診察室のカメラ買い換えました。
EOS 5Dsといいます。本日(6月18日)発売されたばかり。半年前から予約していました。
どこが新しいかと言うと、画素数が5060万あるんです。
今まで使っていた1DsMarkⅢが2110万画素ですから倍以上です。
上はうちのスタッフさんをポートレート撮影したところ。左は1Dsで右は5Dsです。
撮影後の画像の眼の下(赤四角)を拡大していくと、1Dsではだんだん荒くなってきますが、5Dsでは睫毛一本一本まで鮮明です。小さな色素斑もくっきりと検出できます。
昔、国立病院で皮膚科の外来をやっていたころは、まだデジカメは画素数が荒くて使用に耐えなくて、ポジフィルムで撮影していました。外来一コマ(半日)毎に、24枚撮りのフィルムを2~3本使い切ったものです。自分は保険診療で開業しても絶対に採算がとれない、つくづくそう思いました。
開業したころに、初代のEOS-1Dsが発売されました。これは1000万画素を超える初の画期的なデジカメでした。フィルム写真と同等の解像度を得るためには1000万画素が必要と考えられていたからです。当時本体だけで100万円くらいしたと思いますが、迷わず購入しました。
その後、1670万画素のEOS-1DsMarkⅡ、2110万画素のMarkⅢと新製品が出る度に買い替えましたが、数年前に1DsMarkⅢが廃版になって、それ以降Canonは静止画像の高画質を追求するカメラの開発を中止したかのようでした。
残念ですが、しかたがないとも思いました。これ以上高画質のカメラを開発しても、私のようなごく少数のユーザーは歓迎して購入するでしょうが、数は売れません。それならば、機能はそのままで、より低価格の商品開発にエネルギーを注いだ方がいい、そういう時代です。
私は、EOS-1DsMarkⅢが静止画デジカメの最高峰で、しばらくはこれを超えるカメラは現れないのだろうと考えていました。
そこに、5000万画素超えのEOS 5Dsの登場です。ほんとうにうれしい。
カメラの話が長くなりましたが、レーザーでも似たような話はあります。たぶん、車とか家電製品とか、あらゆる機械に共通することではないでしょうか。
下は、うちのクリニックにある2台のQスイッチYAGレーザーです。右の白いものはMedLiteⅡといって、もう20年くらい前に発売された機種で、左はC6といって比較的新しい機種です。
レーザーというのは、画期的な新製品が出ることもありますが、従来品をコンパクトにして安価にしただけの製品も多いです。キャノンの高性能機種が一時ラインアップから消えたのと同じです。
MedLiteⅡというのは、その昔京都の鈴木晴恵先生らが、はじめて日本にQスイッチレーザーを導入したまさにそのもので、本当に機能として必要最小限にして十分、過去にこのレーザーを使った経験のある先生で、このレーザーを悪く言う人はいないと思います。「あのレーザーは良かった」と懐かしむ方は何人も存じ上げています。
MedLiteⅡ、私のクリニックではまだ現役です。内部は基盤も含めて三回転くらい交換しました(新しい機種を購入した方が安いと言われました)。しかし私はこの機種の良さをよく知っているので、変えられないのです。廃版なので念のために、部品取り用にと中古を一台購入して予備機として持ってもいます。
ほとんどの機種がトップハットのビームプロファイルを採用して横並びになってしまった中、中央部ほどエネルギー密度が高くなるガウシアンの鋭さと初期モデルならではの口径の小ささ(これがかえって細かいしみに丁寧に対応できていいんです)は、まさに職人の道具と呼ぶにふさわしい。
隣のC6は、いまたぶん日本で一番台数の出ているQスイッチレーザーでしょう。肝斑のレーザートーニングでは標準機腫で、ビームプロファイルはトップハットです。二つの分院に一台づつ置いているので、私はC6を3台と、MedLiteⅡを2台、合わせる計5台のQスイッチYAGレーザーのオーナーです。
C6の後継機種もありますが私は魅力を感じません。日本でのQスイッチレーザーの歴史はMedLiteに始まります。まさに革命でした。次の小革命がC6などが採用したトップハットです。低出力での肝斑治療が安全に出来るようになりました。
まあ要するに、機械っていうのはカメラもレーザーも、ただ新しければいいってものじゃないってことです。なぜそれが新製品として世に出たのか?という理由をよーく考えなければいけません。MedLiteⅡのような古い廃版の機械のほうが実はシンプルで使いやすくてさらには故障しにくいっていうパラドックスが物語っています。
昨今は、初期購入価格は安くなったけど、定期的なメンテナンスが必要、かつ一定期間がたつと確実に壊れるという機械も多いですからね。カメラや家電でも同じでしょう。
機械の話ばかりでつまらないという方のために。
先日あさこ先生の変身画像UPした(→こちら)ところ、あるお客様から「ぜひわたしの写真も使ってください!」という嬉しい申し出がありました。
術前。
このあと、口横に残った脂肪をリポレーザーで焼きました。しみも取って、現在はカーボンピーリングであさこ先生のところに通っていらっしゃいます。
綺麗になった自分へのごほうびにスタジオで写真撮りしたそうです。下の写真です。
自分で自分(の顔)を好きになる、鏡を見るのが楽しくなるって大事なことですよ。自信はさらに女性を魅力的にしてくれます。最後の仕上げは自分でする、それは、自信を持つ、取り戻すっていうことです。
(2015/6/18記)☆ーーーーー☆ーーーーー☆ーーーーー☆ーーーーー☆ーーーーー☆
追記
スタッフの一人の足のほくろをEOS 5Dsで撮影して、マイクロスコープの画像と比較してみました。
下は実際の撮影画像。ブログにUPするため縮小してありますが、元のサイズは一枚で15.5MBあります。
この写真をパソコン上でぎりぎりまで拡大したところ。皮溝(皮膚の細かいしわ)がきれいに描出されています。
下はマイクロスコープによる撮影画像。沁み出しとか色調のムラとかを確認するためには、やはりまだマイクロスコープが必要なようですね。
さらに解像度が上がって、一枚の写真を撮ればマイクロスコープ不要になってくれると嬉しいです。あと10年くらい先には、そういう時代になってるといいなあ。
鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継