鶴舞公園クリニックCM試作してみました

 
鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は11月1日(水曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年6月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。
 
サトピー(スタッフのともちゃんの次男)がテレビに出ました。


芸達者でイケメンなので、昔から地元ではアイドル的存在なのですが、ともちゃんと、これを機会にクリニックのCM作って出演してもらったらどうだろう、という話をしたら、サトピーが本当に動画作ってくれたのでYoutubeにUPします。

https://www.youtube.com/watch?v=5K71x1hjC0I

問題は・・サトピーのボイパ―のパフォーマンスが、クリニックとは何の関連性もないという致命的欠陥です(笑)。
それで、こんな感じに仕上げられればいいんだけどというのを私が実演してみました。御笑覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=_CsWFmEFs4g

私の相手してる子は、こころちゃんという最近入ったスタッフで、ともちゃんちの近所でアイスクリーム屋さんの店長してたんですが、サトピーのファンで追っかけしてたそうです。ともちゃんがアイスクリーム買いに行ってそれ知って、たまたまそのアイスクリーム屋さんが閉店になったので「良い子だから」とうちのスタッフにスカウトしてきました。ときどき若い血入れないとスタッフも動脈硬化起こすしね(^^)。
撮影してくれたのは、サトピーのお母さんのともちゃん。

サトピーとコラボして、いいのが出来たら、本当にCMで流そうかと思います。宣伝というよりはシャレです。高須先生の「イエス、高須クリニック!」には及びませんが、まあやってて楽しいし。
(2017/10/16 記)

タトゥー彫り師の方・彫り師を目指す方へ

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メイクアップアーティストのあこさんと和子先生、見学の3人の女医さん。皆で眉デザインやアートメイクの勉強中。

先日、ネットで下のような記事を見つけました。

http://www.asahi.com/articles/ASK804K3XK80UEHF005.html
時代が変わっても、タトゥーっていうのは、人間の文化として、入れたがる人は無くならないんでしょうね・・。
こういう記事を読んで、「あとで消そうと思っても簡単には消えないことや、消すのに多額の費用がかかることを知らずに、安易に入れてしまう若者があとを絶たない、嘆かわしい」、と批判することは簡単です。
しかし、これもまた、医療や社会の狭間にある、タブー視されて手が付けられなかった問題です。私のことをよく知っている方ならご存知でしょうが、この手の問題解決に、ついつい知恵を絞ってしまう性向があります。
 
それで考えたのですが、タトゥー彫り師さん、あるいは彫り師にどうしてもなりたいという方、准看護師の資格を取得してはいかがでしょうか?
http://www.junkankyo.com/nurse_work.php
厚労省の明文化された通達においては、アートメイクは医行為であって、医師のみが行うことが出来ます(→こちら)。
看護師・准看護師が施術してよいかについては、明文はありません。しかし、現時点で厚労省に電話して問い合わせたところ可能とのことでした。
電話での口頭の回答は確定的なものではないので、今後看護師による施術でトラブルが生じた場合には、変化する可能性もあります。
また、医師の指示を受けずに看護師単独で施術した場合はアウトです(→こちら)。
 
タトゥーは上記通達に含まれていませんが、アートメイクが医行為とされる以上、タトゥーも医行為です。しかし厚労省の口頭での回答に従えば、准看護師の資格を得て、協力してくれる医師を見つければ、その医師の指示のもと、タトゥー施術は可能です。
この場合医師の役割は、本当にタトゥーを入れたいのか?将来気が変わって除去しようとしたときに、多額の費用が発生し、かつ瘢痕等を残すリスクがあるが承知の上か?といったインフォームドコンセント、および、施術に用いる器具や色素の選定・管理になります。
 
私は今のクリニックの仕事で手一杯なのですが、こういった新しい誰もやっていないことを手掛けるのは好きなので、名古屋であれば協力できます。具体的には、クリニックの開設や、医師のリクルート、つまり私がオーナーとなって出資して、タトゥー専門施術クリニックを開設することができます。
 
