PRP療法11月以降もできそうです(特定細胞加工物製造届について)・その3


その1は→こちら
その2は→こちら

平成27年11月25日以降もPRP療法の施術を続けるためには、11月24日までに再生医療等提供計画の届け出を済ませなければなりません。その前段階として、平成27年5月24日までに特定細胞加工物製造届を地方厚生局に届け出なければなりません。

この特定細胞加工物製造届を、先ほど済ませました。下に私の届出書をUPしますので、これから届出しようとする先生(クリニック)方、どうぞ参考になさってください。


このほかに、添付書類がいくつかあります。「細胞培養加工施設付近略図」は、航空写真のようなもの、とあったので、私はGoogle mapをそのままプリントアウトして用いました。「細胞培養加工施設の敷地内の建物の配置図」は開院時に保健所に届けた図面を用いました。

さて、「細胞培養加工施設平面図」ですが、ここには「清浄度管理区域」と「無菌操作等区域」を記す必要があります。クリニックの場合、清浄度管理区域=手術室と考えて明示すれば可のようです。無菌操作等区域ですが、これは実際にPRPをピペッティングなどで調整するエリアのことで、私の場合は手術機械台を無菌操作等区域として届け出ました。先回の記事(→こちら)で触れた「クリーンベンチ」ですが、厚生局担当者の方によれば「もちろんあった方が望ましいが、必須であると通達が出ているわけではない」そうなので、私の作成法(→こちら)が閉鎖式(市販キットのように遠心管のふたを開けて解放した状態でピペッティング操作を行わない)であることを説明して、受理してもらいました。通常の開放式の市販キットを用いる場合は、簡易型のクリーンベンチを購入してその中で操作するようにしたほうが、届け出をスムーズに済ますためには良いかもですね。

従って、「清浄度管理区域」と「無菌操作等区域」、および「主要な製造用機器器具と試験用機器器具の配置面」は、私の場合、下記のようになります。
(赤が機器器具)

「製造工程のフロー図」は、

1) 採血(手術ベッド上)

2) 遠心分離(遠心分離機)

3) 調製(テーブル)

4) 廃棄(医療用廃棄物ボックス)
 
で足ります。

また、「製造しようとする特定細胞加工物の一覧表」は、

1) PRP(多血小板血漿)
以上
(日付、〇〇クリニック手術室)

で完了です。

以上を厚労省の支援サイト(→こちら)の「特定細胞加工物製造届(様式第27)」に、入力・アップロードします。私の場合は、入力途中で、地方厚生局の担当の方がわざわざお電話くださり、不備な点・修正すべき点を指摘して教えてくださいました。たぶん、まだ届出をしている人が少ないからだと思います(東海北陸厚生局管内で私が二人目だそうです)。

無事担当の方によるチェックも済んで、届出書を確定し、プリントアウトして押印して郵送しました。しばらくすると施設番号が割り当てられて連絡が来るそうです(追記:一週間後に連絡来ました。施設番号はFC4140002)。そのあと、認定再生医療等委員会での審査→11月までに特定細胞加工物製造届という運びになります。

担当者のかたから、「是非ご友人やお知り合いの先生方に、今回の経験を基に、手順を教えて差し上げて下さい」と言付かりました。担当者の方もお仕事ですから、スムーズに届出が行われた方が有り難いに違いありません。たいへん親切に対応いただきましたので、このようにブログ記事にして周知のお手伝いさせていただいております。担当者の方、ここをご覧になっておりましたら御礼申し上げます。どうもありがとうございました。また11月の届け出のときにもお世話になるかと思いますのでよろしくお願いいたしますm(_ _)m。

追記)
先端医療推進機構(JAPSAM)の林先生のCPC(細胞培養施設)見学してきました。
 
この日の作業は終わっていたので、小窓の外から写真を撮っただけですが。
 
実際の作業の様子はこんな感じ。PRPは調整後すぐに使用するので、厳格な無菌性は不要ですが、培養となると、空中浮遊菌1個でも入ればおしまいですから、設備も操作も厳格です。
 
