厚労省の方針で、美容外科のHP中の、単純な「before→after」の写真解説が、今年中に規制されて出来なくみたいです。誤解を招きやすいからだそうです。
それで、HPのリニューアルに向けて、基本的な事項をまとめていこうと考えました。写真は入りますが、単純な「before→after」でなく、むしろ詳細な経過写真と解説なら、趣旨から考えて許されるのではないか?と今のところは考えています。
HPのリニューアルのためなので、ところどころ、現在のHPやブログの写真と重複しています点、御了解ください。
リポレーザー(スマートリポ)というのは、細い針の中をグラスファイバーを通してその先端から強いレーザー光を出す機械です。
元々は、脂肪吸引に置き換わるべく設計・販売された機械なのですが、ボリュームを取るまでの力は無いようで、販売数年後の美容外科学会では、「脂肪吸引に置き換わるほどのものではない、たるみが取れて引き締まる程度だ。」という発表が相次ぎました。
わたしは、それを聞いて初めてこの機械に関心を持ちました。
「たるみがとれて引き締まる?使えるかもしれない。」と思ったのです。
脂肪の量をたくさん取ることの出来ないこの機械で、どうしてたるみが改善して肌が引き締まるのかのメカニズムを解説します。
脂肪には、深いところにある脂肪と、皮膚の直下にある浅い脂肪(皮下脂肪)とがあります。皮下脂肪は、解剖学的には皮膚の一部で、真皮のコラーゲン層とともに、深い脂肪の重みによる「落ち」に対して、抵抗しています。年齢とともに皮膚の張りが無くなって、この抵抗力も衰えてきます。そうすると、深い脂肪が重みでそのまま下がってきてしまい、「たるみ」になります。
火傷というのは、最初むくみますが、3週間から2ヶ月くらいかけて、瘢痕化します。この瘢痕が、網目状の繊維のネットとなって、ちょうど落石防止ネットのように、深い脂肪の「落石」を防ぐわけです。補強工事みたいなイメージです。
表面の皮膚には熱ダメージは加わりませんから、質感の変化はまったく起こりません。
サーマクールやラジオ波(RF)を用いた肌の引き締めマシンは、皮膚の表面からエネルギーを加えて、同じように真皮~皮下組織に軽いやけどを起こして、引き締めを計るものなのですが、表皮がやけどを起こさないように非常に気を遣います。また、繰り返し施術すれば、皮膚の質感の変化は避けられません(つやは出るが、硬くなってくる)。リポレーザーは、遠隔部から針を入れて、裏側から熱を加えるので、このような表面的な肌の質感の変化はまったく起きません。見た目非常に自然な仕上がりです。
実際の効果を、以下に示します。
症例1、わたしです。あごの下を施術しました。
<術前>
もうひとり、うちのスタッフです。
<術前>
<術後2ヶ月>
リポレーザーは、落石防止の補強工事みたい施術ですから、あごの下のような、切り立った垂直なところでのたるみ・下がりにこそ本領を発揮します。
この部分で、深い脂肪を取る脂肪吸引をすると、凹凸が出やすいです。それは、皮膚がたるんだままだと、深いところの脂肪の除去された部分と除去されていない部分が、重みによる下がりのために、かえって目立ってしまうためです。ですから、深いところの脂肪にはあまり手をつけずに、浅い脂肪を焼いて「補強工事」で攻めて行ったほうが自然な結果になります。
もうひとつ、リポレーザーの良い適応は、糸での引き上げ(アプトス・エックストーシス)や、切るフェイスリフト手術後に、引きあがらずに残った、口横の脂肪の処理です。
それで、リポレーザーで焼くことにしました。Aの×から細い針を入れて、先端からレーザーを出して、Bの×あたり一帯を皮膚の裏側から熱凝固させて、引き締めます。
直後はこんな感じ。笑気麻酔と局所麻酔を併用して行うのですが、局所麻酔を生理食塩水で希釈して量を入れるので(チューメセント法)、ぷっくりと膨らんでいます。これは4~5時間で退きます。
一週間後です。少し内出血があったのでしょう、下のほうが黄色~青色になっています。
一ヵ月後です。リポレーザーは、皮膚の裏側から脂肪を焼いて「火傷」を起こさせ、その瘢痕収縮を利用して引き締めるので、結果が出るまでに3週間から2ヶ月くらいかかります。
Before→Afterの写真を上下に並べました。
このときの施術の動画がYOUTUBEにUPしてあります。動画はちょっとキビシイ、という方は、無理に見ないでくださいね! 以下の解説と写真見るだけでも、だいたいは把握できるようになってますから。
(画像または→ここをクリック)