上掲記事によれば、現在、大阪で訴訟を起こしている彫り師の方は、「タトゥーを彫ることは生きがいで私の人生」と言っておられます。そこまでの気持ちがあるのなら、2年間頑張って准看護師資格を取ってはいかがでしょうか?医師側から見ても採算性のある話なので、私以外にも協力しようという方はいると思います。

彫り師になりたいなら、2年間頑張って、准看護師取るくらいの根性見せてみろ。それくらい出来ない奴に、他人の人生狂わすかもしれないタトゥー彫る資格など無い、ってことです。
実際、アートメイクをどうしても続けたくて、そのために准看護師取ったという方複数いらっしゃるようです。そこまでアートメイクの仕事が好きなんでしょうね。
 
賛同される彫り師、または彫り師を目指す方は、クリニックまでお電話ください。相談しましょう。
(2017/09/04 記)

ヒアルロン酸をヒアルロニダーゼで溶かしてからまた入れたお話


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スタッフの目の下の凹みにヒアルロン酸を入れて、少し凸ったので、ヒアルロニダーゼ(溶解液)で溶かしてまた入れたお話です。

↓注入前。目の下のくぼみ気にしています。

↓ヒアルロン酸注入したあと、左側(向かって右)はいいんですが、右側(向かって左)が少し鼻側に入りすぎたようで、苦になって仕方ないそうです。写真は二か月目。口角を挙げて目を細めるとはっきりするとのことで、凸を強調するためにちょっと表情つけてます。
「他人には気にならないレベルだし、徐々に消えていくから待ってなさい」と説得するんですが、本人的にはどうしても嫌なようで、このあと溶かすことにしました。 

↓右側(向かって左)のみに溶解注射打って3時間後。早くも溶け始めました。このくらいで止まってくれれば実にいいんですが、ヒアルロニダーゼは酵素なので、部分的に溶かすことが出来ず、注入したヒアルロン酸を全部溶かします。
例えていうと、洗濯機に洗剤入れて洗濯するのに、洗剤の量を調節して一部分だけ洗うのが出来ないのと同じです。

↓翌日。だいたい24時間で全部溶けます。なおかつ、生理的に真皮内に存在したヒアルロン酸も溶かすので、凹みはいったん大きくなります。ただし、生理的に存在するヒアルロン酸の代謝は早く、すぐに新生されますのでご安心ください(→こちら
 
↓さて、心機一転、もう一度ヒアルロン酸注射します。今度は鼻横に近い部分に入れすぎないよう気を付けて。

↓3日後です。ヒアルロン酸というのは、スポンジのような物質で、周辺の水分を吸ったり出したりしながら広がって馴染んでいきます。今度は入りすぎることなく綺麗に仕上がりました。
 
ヒアルロン酸打ったあと、どうしても気になる、苦になるという方、ときどきいらっしゃいますが、基本的にはゆっくりと減っていき、その過程でちょうどよくなることが多いので、待っていてもらうことが多いです。

このスタッフにもそう説得していたのですが、なぜ今回ヒアルロニダーゼ打ったかというと、正直申しますと、ちょうど期限切れ間近のヒアルロニダーゼがあったので、溶かして再注射する過程を記録してブログで解説するのに使えるなと思ったからです。そうでなければ、傍目には苦になるレベルではなく、むしろ遠目には若くみえるので、頑として溶かさなかったと思います。美容クリニックのスタッフは全員看板娘みたいなものですから、おかしいと思えば本人の意に反してもヒアルロニダーゼ打って修正しますが、そんな結果では無かったと思います。