手術用ロボットの製作も行っているそうです。ロビーに展示してありました。
 
 
ロビーから見た中庭。きれいですね。ビバリーヒルズのテラスみたい。
 
林先生「脂肪由来幹細胞っていうのは、培養すると上清にHGF(肝細胞増殖因子)を放出するんですよ。我々は細胞培養が目的なので、上清は捨ててしまう。これはもったいないと常々思ってます。」
私「それならそれを皮膚に注射することも出来ますよね。HGFってどんな作用があるんですか?」
林先生「劇症肝炎には治療薬になります。免疫抑制に働くんで、リウマチ・膠原病なんかに応用できます。」
私「アトピーとか皮膚科領域でも使えそうな話ですね。化粧品にはできないかな?」
林先生「その辺は、私では解らないので、先生方で研究してみてください(笑。」
 
調べてみたのですが、HGF、分子量が85000ありますから、ちょっと特殊な加工をしないと、すんなりとは皮膚を透過はしないでしょう。
もう一つ、化粧品成分として登録するには、手続きが大変です。だから一般向け化粧品としては難しいですが、その人オンリーのドクターズコスメとしてはいいかもですね。いわゆる「幹細胞化粧品」というやつです。ネットで調べると既に取り組んでいるところありますね。
ダーマローラーやフラクセルなど深達度のある施術のあとに培養上清を皮膚に外用するというのもいいかもです。皮膚透過の問題はクリアするし、注射後の過剰増殖が問題となっているFGFと異なり、作用が穏やかなはずです。もともと脂肪組織内に存在する幹細胞が生理的に合成しているものですから。
こんど林先生に培養上清すこし分けてもらって、自分に施術してみようかと考えています。林先生もこういう実験的なことはお好きなようで、一緒に打ってみましょうかと笑っておっしゃってました。
こういう新しいこと、面白いこと考えているときって、わくわくして楽しいですね。
 

(2015年1月22日記)
 
再生医療提供計画の提出については→こちら
 
 

 

PRP療法11月以降もできそうです(認定再生医療等委員会について)・その2


その1は→こちら

昨日から各方面にメールを送り、早速数名のクリニックの院長先生から是非お願いしますとの返信がありました。
その一つが興味深かったので引用します。

=====(ここから引用)=====
PRP審査の件でお誘い頂き、ありがとうございます。
先生のブログを拝見するまでは到底無理だと諦めておりましたので、何か方法があるかも、、、というだけで嬉しいです。
去年11月のPRP研究会で厚生労働省のお役人が来られて再生医療等安全確保法の話がありました。
その話では、まず施設にCPC(Cell Processinng Center)もしくは CPFがあるのが大前提(当院はそこからして無理)で、そこでOKが出たらそれから委員会を組織して、、、だったように理解していました。
もしも当院のような小さなクリニックでもPRP治療の認可がおりるならチャレンジしたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
=====(ここまで引用)=====


ここで引き合いにされている「PRP研究会に来た厚生労働省のお役人」というのは、この方だと思います。
厚生労働省医政局研究開発振興課再生医療研究推進室 飛田護邦先生
http://prp.kenkyuukai.jp/about/
名前で検索すると、順天大形成の歯科医師のようです。
http://www.juntendo.ac.jp/staff/keisei_geka/

私はこの研究会に出席していなかったので、どんな話がなされたのかは解りません。歯科医師であればPRPの作製・施術にそこまで厳格な無菌施設は不要であることは御承知のはずですから、聴講した先生の勘違いではないか?と思ったのですが、たまたまネット見つけた、みやた形成外科・皮ふクリニックの宮田先生のブログに下記のような記載がありました。
=====(ここから引用)=====
さて、学会(注:形成外科系の美容外科学会:JSAPSのこと)においては評議員会が開催され、再生医療に関する法の施行に伴う医療機関届け出や審査の説明がおこなわれました。PRPなど当院でもおこなっている治療もその法律の規制の下に置かれる可能性があります。現時点ではまだ明確なことが分からないままですが、最低ラインの三種というものに該当する治療でも、外部と遮断した換気・衛生環境のある施設のみが認められる可能性があるそうです(学会内の委員会でも見解が分かれています)。高額な設備投資と専用施設を要するため、そうなった場合には当院ではPRP治療が出来なくなる可能性があります。今年5月に差し迫っており、また詳細は学会で検討するようです。
ただこの法律は細胞培養もしくは加工をする事に対する規制であり、PRPは単に遠心分離して濃縮するだけなので、それが本当に該当するのかどうか。。。。

http://ameblo.jp/miyatakeisei/entry-11976696508.html
=====(ここまで引用)=====

うーん。
私は、PRPの作製にそんな大層な施設や設備は要らないし要求されてはいないと思うけどなあ。
たしかに、厚労省支援サイトに「細胞培養加工施設の構造設備チェックリスト」(→こちら)があります。必ず添付しなければならないことになっています。
しかし、ここでいう「細胞培養加工施設」というのは、字句通り、PRPを実際に作製する場所のことを言っているのであって、必ずしもお二人がイメージするような大げさなものでは無いと私は解します。

