厚労省の方針で、美容外科のHP中の、単純な「before→after」の写真解説が、今年中に規制されて出来なくみたいです。誤解を招きやすいからだそうです。
それで、HPのリニューアルに向けて、基本的な事項をまとめていこうと考えました。写真は入りますが、単純な「before→after」でなく、むしろ詳細な経過写真と解説なら、趣旨から考えて許されるのではないか?と今のところは考えています。
HPのリニューアルのためなので、ところどころ、現在のHPやブログの写真と重複しています点、御了解ください。
レーザーカーボンピーリングは、いわゆる「照射系」といわれる施術の中で、唯一うちのクリニックが採用しているものです。照射系というのは、レーザーやフラッシュ光線、ラジオ波などを、低出力(やけどしない程度)にお顔全体にあてることで、ダウンタイム無くゆっくりとお肌の若返りを計る施術です。
歴史は古く、1999年のjournal of cutaneous laser therapyという専門誌に論文が掲載されています(1:p23-27, Skin resurfacing utilizing a low-fluence Nd:YAG laser)。私は、開業前の勉強中にこの論文を読んで、これは良さそうだから是非やろうと考えて、クリニックの内装設計時に、わざわざ、セントラルクリーナーシステムを取り付けました。
カーボンレーザーピーリング時の煙は、ホース→差込み口を介して、屋外に設置されたモーターで排気されます。
カーボンローションにレーザーを当てると、結構煙が出ます。良い施術でレーザーがあれば可能であるにも関わらず、採用しているクリニックが必ずしも多くないのは、この煙で内装が汚れるからだと思います。うちのクリニックの基調色は白ですが、セントラルクリーナーで排気を屋外機へと誘導する設計のため、室内が汚れません。カーボンレーザーピーリングを行うために設計したクリニック、と言ってもいいくらいです。
実際の施術の様子はこちら。
(画像または→こちらをクリック)
まず、お顔全体にカーボンローションを外用します。カーボンローションというのは、炭素粒子をミネラルオイル(=ベビーオイルのこと)に懸濁したもので、当院では自家製です。なぜ自家製かというと、出来合いのカーボンローションは、粒子径が大きいからです。
さて、この皮膚の上にカーボンを塗って焼くという作業は、上に記した毛孔への効果のほかにも、いろいろな意味があります。
カーボンを塗らずに低出力のレーザーを皮膚にあてると、その多くは、角層・表皮の浅いところを透過して、表皮の一番深い層(基底細胞層)および真皮上層で吸収されます。この部に茶色~黒色のメラニンが多いからです(下図)。
一方、皮膚表面にカーボンを塗って、低出力のレーザーを当てると、レーザー光の多くは、このカーボンに吸収され、熱や振動、二次的に発生する様々な波長の強い光といったエネルギーに変換されて角層や表皮の浅い部分へと作用します(一部は、カーボンにトラップされずに、深いところに達します)。
レーザーは単一波長ですが、カーボンに当たったときに発生する二次的な光の波長は様々です。ちょうど、フラッシュ光線のようなものです。ですから、レーザーカーボンピーリングというのは、フラッシュ光線(フォトフェイシャルなど)とレーザーとを混ぜて照射しているようなものです。カーボンを介した「間接照明」みたいな感じですね。
さて、当院では、レーザーカーボンピーリングの直後には、ビタミンCのイオン導入を必ずします(5回で10万円という価格は、イオン導入とのセットです)。その理由を解説します。
上図で、角層は、ダメージを受けて、ミクロのレベルで「ひび」が入ったような状態になります(見た目の変化は無いですが)。
(画像または→こちらをクリック)
そもそも、ビタミンCというものは、なぜイオン導入するかというと、ビタミンCというのは、電気的にマイナスに帯電していて、一方、角層もマイナスに帯電しているので、ただ塗っただけでは、電気的に反発して、ほとんど皮膚に入っていきません(下図)。それで、ビタミンCを皮膚に塗って、それをさらに上から強力なマイナスの電位でもって無理やり押し込めていく、それがイオン導入です。