施術の結果というのは、自分の職人仕事ですので、納得がいかなければ、お客様に頭を下げてでも修正させていただきます。しかし、この種の目周りのヒアルロン酸の凸りというのは、ご本人が気にされるほど傍目におかしな結果ではないことがほとんどなので、なんとかなだめて溶かさないことが多いです。それでもどうしても、という方は、一応このように溶かしてやり直すことは可能です。ただし、済みませんが費用は発生します(溶解注射2万円でやってます。ただし他院での注射の溶解はしていません)。もともと、ヒアルロン酸の施術自体、お値打ちにさせていただいておりますので(ジュビダーム一本目1cc5万円、2本目4万円、3本目3万円です)、そこのところはご理解くださいm(_ _)m

☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆

「アレルギーの臨床」という雑誌の今月号に、「アートメイク色素による接触皮膚炎とその対策―国産の安全な色素の開発についてー」という論文書きました。本ブログの過去記事のまとめのような内容ですが、関心のある方、ご参照ください。
 (2017/08/24 記)


http://fukaya.shop-pro.jp/?pid=117834468 

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酸化第二鉄以外の赤色色素についてーアゾ色素のお話

 
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先回の記事でPigment Red2とPigment Red17という色素について触れました(→こちら)。これらはアゾ色素に属します。アゾ色素とはーN=N-で二つの有機基が連結している化学構造をもった色素の総称です。
アゾ色素と言えば、思い出すのが、女子顔面黒皮症(リール黒皮症)です。大阪大学の小塚雄民先生が、スダンⅠというアゾ色素が原因であることを解明しました(→こちら)。
(小塚先生。近況は→こちら

スダンⅠは、赤色219号(Pigment Red 64)という、当時の化粧品に多用されていた色素の不純物でした。成分そのものではなく、不純物に原因があると突きとめたところが凄いです。
私も、いつかは、こういう鮮やかで社会的意義のある仕事をしたいものだと考えて、皮膚科医を続けてきたのですが、まだ道半ばです。
話がそれますが、小塚先生のこの業績はもっと評価されて良いと思います。論文発表当時は、本当に原因なのかは、化粧品業界が企業努力をして、黒皮症がなくなるまでは判らないと指摘されたであろうし、黒皮症の原因が化粧品成分にあったとしたら補償問題になりますから、今とは比べ物にならない企業の抵抗があったことでしょう。そして十年以上たって黒皮症の患者がいなくなったときには、それが小塚先生のお陰だということが、忘れられてしまいます。
少なくとも皮膚科医は、小塚先生の業績を記憶し、語り継ぐべきです。だからこうして記しています。
 
ちなみに、色素の名前ですが、赤色219号=Pigment Red64=D&C Red No34など別名がいろいろあって混乱します(→こちら)。
日本の法定色素番号とFDA名、CIナンバー、Color Index名については下記サイトの対比が便利です。
http://www.jsdacd.org/html/data/color/jpn.html

さて、アゾ色素というのは、スダンⅠの例でもわかるように、アレルギーを惹起しうる物質です。化学合成の過程で類似の化合物が生成されるためでしょう、不純物が含まれ、その不純物がアレルギーの原因となることもあります。
アートメイクやタトゥーの場合はさらに話が複雑になります。皮内に注入された有機化合物は、徐々に代謝・分解されて、化学構造が変化します。そのため、化粧品のように、アレルギーの原因検索として、元の物質でパッチテストを行っても、陽性反応を示さないことが多いです(→こちらこちら)。
なおかつ、その臨床症状は厄介です。苔癬型反応や肉芽腫型反応といってケロイド状に盛り上がってくることもあります。ステロイドは外用・局注とも一時的な効果しかなく、レーザーで分解するのが一番良いようなのですが、その過程で、レーザーによって断片化された色素がさらにアレルギー反応を増強させることもあります(下図)。
 