飛田先生の「施設にCPC(Cell Processinng Center)もしくは CPFがあるのが大前提」というのは、そりゃそうでしょう、作製する場所が無ければ作れません。宮田先生の「外部と遮断した換気・衛生環境のある施設のみが認められる」というのは、クリニック程度の衛生的な環境のことを言っているのであって、「細胞培養加工施設」という名称から、失礼ながら、お二人とも、過剰に恐れおののいているのではないでしょうか?

ところで、2年ほど前、私が自作キットでの簡易安価なPRP作成法をPRP研究会で報告したときに、同じく演題を出していた株式会社細胞応用技術研究所という企業があります。
http://l-cat.co.jp/service.html
これはどういう会社かというと、PRP作製の外注受託をいたします、というところです。クリニックで採血したら、それを回収してPRPを作製してまたお届けにあがります、というベンチャー企業です。

もしもお二人の先生がイメージするような、本格的な大学実験室並みのCPC(CPF)でなければPRP作製は不可ということになれば、この企業はビジネスチャンスと考えるでしょうね。

しかし、これを用いると、PRPの施術は非常に高額なものになるでしょう。少なくとも東京以外では採算は取れないと思います。いや、今の日本では、東京でも無理かも・・。
もちろん私は受託サービスは利用せずにPRPから撤退します。一回のPRPの施術に5万円以上の代金を設定することは私には抵抗があります。一回の施術に20万~30万を請求するぼったくり系の美容外科なら、こういう外注委託活用できるかもですけどねー。

あるいは、手術室に小さなクリーンベンチ買って置いて、CPC(CPF)ということにするかな・・。しかし現実問題不要だから買っても邪魔になるだけだろうな。ばかばかしい。
美容外科クリニックには手術室がありますから、そこに数万円の
小型クリーンベンチ買って置けば無菌操作が可能です。

前回の記事にも書きましたが、PRP療法で、感染を起こしたケースとかが存在し、問題となっていれば、話は別ですよ。それなら対策としてこういうことを強化すべきだというのは解る。
しかし、これまでまったく問題が生じていないのに、PRP作製に研究室並みのCPC(CPF)が必要だと主張する人がもしいたとしたら、それは、

1) 既に何らかの理由でCPC(CPF)を有する施設(大学など)が、施術を独占したい。
2) PRPを外注委託する企業を育成したい。

のどちらかの意図だと思います。
あるいは非常に潔癖な性格の方で、何が何でも(現状で問題が生じていなくても)厳密な無菌環境でPRPを作製すべし、と考える方もいるのかもしれませんが。いや、もしそうだとしたら現場としてはかなりな迷惑です。

とにかく私は、PRPにおいて「細胞培養加工施設」は、単に作製する場所と言う意味で必要で、それはクリニック程度の「外部と遮断した換気・衛生環境のある施設」であれば良いということだと解しますよ。
また、「清浄度管理区域」や「無菌操作等区域」という語が出てきますが、これも字句通りのことであって、手術室は清浄度に配慮されて設計・管理されているし、手術は無菌的操作で行われますがクリーンベンチ内で行われるわけではないでしょう?要するに、手術室で手術がなされるのと同適度の清潔環境・無菌操作でPRPが作製されれば良い、そういうことですよ。

考えてもみてください。アメリカでもヨーロッパでも、PRP作製にそんな厳格な施設基準で規制かけてる国、どこにも無いじゃないですか。日本だけ厳格化する必然性が無いです。

その3に続く→こちら
 
(2015年1月16日記)

