鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は5月1日(月曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年12月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。
小ネタ(?)3本です。
1 ヒアルロン酸注射で失明させないために・その7
ウサギの実験をもう一回やってみました。側孔付きの針(→こちら)です。この針でウサギの耳の小動脈にヒアルロン酸を注入しようとして、どうしても注入できなければ成功です。
結果は・・一発目でしっかり動脈内に入ってしまいましたorz・・。
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この方法では駄目かもです・・。
一応発見はあって、対側の耳でも同様にやってみたんですが、一回目は血管内に入りますが、2回目以降は血管内に入りません。ということは、針先が少し鈍だと、皮膚は貫通しても動脈壁には刺さりにくいのかもです。
もう一つは、血管内に入った後、マッサージしてやると、すぐにではないですが、血流に飛ばされて開通するみたいだという点です。ということは、塞栓を疑ったら、一生懸命マッサージしてやることは、少しは意味があるかもしれません。目の中に指をつっこんでぐりぐり押すくらいでなければいけないのかもしれませんが・・。
引き続き研究続けます。大事な問題ですから・・。
一応、ウサギでのこういう実験モデル作ったことは評価されていいと思います。この実験モデルで、誰がどんなに頑張っても、血管に入らない針を開発すればいいということなので。
2 国産のアートメイク色素作ります・その6
ようやく試作品ができました。この3色で多分、日本人の眉とアイラインは事足りると思います。
成分は非常ーっにシンプルです。1)カーボン粉末と2)赤色二三酸化鉄、3)黄色二三酸化鉄、これらを4)マクロゴールという粘度のある液体に混ぜて作ります。1)~4)とも皮膚科的観点から安全性は高いです。念のために、最終的に1)多環芳香族炭化水素、2)鉄含有率、3)鉛・ヒ素・水銀含有率を測定しておこうと考えています。
ただ、問題は・・実際に販売するとなると、医療器具としての承認を取らなければなりません。
ちなみに、アートメイク色素の場合は、それ自体に薬効があるものではないので、医薬品ではなく医療器具の扱いになるようです。私も知らなかったのですが、ジュビダームなどのヒアルロン酸注射、これも医薬品ではなくて医療器具です。単に組織を盛り上げるだけで薬効はないので。
医療機器にはクラス1~4の分類があります。アートメイク色素の場合、体内に留置することになるので、クラス4の高度管理医療機器となる可能性が高いです(まだ同様の製品が承認を得ていないので、確定ではありませんが)。
すると、PMDAという機構での審査が必要となるのですが、この費用が2千万円越えそうです・・。
ヒアルロン酸注射のような一本数万円単価の製品なら、元は取れるかもしれませんが、アートメイク色素って、せいぜい3千円くらいのものです・・。一本千円の利益見込むとして、審査費用の元取るまでに2万本売らなければ・・。
どうしたものかと考えあぐねています・・。
泣き言書くようで気は進まないのですが、日本のこういう医療機器の審査の厳格さっていうのは、有用な側面もあるとは思うのですが、その一方で、美容外科領域で用いられるようなマーケットが限定された医療機器に関しての、日本企業の参入障壁を高くしてしまっています。たるみ引き上げ用の針糸などまさにそうです。母国で審査の通りやすい韓国やヨーロッパの製品が日本の市場を席巻することになります。医師がこれらの製品を個人輸入して使用する場合には、日本の医療機器としての承認は不要だからです。国内で医師向けに販売しようとすると、規制がかかります。なんだかおかしな話です。
海外の企業が日本の医師に販売するのは規制がなくて、国内企業が日本の医師向けに販売しようとすると、薬機法第68条(→こちら)に阻まれます。
だけど、なんとかしようと思います。医師が医療行為としてアートメイクを任された以上は、大事なことですからね。頑張ります。
気が付いたことが一つあります。韓国のみが、日本と同じくアートメイクを医療技術として、医師免許が必要な行為としています。ということは、欧米よりも韓国メーカー製の色素のほうが、まだ安全性は高いのかもしれません。このあたりは、調査中です。韓国でアートメイク色素を作っているメーカーは4社くらいあるようです。ただホームページを見ても、成分開示はなされていません。
続き→こちら
3 ピコレーザー購入することにしました
うちのクリニックでしみを取ったお客様には、ほぼ全員レーザーカーボンピーリングをお勧めしています。予約がとりにくくなったので、本院での新規予約は中止し、アトリエの典子先生とクオールの麻子先生にお願いしていたのですが、両分院とも予約がとりにくくなってきてしまいました・・。
それで、和子先生にお願いしているスタジオでもレーザーカーボンピーリング始めてもらおうと考えています。そこで必要なのが、新しいレーザー(メドライトC6)なのですが、どうせなら、本院にあるC6をスタジオに移動して、新しくピコレーザー買おうと考えました。
ピコレーザーのメーカーは現在数社あるんですが、ピコシュア、ピコウェイ、エンライトンという三機種がよく購入されているようです。
私はエンライトンを選んだのですが、その理由は、
「うちにはタトゥーのお客さんはあまり来ない。圧倒的にシミを取りに来るお客さんが多い。」
からです。
ここから先は、同業者向けの話になります。一般の方は雰囲気だけ読んでください。
上図は、ピコシュア、ピコウェイ、エンライトン三機種のフルエンスのグラフです。しみは私のところでは532nmで2J/cm2のフルエンスで取ります。Spot Size 2mmの場合に、ピコウェイ、ピコシュアだとこのフルエンスが出ないようなのです(右図の赤丸)・・。タトゥー除去マシンとして開発された結果でしょう。
3mmだとピコウェイでも2J/cm2のフルエンスが出せるのですが、そばかすのような小さな色素斑には、3mmは大きすぎます。2mmでも大きすぎるくらいです。なので私は古いMedLiteⅡがいまだに手放せないのですが・・。
ほかの先生方の多くは、「ピコシュアだと多色のタトゥーに対応できる」「ピコウェイがパルス幅が狭くフルエンスのピークも高いようだ」と考えると思いますが、私の場合、ピコレーザーで何をしたいかというと、しみ取りです。そうすると、エンライトンがいちばん使い勝手が良さそうだ、ということになります。
「なんで深谷はエンラントン選んだんだ?」と不思議に思う先生いるかもしれないので、説明しました。
レーザーカーボンピーリングはSpot Size 6mm、1.3J/cm2でやっているので、どの機種でもできそうです。
MedLiteⅡの新品が入手できれば、いちばんいいんだけどなー。この感覚、車で例えると、旧車のGTRにこだわって整備して乗り続けてきた人が、さすがに部品調達もままならなくなってきて、壊れたときの予備にそろそろ新車を一台購入しておくか、という感じです。状態の良いMedLiteⅡお持ちで倉庫に眠らせている先生いないでしょうか?JMEC介して有償で引き取らせていただきますm(_ _)m。
(2017/04/01 記)
鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継