このアゾ色素によるアレルギー反応、医学文献検索すると、赤色色素での報告が多いです。海外からの輸入色素で、「非金属、MRIで安全」をうたう赤色系色素は、ほぼ全例アゾ色素含有と考えて間違いありません。たとえば、アメリカのアートメイク専門の色素メーカーであるKolorsourceは、使用している成分についてHP上にMSDSを挙げています(→こちら)が、酸化第二鉄以外の赤色色素は、D&C Red 6(赤色201号)とD&C Red 7(赤色202号)とD&C Red 33(赤色227号)の三種類で、全部アゾ色素です。同様、Biotouchの色素「Red」はPigment Red 273、「Japanese Red」と「Burgundy」にはPigment Red 57:1 (赤色201号)というアゾ色素が使われています(→こちら)。

アゾ色素によるアレルギーはすべての人に起きるわけではありませんが、いったん生じれば、MRIによる発熱やレーザー照射による黒色化よりもはるかに対処が困難です。これが、私が赤色色素として酸化第二鉄が一番無難であろうと考える理由です。

Pigment Red 210によると考えられたアレルギー反応の例。レーザー治療中に炎症が増悪している(分解産物によると考えられる)。幸い6回のレーザー治療で略治しています。(Gaudron S et al. Azo pigments and quinacridones induce delayed hypersensitivity in red tattoos. Contact Dermatitis. 2015 Feb;72(2):97-105.)

(2017/07/28記)

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アートメイク色素の安全性についての考え方


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は8月1日(火曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年3月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。
 
先回、酸化第二鉄(Fe2O3)や酸化チタン(TiO2)がレーザー照射で黒変する現象についてまとめました(→こちら)。
酸化第二鉄には、MRI検査によって発熱するリスクもあります。しかし、それらを考慮しても私は、アートメイクの茶色や赤色を出すためには、酸化第二鉄が、現状もっとも無難な素材であろうと考えます。今日はそのことについて書きます。
 
1 「FDAに認可されたアートメイク色素」は存在しない。

下は「FDA認可、アートメイク色素」で検索して出てきたクリニックのHPの一部です。例として借用しただけで、特別な意図はありません。このほかにも多数あります。

 
 
一読すると、とてもまともなことが書いてあるようにみえるのですが、私から言わせていただければ、これを書いた先生あるいはクリニックは、輸入代行業者の嘘を丸ごと信じて、これまで無資格者が施術していたのとまったく同じ知識のレベルでアートメイクをしているか、確信犯的に患者を誤解させて間違った安心感を与えようとしているか、どちらかです。
平成23年の国民生活センターのレポートの「5.海外の情報」にわかりやすくまとめられています(→こちら)。


「FDAに認可された安全なアートメイク色素を使っています」といった文言を見つけたら、それだけでそのクリニックは、少なくとも色素については無責任であると判断していいでしょう。
 
2、海外の色素はMSDS(製品安全性シート)の交付を受けておくとよい。
 
MSDS(Material Safety Data Sheet)とは「事業者が化学物質及び化学物質を含んだ製品を他の事業者に譲渡・提供する際に交付する化学物質の危険有害性情報を記載した文書」です。アートメイクを施術する医師またはクリニックは、海外製の色素を使用する際には、メーカーにこの製品情報を求めておくべきだし、それを発行しないメーカーの色素は使用するべきではありません。医師として、施術にあたって滅菌消毒に心掛けるのと同じくらいの最低限の注意義務だと私は思います。上記のクリニックのHPにおいても「メーカーからMSDSの交付を受けており、成分についてはしっかりと把握しております」といった記載であればまだ良かったのに。

3.MSDSの成分記載をどう読むか?
 