リポレーザーというのは、グラスファイバーを介してレーザー光をその先端部分から照射できるようにしたマシンです。上の写真は、ガーゼをあぶって焼いてみているところです(焼け具合=出力を確認しています)。
顎のしたのほうに18G針で孔をあけて、そこからリポレーザーの針を入れていきます。
施術中は、部屋を暗くします。リポレーザー針の先端の位置が、皮膚を透けて(光が見えて)わかるからです。
一回のリポレーザーで焼ける脂肪は、このスタッフの場合で、体積でいうとトータルで1ccくらいかなあ?ちょうどヒアルロン酸注射の逆(入れるのではなく削ぐ)と思うといいです。脂肪吸引と違って、「取れすぎない」のがいいです。
また、脂肪吸引の場合は、脂肪をとったあと、皮膚はしぼみますが、リポレーザーの場合は、裏側からエネルギーをかけるので、締まって張りが出ます。
例えていうと、皮膚の裏側からアイロンかけるような感じですね。ほんのちょっと脂肪の量を減らすのと、その表の皮膚を裏打ちして補強するのとの、相乗効果です。
注意:リポレーザーを希望されるお客様の中で、ときどき、糸を入れるのは怖いけど、「リポレーザーは大したことなさそうだから」とおっしゃる方がいるのですが、腫れに関して言うと、リポレーザーのほうが糸でのリフトより腫れます(ていうか、うちでの糸でのリフトは、血管に当たって内出血しない限りは、ほとんど腫れません。1)手技が速く、2)通常より細い針を使って入れているのと、3)静脈麻酔を使って局所麻酔薬を減らしているからだと思います)。
リポレーザーの腫れは、1)早期の腫れ(4~5時間後には退きます)と、2)火傷の腫れ(人によります。1日で退く人もいれば、1~2週間かかる人もいます)との2回の山があります。2)の腫れは、1)の腫れよりは軽いです。法令線のあたりにリポレーザーをかけた場合には「このまま腫れてくれていたらいいのに」という人もいます。その程度のものです。
腫れが治まったあとには、上のスタッフのひとのように、引き締まり効果が得られるので、楽しみに待っていてください。
リポレーザーの代金は、9万円です。一回に焼ける(取れる)脂肪の量は少ないですが、2ヶ月の間隔をあければ、何度でも繰り返し出来ますので、「よくはなったが、もうちょっと。」という方は、繰り返し出来ます。やればやっただけ、引き締まって、「落石防止ネット」が強くなります。
(2012年4月1日記)
それで、HPのリニューアルに向けて、基本的な事項をまとめていこうと考えました。写真は入りますが、単純な「before→after」でなく、むしろ詳細な経過写真と解説なら、趣旨から考えて許されるのではないか?と今のところは考えています。
HPのリニューアルのためなので、ところどころ、現在のHPやブログの写真と重複しています点、御了解ください。
リポレーザー(スマートリポ)というのは、細い針の中をグラスファイバーを通してその先端から強いレーザー光を出す機械です。
元々は、脂肪吸引に置き換わるべく設計・販売された機械なのですが、ボリュームを取るまでの力は無いようで、販売数年後の美容外科学会では、「脂肪吸引に置き換わるほどのものではない、たるみが取れて引き締まる程度だ。」という発表が相次ぎました。
わたしは、それを聞いて初めてこの機械に関心を持ちました。
「たるみがとれて引き締まる?使えるかもしれない。」と思ったのです。
脂肪の量をたくさん取ることの出来ないこの機械で、どうしてたるみが改善して肌が引き締まるのかのメカニズムを解説します。
脂肪には、深いところにある脂肪と、皮膚の直下にある浅い脂肪(皮下脂肪)とがあります。皮下脂肪は、解剖学的には皮膚の一部で、真皮のコラーゲン層とともに、深い脂肪の重みによる「落ち」に対して、抵抗しています。年齢とともに皮膚の張りが無くなって、この抵抗力も衰えてきます。そうすると、深い脂肪が重みでそのまま下がってきてしまい、「たるみ」になります。
リポレーザーで、この浅い脂肪を焼いてやります。皮膚にダメージを与えることなく、皮膚の深層にエネルギーを加える、すなわち、軽いやけどを生ぜしめるわけです。
表面の皮膚には熱ダメージは加わりませんから、質感の変化はまったく起こりません。
サーマクールやラジオ波(RF)を用いた肌の引き締めマシンは、皮膚の表面からエネルギーを加えて、同じように真皮~皮下組織に軽いやけどを起こして、引き締めを計るものなのですが、表皮がやけどを起こさないように非常に気を遣います。また、繰り返し施術すれば、皮膚の質感の変化は避けられません(つやは出るが、硬くなってくる)。リポレーザーは、遠隔部から針を入れて、裏側から熱を加えるので、このような表面的な肌の質感の変化はまったく起きません。見た目非常に自然な仕上がりです。
