておこうと思います。動画内でもキャプションとして記してはいるのですが、細切れだし、ゆっくりと落ち着いて内容を確認するのに良いだろうからです。
それでは、今回の解説部分を以下に記しますね。

カーボンブラック
黒色色素の基本である。炭素の粉末であり、単純な物質ではあるのだが、アートメイクに用いるに当たっては、粒子径の問題とPAH(polycyclic aromatic hydrocarbon,多環芳香族炭化水素)の問題とがある。
炭素の粉末と聞いて、多くの医療者は「薬用炭を用いてはどうか」と考えるのではないだろうか?薬用炭(Medicinal Carbon)は日本薬局方に収載されており、薬物中毒の際に内服させて消化管内に残存する薬物を吸着させる目的で用いる。
しかしそこには粒子径の問題がある。
薬用炭の粒子径に規定は無いが、目的から考えて活性炭である。活性炭というのは細孔をたくさん有してこの中に薬物を取り込む構造を有する炭素の塊であるから、ある程度の大きさが無くてはならない。その粒子径は小さくても10μm程度と考えられる。このサイズでは粗くアートメイクの細かい線引きには向かない。
したがって薬用炭ではなく、もっと粒子径の細かい炭素を探す必要がある。だいたい10nm程度であれば目的にかなう。
一般的に流通している原料素材から粒子径の小さなものを探してもよいが、少量であれば自作も可能である。実際に海外の医学論文ではときどき自作方法が記されている。
その方法はというと、オイルなりろうそくなりに火を灯し、これを金属板にかざして煤を作る。これを集めて微細な炭素粉末とするもので、失明して白濁した角膜をアートメイクで黒く着色する医学論文に記されていることが多い。微細な炭素粉末をどうやって作るかという参考までに知っておくと良いだろう。
次にPAH(polycyclic aromatic hydrocarbon,多環芳香族炭化水素)の問題である。この問題の背景に触れておこう。
PAHというのは総称であり、PAHに含まれるいくつかの化合物には発癌性がある。PAHは有機物が不完全燃焼する際に生成される物質であり、自然界にも広く存在する。しかしながら工業製品、とくに乳幼児が舐めたり咥えたりする可能性のある物に対しては厳しく規制される必要があるとの考えがとくにドイツで強く、2008年以降GSマーク(ドイツの製品安全認証)を受けるに当たっては、発癌性のある代表的なPAHの含有量の測定が義務付けられ、基準値が設定された。
その後2022年にEUがアートメイク用の色素についての規則を定めており、その中でナフタレン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、クリセン、ジベンゾ[a,h]アントラセンの9物質が明示され、それぞれ0,00005 %(重量)以下であることが要求されている(Official Journal of the European Union, 15.12.2020, L423/15)。
カーボンブラックの製法にはいろいろあるが、上記のようにろうそくの炎を不完全燃焼させるような作製方法においては、PAHが不純物として含有されていてもおかしくない。したがって「アートメイク色素」としてEUに輸出しようとする製品にカーボンブラックが使用されている場合には、上記のPAHの含有率を確認する必要がある。
ちなみに煤からカーボンブラックを自作する方法を記した医学文献を紹介したが、これは医師が施術に当たって自作する限りにおいて合法なのであって、もしもこれを製品化してEU圏内で販売しようとすれば、PAHを測定しなければならないということである。
本邦ではアートメイク色素についての規制はまったく存在しないので、カーボンブラックが原材料として使用されている製品にPAHがどれだけ高濃度に含有されていたとしても、アートメイク用色素として販売することに違法性は無いのだが、逆にそのような無規制の国であるからこそ、アートメイクが医行為として位置付けられたのであり、我々医療者は使用する色素を賢明に選定する必要がある。
(2023/05/31)


「医療アートメイク教本」4月15日に出版です

Amazonで2023年4月15日に発売です。

 

先日来、ここに記しているように、Youtube上でこの本の輪読会をしています。

購入しなくても、Youtube視聴していけば、全文がそのうちここに表示されますよ。

ただし、脱線話が多いので、エネルギーがあって本気で読み込みたいという方は、是非amazonでご購入下さい。

Youtube での配信を始めたのは、堅い本をなるべく柔らかく楽しく読み進められないかとの試みであると同時に、若い人たちとの交流の意味合いもあります。

うちのような若返りクリニックで施術を受けるのももちろん有意義ですが、若い年代の人たちと交流する事も大切です。

「若さを吸い取る」と言ったら吸血鬼のようですが(笑)、ほんの少し分けてもらいます。どうせ向こうは有り余ってるわけだし。

その代わりに、サトピーや空くん、柴田さんのように、夢を追って頑張っている子たちに、こうしてお仕事を回して支援してあげる、それは良いことだし、私たち豊かな時代の日本を生きた昭和の大人たちが為すべき義務であるとさえ思います。厳しい時代だけどみんなめげずに頑張れ。

ぜひ視聴してください。

群青bears(サトピー&空くん)のサイトは

https://instagram.com/gunjobears?igshid=ZjE2NGZiNDQ=

#群青bears | TikTok

群青Bears - YouTube

柴田菜央さんのサイトは

https://bit.ly/43cshZ8

です。

私も最近は自分自身の活動としては、もう年だし引退してあんまり目立つことしなくても良いかなと感じること多いんですが、こうして若い人たち応援しながらなら、もうちょっと頑張ろうかなって思います。