下は、アメリカのあるタトゥーインクメーカーが赤色色素である「CRIMSON RED」(→こちら)について発行しているMSDSの一部です。
成分についての記載があります。


色素成分は、C.A.S.#6655-84-1, 13463-67-7と、C.I.#12310, 77891です。

C.A.S.#6655-84-1は別名C.I. 12390 またはPigment Red 17です。一般名は3-Hydroxy-4-[(2-methyl-5-nitrophenyl)azo]-N-(2-methylphenyl)-2-naphthalenecarboxamide; 3-Hydroxy-4-[(2-methyl-5-nitrophenyl)azo]-N-(o-tolyl)naphthalene-2-carboxamidという物質で、構造式は下図です。
アメリカでは薬品(外用)および化粧品に認可されているようです(→こちら)。
 
C.I.#12310は別名C.A.S.# 6041-94-7またはPigment Red 2です。一般名は4-[(2,5-Dichlorophenyl)azo]-3-hydroxy-N-phenylnaphthalene-2-carboxamideで、構造式は下記です。


FDA  approvalのリスト(→こちら)に掲載されていないので、食品・薬品・化粧品への使用を認可されていない成分と考えられます。
 
13463-67-7と77891はいずれも酸化チタン(TiO2)です。酸化チタンは白色の色素で、色調を整えるためによく使われます。先回の記事の最初に引用した論文の症例のように、レーザーによって黒色化することがあります。
 
ここまでは読み取れるのですが、それでは、この赤色色素の主成分であるPigment Red 17とPigment Red 2を、タトゥーとして皮内に注入した時に、果たしてアレルギーや肉芽腫を生じる危険があるのか、あるとしたらどの程度の頻度で起こりうるのか、それが判りません。
Pigment Red 17のほうは外用医薬品および化粧品への添加がFDAによって認められてはいますが、これは最低限の安全性確認を済ませているというだけのことです。
たとえば、天然の赤色色素であるコチニールは、一部の人でアレルギーを生じることが判明しています(→こちら)が、FDAは食品・医薬品への添加を認めています(→こちら)。アレルギーは一部の人で起きるものであって、大多数の人にとっては問題ないからです。
 
4.アレルギーや肉芽腫のリスクは、MRIや黒色化のリスクよりも重視されるべき。
 
アートメイクというのは、皮内に色素(異物)を打ち込む操作です。アレルギーというのは、乳幼児の食物アレルギーでもそうですが、経皮感作といって、表皮内のランゲルハンス細胞と異物とが接触することから始まります。


ですから、アートメイクに用いる色素というのは、単なる皮膚表面への外用や食物添加以上に、アレルギーを起こさないよう気をつけなければなりません。工業的によく使用され、日常品に頻用されている色素であればあるほど、アレルギーを惹起したら悲惨なことになります。
しかし、アレルギーを惹起しにくい物質かどうか?の情報は、FDA認可のリストや、化学物質の構造式をいくら眺めても、出てこないのです。
 
ある物質がアレルギーを起こしやすいか起こしにくいかは、結局、医学的な症例の蓄積によります。たとえば、金属でも、ニッケルやクロム、コバルト、金や水銀はアレルギーを生じやすく、一方、鉄やチタンはアレルギーを生じにくいですが、これも過去の症例報告の蓄積から言えることです。化学物質についても、毛染めの成分であるパラフェニレンジアミンなど、アレルギーを起こしやすいことで皮膚科医の間で常識として知られているものもありますが、化学物質の数は膨大です。Pigment Red 17やPigment Red 2がアレルギーを起こしやすいのか起こしにくいのか、現時点では判りません。

そのような皮膚科学的な観点からは、酸化第二鉄にMRIで発熱するリスクがあるとか、レーザーで除去しようとすると黒色化するといった問題があるとしても、トータルで判断すると、昔から使用されていてアレルギーの報告の無い酸化第二鉄を赤色の主成分と置いたほうが、医師としては、よほど安心だし責任が持てます。MRIや黒色化の問題は、万人で生じる予想可能なリスクであり、インフォームドコンセントが取れるからです。
 