実際の効果を、以下に示します。
症例1、わたしです。あごの下を施術しました。
<術前>
<2ヵ月後>
もうひとり、うちのスタッフです。
<術前>
<術後2ヶ月>
リポレーザーは、落石防止の補強工事みたい施術ですから、あごの下のような、切り立った垂直なところでのたるみ・下がりにこそ本領を発揮します。
この部分で、深い脂肪を取る脂肪吸引をすると、凹凸が出やすいです。それは、皮膚がたるんだままだと、深いところの脂肪の除去された部分と除去されていない部分が、重みによる下がりのために、かえって目立ってしまうためです。ですから、深いところの脂肪にはあまり手をつけずに、浅い脂肪を焼いて「補強工事」で攻めて行ったほうが自然な結果になります。
もうひとつ、リポレーザーの良い適応は、糸での引き上げ(アプトス・エックストーシス)や、切るフェイスリフト手術後に、引きあがらずに残った、口横の脂肪の処理です。
口横の口角に近い部分というのは、糸での引き上げでも、切るフェイスリフト手術でも、持ち上げにくいところです。解剖学的にこの部の脂肪は、独立しているからです。
これは、上と同じスタッフです(あご下のリポレーザーの写真から5年後くらいです)。糸(アプトス)入れて頬はあがってるのですが、口横のたるみが気になってきました。糸を追加しても上がりにくい部位です。
直後はこんな感じ。笑気麻酔と局所麻酔を併用して行うのですが、局所麻酔を生理食塩水で希釈して量を入れるので(チューメセント法)、ぷっくりと膨らんでいます。これは4~5時間で退きます。
一週間後です。少し内出血があったのでしょう、下のほうが黄色~青色になっています。
一ヵ月後です。リポレーザーは、皮膚の裏側から脂肪を焼いて「火傷」を起こさせ、その瘢痕収縮を利用して引き締めるので、結果が出るまでに3週間から2ヶ月くらいかかります。
Before→Afterの写真を上下に並べました。
このときの施術の動画がYOUTUBEにUPしてあります。動画はちょっとキビシイ、という方は、無理に見ないでくださいね! 以下の解説と写真見るだけでも、だいたいは把握できるようになってますから。
(画像または→ここをクリック)
リポレーザーというのは、グラスファイバーを介してレーザー光をその先端部分から照射できるようにしたマシンです。上の写真は、ガーゼをあぶって焼いてみているところです(焼け具合=出力を確認しています)。
顎のしたのほうに18G針で孔をあけて、そこからリポレーザーの針を入れていきます。
施術中は、部屋を暗くします。リポレーザー針の先端の位置が、皮膚を透けて(光が見えて)わかるからです。
一回のリポレーザーで焼ける脂肪は、このスタッフの場合で、体積でいうとトータルで1ccくらいかなあ?ちょうどヒアルロン酸注射の逆(入れるのではなく削ぐ)と思うといいです。脂肪吸引と違って、「取れすぎない」のがいいです。
また、脂肪吸引の場合は、脂肪をとったあと、皮膚はしぼみますが、リポレーザーの場合は、裏側からエネルギーをかけるので、締まって張りが出ます。
例えていうと、皮膚の裏側からアイロンかけるような感じですね。ほんのちょっと脂肪の量を減らすのと、その表の皮膚を裏打ちして補強するのとの、相乗効果です。
注意:リポレーザーを希望されるお客様の中で、ときどき、糸を入れるのは怖いけど、「リポレーザーは大したことなさそうだから」とおっしゃる方がいるのですが、腫れに関して言うと、リポレーザーのほうが糸でのリフトより腫れます(ていうか、うちでの糸でのリフトは、血管に当たって内出血しない限りは、ほとんど腫れません。1)手技が速く、2)通常より細い針を使って入れているのと、3)静脈麻酔を使って局所麻酔薬を減らしているからだと思います)。
リポレーザーの腫れは、1)早期の腫れ(4~5時間後には退きます)と、2)火傷の腫れ(人によります。1日で退く人もいれば、1~2週間かかる人もいます)との2回の山があります。2)の腫れは、1)の腫れよりは軽いです。法令線のあたりにリポレーザーをかけた場合には「このまま腫れてくれていたらいいのに」という人もいます。その程度のものです。
腫れが治まったあとには、上のスタッフのひとのように、引き締まり効果が得られるので、楽しみに待っていてください。
リポレーザーの代金は、9万円です。一回に焼ける(取れる)脂肪の量は少ないですが、2ヶ月の間隔をあければ、何度でも繰り返し出来ますので、「よくはなったが、もうちょっと。」という方は、繰り返し出来ます。やればやっただけ、引き締まって、「落石防止ネット」が強くなります。
(2012年4月1日記)