PRP療法11月以降もできそうです(認定再生医療等委員会について)・その1

 
前記事「来年11月からPRP療法は出来なくなるみたいです 」は→こちら

私はときどき、近所にあるメガロスというスポーツジムに行くのですが、そのすぐ隣に「incubator(培養器)」と書かれた建物があります。


「これ何の建物なのかなあ?」と長年気になっていたのですが、最近ようやく解りました。
「名古屋医工連携インキュベータ」といいます。
鶴舞には名大医学部と名工大が隣り合っています。名市大も近いです。そういった大学発の技術を事業化するベンチャーを支援する建物のようです。
http://www.smrj.go.jp/incubation/nalic/
この中に、特定非営利活動法人 先端医療推進機構(JAPSAM)があります。
http://www.japsam.or.jp/index.html
この機構の活動の一つに、治験審査委員会の外部機関としての受託があります。
新薬の開発には治験が必要ですが、これが適正に行われているかどうかを監視するのが治験審査委員会です。大学や病院が自前で組織しているところが多いですが、それでは第三者としての中立性が保てません。それで、治験を実際に行う医療機関とは別組織が行ったほうが望ましい、そういう観点から成立したもののようです。

ご縁があって、このJAPSAMの理事の一人である林衆治先生(名古屋大学先端医療バイオロボティクス学寄附講座前教授)とお話させていただき、うちのクリニックのPRP療法の審査をお願いできることになりました。ちょうどJAPSAMとしても再生医療等委員会を立ち上げつつあるところで、私が第一号だそうです。
なので、11月以降も、たぶんですが、PRP療法施術できそうです。よかったよかった。

林先生と、もうお一人、元名古屋大学整形外科教授の岩田久先生のお二人に、先日うちのクリニックまでお越しいただきました。
実際に私の考案したPRP作成法を見ていただき、また色々お話しさせていただきました。


 左が林先生、右が岩田先生。林先生は名大外科の移植グループのご出身で、癌免疫療法を実践されています。脂肪由来幹細胞のバンキングやiPS細胞作製も可能で、これらの臨床応用にも積極的です。美容の方面での研究や臨床応用を共同で行うことにも前向きで、頼もしい限りです。

岩田先生は、整形外科の大御所です。スポーツ医学におけるPRP療法は、田中将大選手の肘の治療に用いられたように、海外では広く行われているのですが、日本ではまだ一般的ではありません。今後、岩田先生が整形外科医を組織して、PRP療法を普及させるにあたって、私の安価で経済的(原価が1000円かかりません)な作成法は有用だから、タイアップして、新規にPRP療法を始める整形外科医を対象に講習会を開こうか、という流れになっています。

もともと、愛知は物造りの街です。こういった先生方と交流・連携して、新しい臨床技術を名古屋から発信していきたいものです。

さて、具体的な申請の手順ですが、私の理解するところによれば、PRP療法というのは、認定再生医療等委員会の審査さえ通れば、あとは地方厚生局への届け出だけで済みます。届け出だけですから認可はいりません。
なおかつ、厚労省も混乱を回避したいと工夫したのでしょう、昨年末に支援サイトがUPされました。

https://saiseiiryo.mhlw.go.jp/

この「再生医療等提供計画関連」の「提出様式作成」→「再生医療等提供計画(様式第1)の新規作成」とクリックして、必要事項を記入していけば、自動的に申請書が出来上がります。

もう一つ「特定細胞加工物製造関連」の「提出様式作成」→「特定細胞加工物製造届(様式第27)とクリックして、必要事項を記入します。ここで注意すべきは、医療機関、すなわち私たちクリニックの医師がPRPを作製する場合は、様式第14ではなくて第27の方です。

特定細胞加工物製造届は2015年5月24日までに、再生医療等提供計画は2015年11月24日までに提出しなければなりません。

もっとも、現在、各地で認定再生医療等委員会が立ち上がって、厚労省の審査を受けているところです。2015年1月現在、ネット上で認定再生医療等委員会を探しても、あちこちで立ち上げはあるものの正式に審査の受託を受けているところはありません。

話は戻って、私たちクリニックの院長の行動計画ですが、3月くらいには各地で認定再生医療等委員会が立ち上がるであろうから、4月に審査を受けて、5月24日までに特定細胞加工物製造届と再生医療等提供計画を地方厚生局に提出すればいいです。そうすれば今年の11月以降もPRP療法を継続できます。
ネットで検索すると、厚生局への届出など、自分でやればネット上で30分くらいで出来てしまう仕事を、請け負いますというサイトが色々出てきます。しかし、重要なポイントは、これらは「届出」ですからね。審査が必要なのは認定再生医療等委員会だけですから、ここにお金を払えばあとは不要です。不要なところにお金を払うと、結局はそれが消費者=お客さんに転嫁されてPRPの施術料金を高く設定せざるを得なくなるわけですから、自分で出来る「届出」は自分でやりましょう。