例えばですが、天然の赤色色素であるコチニールで、アートメイクをすれば、MRIの問題も黒色化の問題もクリアしますし、天然素材ということでイメージもいいでしょう。しかし、私(を含む皮膚科医)の感覚では、とんでもない暴挙です。すでに、一部の人でアレルギーを惹起することが判っており、FDAにも認可されて生活環境にあふれている色素です。アートメイクでわざわざ経皮感作を誘導したとしたら、医師として悔いても悔やみきれません。


5.新しい色素の探索は必要。

もっとも、だからと言って、新しい非金属でアレルギーや肉芽腫を生じにくい色素を探求する姿勢を否定するつもりはありません。Pigment Red 17やPigment Red 2にしろ、タトゥーやアートメイクでの施術例が増えて、しかしアレルギーや肉芽腫を起こしてこないことが症例蓄積によって明確になってくれば、酸化第二鉄よりも良い赤色系の色素ということになるでしょう。
 
私も理事を務める医療アートメイク学会の理事長である東京皮膚科形成外科の池田先生は、積極的に世界中のメーカーから色素の情報を収集したい意欲に燃えていますし、もう一人の理事である東海大学形成外科の河野先生は、レーザーの専門家という立場から黒色化をきたさない色素を見つけたいという意向が強いようです。それぞれの立場から意見交換をしつつ、力を合わせて、しかし妥協はせずに、研究開発を進めていきたいと思います。
 (2017/07/26 記)

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アートメイクにレーザーを照射した際の黒色化(darkening)について


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タトゥーを除去する目的でレーザーを照射すると、ときに予想外の黒色化をきたすことがあります。除去しようとしたのに、かえって色が濃くなってしまうので、患者さんはびっくりします。
繰り返しレーザーを照射していけば、反転して薄くなっていきます。
 
Bae YS et al. Successful treatment of paradoxical darkening. Lasers Surg Med. 2016 Jul;48(5):471-3.から引用。赤い花弁が黒色化しているのがわかります。繰り返し照射することで消えています)
 
どうしてこういうことが起きるかというと、色素として用いられている酸化第二鉄(Fe2O3)などの酸化金属が、レーザーのエネルギーで還元されて黒色になるためです(→こちらに解りやすい実験がのっています)。



タトゥーの施術では、赤や黄、緑、青といったきれいな色にグラディエ―ションを付けてデザイン性を高める目的で、白色色素(酸化チタンTiO2や酸化亜鉛ZnO)を混ぜることがあります。すると後日、これをレーザーで除去しようとすると真っ黒になってしまいます。
眉やアイラインでも同様のことは起こります。

下図は実際に私が経験した例です。お顔全体のしみ取りを希望して来院された方で、眉の上にも一個しみがあったので、Qスイッチレーザーを照射したところ、その部が黒色化しました。昔やったアートメイクが残っていて、その色素と反応したためと考えられます。


上図はレーザー照射直後です。黒色化は直後にわかります。下図は一週間後です(拡大像)。痂疲が取れたあとにも黒色化は残っています。

最初に引用した文献のようなタトゥーの黒色化の場合は、タトゥーそのものを除去するのが目的ですから、繰り返しQスイッチレーザーの照射を繰り返せばよいですが、こういった場合は、アートメイクを消すことが目的ではないですし、色素が入っている範囲は小さく浅いので、私は小さなほくろを除去する要領でCO2レーザーで削り取っています。

擦り傷が治るように、だいたい2~3週間で痕を残さず治癒します。
 
さて上の例ですが、残存していた赤色色素(酸化第二鉄でしょう)の黒色化にしては、ちょっと黒くなりすぎです。
おそらく酸化チタンなどの白色色素を混ぜた色素であったと私は推測します。
実際に酸化亜鉛ZnO、酸化チタンTiO2、酸化第二鉄Fe2O3、およびこれらを混合したものを作製して、波長・パルス幅・フルエンスを変えて、レーザーを照射してみました。


白色色素をアートメイク色素に混ぜる目的は、クリーミーで上品な色合いを出すためです。海外から個人輸入されて使われているアートメイク色素には、仕上がりの綺麗さを演出するため、白色色素が混ぜてあるものが多いです。
 