さらに、ビタミンCのイオン導入というのは、上の動画でご覧いただくと解るように、皮膚をビタミンCの溶液を沁み込ませたコットンで拭き取るような作業の繰り返しですが、このとき、ひびの入った角層は、無理なく剥がれてきます。「ピーリング」です。
下図は、レーザーカーボンピーリングをした後で、イオン導入をした際に、順番に交換したコットンを左から並べたものです。これだけの量の古い角質が、ピーリングされて、その分、お肌の色は、施術直後に明るくなっています。
下段の黒いガーゼは、カーボンローションです。色の違いから、上段のコットンに付いてきたのが、カーボンの残りではなく、剥がれた角質細胞だということがわかります。顕微鏡で拡大しても、確かに角質細胞とわかります。
以上のように、レーザーカーボンピーリングおよび、その直後のビタミンCイオン導入というのは、いくつものメカニズムがうまく組み合わさって、総合的に「くすみ・しみ・美白(透明感が出てきます)・肌の張り・毛穴の引き締め・にきび」などに作用するものです。肝斑・戻りじみにも有効です。
とても巧妙で、バランスのとれた施術なので、開業前に惚れ込みました。うちのスタッフたちも大好きで、全員が毎月欠かさず続けています。全ての方にお勧めですよ。
(2012年1月27日記)
それで、HPのリニューアルに向けて、基本的な事項をまとめていこうと考えました。写真は入りますが、単純な「before→after」でなく、むしろ詳細な経過写真と解説なら、趣旨から考えて許されるのではないか?と今のところは考えています。
HPのリニューアルのためなので、ところどころ、現在のHPやブログの写真と重複しています点、御了解ください。
レーザーカーボンピーリングは、いわゆる「照射系」といわれる施術の中で、唯一うちのクリニックが採用しているものです。照射系というのは、レーザーやフラッシュ光線、ラジオ波などを、低出力(やけどしない程度)にお顔全体にあてることで、ダウンタイム無くゆっくりとお肌の若返りを計る施術です。
歴史は古く、1999年のjournal of cutaneous laser therapyという専門誌に論文が掲載されています(1:p23-27, Skin resurfacing utilizing a low-fluence Nd:YAG laser)。私は、開業前の勉強中にこの論文を読んで、これは良さそうだから是非やろうと考えて、クリニックの内装設計時に、わざわざ、セントラルクリーナーシステムを取り付けました。
カーボンレーザーピーリング時の煙は、ホース→差込み口を介して、屋外に設置されたモーターで排気されます。
カーボンローションにレーザーを当てると、結構煙が出ます。良い施術でレーザーがあれば可能であるにも関わらず、採用しているクリニックが必ずしも多くないのは、この煙で内装が汚れるからだと思います。うちのクリニックの基調色は白ですが、セントラルクリーナーで排気を屋外機へと誘導する設計のため、室内が汚れません。カーボンレーザーピーリングを行うために設計したクリニック、と言ってもいいくらいです。
実際の施術の様子はこちら。
(画像または→こちらをクリック)
まず、お顔全体にカーボンローションを外用します。カーボンローションというのは、炭素粒子をミネラルオイル(=ベビーオイルのこと)に懸濁したもので、当院では自家製です。なぜ自家製かというと、出来合いのカーボンローションは、粒子径が大きいからです。
カーボン粒子の大きさは、毛孔の引き締めに対する作用を考えたときに重要です。毛孔の直径はだいたい50μmくらいですが、出来合いのカーボンローションの粒子径は必ずしも均一ではなく、だいたい20μmのようです。これでレーザーピーリングをしますと、下図左のような感じです。
カーボン粒子は毛孔のふちに引っ掛かって、そこでレーザー光に反応して爆発してエネルギーに変ります。この刺激が毛穴のお掃除と、それに続く引き締め効果へとつながります。大きな粒子でも効果が無いわけではないのですが、より粒子径の小さなカーボン粒子を用いたほうが(上図右)、しっかりと、毛穴などの、凹凸の凹部に作用します。なので、当院では、カーボン粒子の専門メーカーから極小の粒子径2μmのものを取り寄せて、自作しています。粒子サイズにこだわっているのは、たぶん日本ではうちだけだと思います。さて、この皮膚の上にカーボンを塗って焼くという作業は、上に記した毛孔への効果のほかにも、いろいろな意味があります。
