鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は3月1日(水曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年10月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。
平成29年1月29日に第一回医療アートメイク学会が開催されて、2月2日に正式に社団法人(非営利)として登記されました。左から実業家で片山さつき参院議員の夫の片山龍太郎先生、イーストワン皮膚科形成外科の池田欣生先生、東海大学形成外科准教授の河野太郎先生、そして私です。この4人で設立時理事を務めます(理事長は池田先生)。二年後に公益法人化の予定です。
私の役割は、皮膚科専門医であり化粧品の製作販売実績もあることから、成分開示された安全なアートメイク色素を開発することだと認識しています。実は、アートメイク用色素の自作は、私にとって数年来の懸念であり課題でした。しかし、化粧品原材料会社から、色素などのサンプルを取り寄せようとしても、その目的が「アートメイク用色素の試作です」と伝えると、提供してもらえないことが多かったです。なぜかというと、アートメイク色素というのは体内に埋め込むものなので、化粧品の範疇に入りません。ですから、万が一何かトラブルがあったときの責任を考えて、化粧品原材料メーカーはいずれも腰が引けてしまうということのようです。
今回、公益法人化を予定する「医療アートメイク学会」が出来て、厚労省とも連絡をとっており、そこに私が理事として参画しているということで、原材料メーカーのハードルが一気に下がりました。まさに渡りに船です。
さて、上記の理事4人でメールでいろいろ議論している過程で、レーザーを用いずに、色素のかわりに特殊な薬剤でアートメイクすることで、色素を消す施術があるらしい話になりました。調べてみると、どうもフェノールやTCAで要するに深いケミカルピーリングをするということのようなのですが、そこでちょっと思いついたことがあります。
アートメイクという施術で皮膚に埋め込むものは、色素でなくてもいい、医療アートメイクとして医師が施術するわけだから、薬剤でもいいわけです。ヒアルロン酸とか、幹細胞培養液、成長因子などはどうだろう?
皮膚(表皮)というのは、外界とのバリアですから、塗ればなんでも透過するわけではありません。とくに分子量の大きなもの、だいたい500ダルトン以上の物質は透過しません。
薬剤を、ターゲットとする部位に届ける(この場合は真皮)方法をドラッグデリバリーシステム(DDS)といいます。これを専門に研究する学会もあります(日本DDS学会→こちら)。
アートメイクという施術は、医学的に考えると、体外から真皮に大分子量の物質または粒子を届けるDDSである、と一般化することができるということです。
それで、とりあえず、フィラーで注入しているヒアルロン酸を、目周りの小じわにアートメイクの手法でタトゥーしてやるというのはどうか?と思って、スタッフに施術してみました。例えばですが、アートメイク施術の際のオプションとして一回3万円プラスで、目周りの小じわに、これ施術するというメニューはどうでしょうか?
(クリックすると動画が開きます)
何といっても、結果が出なければ意味ありませんし、ダウンタイムとして少し赤くなりますから、その経過も考えて、お客様に提示するに足る施術かどうかは見極めなければなりません。
しかし、ほかにも、このブログで度々問題提起してきたFGF(フィブラストスプレー)でも、アートメイクの手法で真皮に入れれば、問題は生じないような気がします。
FGFが問題となるのは、真皮よりも深い脂肪組織に薬剤が入って、そこで幹細胞(stem cell)を分化増殖させてしまってボコるからだと考えられます。アートメイクの針を使って、ごく微量真皮組織にいれる分には、真皮繊維芽細胞を刺激してコラーゲンを増生するだけだから、張りはでるでしょうが、ボリュームまでは出ないはずです。こちらは、まず自分の腕か脚の皮膚を使って実験してみよるつもりです。
(2017/02/04 記)
鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継