林先生とお話しして意見が一致して盛り上がった点があります。それは、施術の前の審査を厳しくするのではなくて、審査を通したあと、そのクリニックで行ったPRPの施術によって何らかの有害事象が生じた場合に、これを把握するシステムこそが重要だ、という点です。
方法はいくつかあります。たとえば、全例厚労省に報告するとか、有害事象が生じた場合に報告を義務付け違反したら罰則を課すとか。実際、認定再生医療等委員会がいかに専門家で構成されていても、美容外科の施術としてのPRP療法の臨床にまで精通しているのではありませんから、事前審査には限界があります。いっそ、事前審査の門戸はゆるくして、その代わりにその後の監視を厳しくした方が理にかなっています。
認定再生医療等委員会というのは、5人で構成できるし、おそらく大手のチェーン系の美容外科などでは、自前で組織してしまうのではないでしょうか?チェーンで10クリニックあれば、10店舗分の審査料を払うよりも、安く済むかもしれませんし、審査もクリニック側の思いのままでしょう。そうすると、この認定再生医療等委員会の審査そのものが、不良な施術をカモフラージュする免罪符のように機能してしまうことすら考えられます。

閑話休題。
たまたま見つけた小ネタです。1990年のクイズ王決定戦のYouTube動画。
https://www.youtube.com/watch?v=JAzYodFYW6Y
 「初の外人記者として中国に入り、「中国の赤い星」を著したアメリカ人ジャーナリストは?」
答えは「エドガー・スノー」。よくこんなこと知ってるなー。
13分30秒頃からの問題、「小鼻の横から、ほほ、くちもとにかけて出る線を、人相占いでは何と言う?」
これ、二人の新旧チャンピオン、答えられませんでした。答えは「ほうれい線」。
今から25年前、「ほうれい線」という言葉は、クイズ王ですら知らなかったということです。
これはたまたまこの二人が知らなかったのでは無い。そもそも決勝戦の問題として採用されている時点で、難問と認識されていたということだし、私も25年前には「ほうれい線」という言葉知らなかったと思います。いつごろだったかはっきりしないですが、この単語が世の中で使われるようになって「ほうれい線の法令って、なんで法令って言うんだろう?」と疑問に思った記憶があります。たぶんこのちょっとあと、90年代後半か2000年頃です。
世の中、いつのまにかゆっくりと変わっています。10年20年先にはさらに変わっているのだろうな。

話は戻って、再生医療関連法案というのは、iPS細胞が正しく活用され、日本の国益にかなってくれるよう環境設定のために成立したといっても過言ではないです。なぜPRPなど美容外科施術が絡め取られたかと言うと、数年前に京都で脂肪幹細胞の点滴を受けた後で韓国人のメディカルツーリズム客が死亡すると言う事件があったからでしょう。患者は規制の多い韓国を避けて日本で施術を受けました。こういったことが再びiPS細胞絡みで起きて、日本のiPS細胞の臨床応用が足踏みしてしまっては他国に抜かれてしまいます。
だから今回の規制の目的は、「思いつきで勝手なことをして虎の子のiPS細胞の足を引っ張るな」ということに尽きます。PRP療法に問題があって法規制が必要と判断されたわけではありません。だから現状のPRPの施術に強くブレーキがかかるということは無いはずです。
むしろ、厚労省あるいは国が描く最終的なイメージと言うのは、京都であったようなややこしい事件が再発することなく、しかし一般医療でも美容医療でも、再生医療が健全に育ってくれると良い、10年後20年後にはアジア各国から再生医療のために日本にさらに多くのメディカルツーリズム客に来て欲しい、そういうことです。
規制は逸脱せずに、しかしその範囲内でいろいろ頭をひねれば、何か面白いアイデアが生まれるかもしれません。規制をネガティブに捉えずに、いよいよ自由に臨床応用を工夫するための土俵を国が作ってくれたんだ、と考えると良いかもですね。

その2(→こちら)に続きます。

(2015年1月14日記)