動画編集のやりかたも覚えたしね。Youtube動画の編集は私自身が仕事の合間にやっています。見直していると自分自身が若い人たちに囲まれて楽しそうで嬉しい。


医療アートメイク教本解説(第1回)

https://tclinic.jp/artmake2/artmaketext.html

医療アートメイク教本解説(第2回)


https://tclinic.jp/artmake2/artmaketext.html

医療アートメイク教本解説(第3回)

https://tclinic.jp/artmake2/artmaketext.html

医療アートメイク教本解説(第4回)

https://tclinic.jp/artmake2/artmaketext.html

アートメイクの歌(柴田菜央)

https://youtu.be/6IwseSWqHqw

いまこれだけ動画上げています。よかったら視聴とチャンネル登録よろしくお願いします。

(2023.4.14記)


アートメイクの本出版します

「ご無沙汰しております。先生のところのブログ、更新がないままそろそろ1年経過しようとしています。愛読者としては非常に寂しい限りです。新作を読みたいです。」

昨日こんなメッセージが知人の美容外科の先生から届きました。

たしかに放置していたのですが、いろいろ理由はあって、まず一番は、3年前にコロナの展望についていろいろ楽観的なことを書いたんですが、これが外れたんで、ちょっと恥ずかしくなって、コロナが収まるまで自粛してたってのがあります。

次に私も年を取ってきて(今年64才になります)、こういったブログなどで情報発信するっていうことで、何ていうんだろう、今はやりの言葉でいうところの「承認欲求」みたいなものを満たそうって欲が枯れつつあるのもあります。

もうひとつは、私の経歴を承知の方は分かると思うんですが、もともとアトピー性皮膚炎の脱ステロイドっていうのに長く携わってきました。日本皮膚科学会のガイドラインにステロイド外用剤による皮膚の依存性に関する警告が、まがりなりにも掲載されたっていうのがあって、まあ一区切り、肩の荷が下りたのと、それでもあんまり世の中大して変わっていないように見えるし、美容外科に移ってからは、溶けない糸でのたるみ引き上げに魅了されて、これを追求して長期効果などもエビデンスを確認して英語論文にもして、って取り組んできたんですが、こちらも私が頑張ってるわりには普及しない、むしろ効果の持続しない、私に言わせれば何の意味も無い「溶ける糸」での引き上げが主流のようだし、独り相撲を取り続けることに疲れてきたってのもあります。

久しぶりのブログなのに、元気の無さそうなこと書いてすみません。だけどやることはやってますよ。下の写真何か分かりますか?私が使っている「溶けない糸」の原糸です。プロリンの0番。これに刻みを付けて引き上げ用の糸に加工します。

これだけあると約1万本の糸が製作できます。私はだいたい一年間に2~3千本の糸を挿入するので数年分になります。既に作り置きが1万本くらいあるので、併せれば今後十年分くらいのストックになるでしょう。

糸の加工をしてくれているのは、私よりも年上の職人さんなので、いつ引退されるかも知れません。跡を継いで糸を加工してくれる人もいないだろうから、私があと十年糸を入れ続けたら、この施術も終わるのかなあ。

またまた感傷的になってしまった。いかんいかん。

とりあえずあと2万本くらい糸はあるので、私が健康である限りは施術続けますよ、ご安心ください、って話をしようとしていたのでした。

もう一つ元気な報告があります。アートメイクの本を出版します。

 

いま印刷中ですが、4月中頃にはamazonで買えるようになります。

「はじめに」から少し引用しましょう。

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日本では、アートメイクは医行為であるとされた。そして従来アートメイクを施術していた無資格者たちは違法とされ駆逐された。しかしアートメイクの需要は存在する。

ここをビジネスチャンスと考える医師や看護師、あるいはアートメイク専門院を展開しようと考える事業家も登場した。

筆者は決してそのような考え方を否定するものでは無い。自由診療、とくに美容医療が営利を目的としても何の問題も無い。しかしその内容はどうだろうか?それまでの非医療者の施術を踏襲するだけで、色素の成分や滅菌方法にも無頓着な、およそ医療の名のもとに行われているとは言い難い実態が存在してはいないだろうか?

滅菌ガウンや手袋をして恰好だけは医療行為の体裁を取り、しかし使用する色素は従来と同じ海外からの輸入品で、滅菌されている保証も無く、なおかつ成分内容すら十分に把握していない、そのような施術が医行為の名に値するだろうか?

アートメイクがアメリカのように非医療者による施術とされたままであったなら、筆者はこのような嘆きを抱かない。しかし、本邦ではアートメイクは上述の経緯で医行為とされた。それならば医行為にふさわしく、従来のアートメイク施術に対する検証と修正がなされるべきである。

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こんな感じで徹底的に攻めた内容となっています。現状のエセ「医療アートメイク」を全部ちゃぶ台ひっくり返ししてやりたい、そんな意気込みで書いた本だから、まだまだ私も元気ですね。

対象は、これからアートメイク施術を学びたい、という看護師さん・女医さんたちですが、たぶん一般の方でも現状の何が問題なのかが、理解できると思います。税込み1100円の予定なので、良かったら買ってみてください。正式に出版されたらまた告知します。

NHKの語学講座では、芸能人が生徒役になっていっしょに学ぶという設定がよくあります。

それで、うちのスタッフの息子のサトピーと、相方の空くんを呼んで、生徒役になってもらって、この固い本を読み進めていくというyoutube動画を撮ることにしました。

この動画を視聴するだけでも、内容を理解できる(はず)というものです。

「医療アートメイク教本」というアカウントを新たに作って、これからそうだなあ、週一(努力目標笑)ペースで上げていきたいので、皆さんよかったらチャンネル登録お願いしますね。コメント欄も開放しておきますので一言残してくれたら励みになります。よろしくお願いします。