カーボンを塗らずに低出力のレーザーを皮膚にあてると、その多くは、角層・表皮の浅いところを透過して、表皮の一番深い層(基底細胞層)および真皮上層で吸収されます。この部に茶色~黒色のメラニンが多いからです(下図)。
一方、皮膚表面にカーボンを塗って、低出力のレーザーを当てると、レーザー光の多くは、このカーボンに吸収され、熱や振動、二次的に発生する様々な波長の強い光といったエネルギーに変換されて角層や表皮の浅い部分へと作用します(一部は、カーボンにトラップされずに、深いところに達します)。
レーザーは単一波長ですが、カーボンに当たったときに発生する二次的な光の波長は様々です。ちょうど、フラッシュ光線のようなものです。ですから、レーザーカーボンピーリングというのは、フラッシュ光線(フォトフェイシャルなど)とレーザーとを混ぜて照射しているようなものです。カーボンを介した「間接照明」みたいな感じですね。
さて、当院では、レーザーカーボンピーリングの直後には、ビタミンCのイオン導入を必ずします(5回で10万円という価格は、イオン導入とのセットです)。その理由を解説します。
上図で、角層は、ダメージを受けて、ミクロのレベルで「ひび」が入ったような状態になります(見た目の変化は無いですが)。
(画像または→こちらをクリック)
そもそも、ビタミンCというものは、なぜイオン導入するかというと、ビタミンCというのは、電気的にマイナスに帯電していて、一方、角層もマイナスに帯電しているので、ただ塗っただけでは、電気的に反発して、ほとんど皮膚に入っていきません(下図)。それで、ビタミンCを皮膚に塗って、それをさらに上から強力なマイナスの電位でもって無理やり押し込めていく、それがイオン導入です。
ところが、カーボンレーザーピーリングを行った直後というのは、角層にミクロのひびが入ったような状態になっており、ビタミンCが入りやすくなります。一時的にゲートが開いているわけですね。そこにさらにイオン導入してやれば、とても導入効果が高いです(下図)。
(参考:この種のレーザーによるmicrodermabrasionがビタミンCの皮膚への浸透を高めることは基礎研究によっても確認されています(Journal of Investigative Dermatology (2003) 121, 1118–1125, Lasers and Microdermabrasion Enhance and Control Topical Delivery of Vitamin C)。)
さらに、ビタミンCのイオン導入というのは、上の動画でご覧いただくと解るように、皮膚をビタミンCの溶液を沁み込ませたコットンで拭き取るような作業の繰り返しですが、このとき、ひびの入った角層は、無理なく剥がれてきます。「ピーリング」です。
下図は、レーザーカーボンピーリングをした後で、イオン導入をした際に、順番に交換したコットンを左から並べたものです。これだけの量の古い角質が、ピーリングされて、その分、お肌の色は、施術直後に明るくなっています。
下段の黒いガーゼは、カーボンローションです。色の違いから、上段のコットンに付いてきたのが、カーボンの残りではなく、剥がれた角質細胞だということがわかります。顕微鏡で拡大しても、確かに角質細胞とわかります。
以上のように、レーザーカーボンピーリングおよび、その直後のビタミンCイオン導入というのは、いくつものメカニズムがうまく組み合わさって、総合的に「くすみ・しみ・美白(透明感が出てきます)・肌の張り・毛穴の引き締め・にきび」などに作用するものです。肝斑・戻りじみにも有効です。
とても巧妙で、バランスのとれた施術なので、開業前に惚れ込みました。うちのスタッフたちも大好きで、全員が毎月欠かさず続けています。全ての方にお勧めですよ。
(2012年1月27日記)