私が現在販売しているアートメイク色素(→こちら)は、後日レーザー照射をして除去したい場合の黒色化が嫌なので、白色色素は加えていません。私が現在販売しているアートメイク色素の「赤茶」に、白色色素を加えていくと、下図のような色調になります。クリーミーで明るい、若い人好みの色合いになります。

右端に一か所づつレーザーをスポット照射してあります。白色色素を加えると、どうしてもレーザー照射後の黒色化が目立ちます。白色色素を加えない、カーボンブラックと酸化第二鉄だけで調色した色素(「赤茶」)でも、酸化第二鉄が入ってますから黒色化は起こりますが、白色色素が添加された場合よりは目立ちません。
 
しかし、仕上がりの色合いの好みを考えると、白色色素、とくに酸化チタンTiO2を加えたものも用意したほうがよいのかもしれないという気が最近してきました。それは施術する女医さんたちの要望によります。「これまで使っていた輸入色素のような明るい若い人向きの茶色は出来ないの?」と聞かれるからです。


白色色素で調色したい場合は、近日、上図のようなものを用意しますので、これを既存の黒―茶―赤の5色のラインに混合して、お好みの色合いにしてください。ただし、「後日レーザーで除去したくなったときには、一過性に黒色化することと、多くの回数のレーザー照射が必要となります」といったインフォームドコンセントを必ず取ってくださいね(色素にインフォームドコンセントのひな形の用紙を添付しておきます)。

白色色素は、ご要望にお応えして、近日販売サイトにUPする予定です。しかし、茶―赤系色素は、皮膚科医としてアレルギーなどのリスクを考えると、酸化第二鉄Fe2O3抜きには作成しかねるのですが、白色色素というのは非金属で何か適当なものがあるかもしれません(まだ十分に調べ終えていません)。より安全な白色色素が用意出来たら置き換えますので、なんとか、酸化チタン、酸化亜鉛を使用しない現在の色素で、対応して頂ければ幸いです。

 
安全性の高い国産の色素の普及キャンペーンとして用意したバナーです。先生方のHPなどに貼付してご活用ください。色素の販売サイトは→こちら  
 (2017/07/22 記)

ピコ秒レーザーはなぜ低出力でしみが取れるのか?(その6)


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先回(→こちら)のさらに続きです。ピークパワーをコップの大小で例えるところが、いまひとつしっくりこないので、ちょっと書き直してみました。



左がピコ秒レーザーで、右がナノ秒レーザーです。ピコ秒レーザーはメラニンに高い電場を与えることが出来るので、電子の蓄エネルギー能力が高くなります。ピンク色のバー一本をひとつのエネルギー単位と考えて、ピコ秒レーザーではメラニンが6本の蓄エネルギーが出来るとしましょう。ナノ秒レーザーでは3本の蓄エネルギーしか出来ないとします。
メラニンは細胞内小器官であるメラノソーム内にあります。メラノソームの熱緩和時間は50ナノ秒です。従ってナノ秒レーザーでも、もちろんピコ秒レーザーでも、メラノソームの外までは熱損傷を起こしません。しかし、メラニンで吸収され蓄えられたエネルギーは、メラノゾーム内で、メラニン近傍の水分などには伝わります。近傍に、ピンクのバーが3本たまると、その部の水分が気化して、しみが確実に取れる徴候であるIWP(immediate whitening phenomenon)を起こすとします。
ピコ秒レーザーでは、メラニンは6本の蓄エネルギーをしたのち、一気に近傍に放出しますから、近傍の水分は直ちに3本のエネルギーを得て気化します。
一方、ナノ秒レーザーでは、メラニンが3本の蓄エネルギーをしたのち、4本目が近傍に放出されます。5本目も同様ですが、ピコ秒レーザーに比べ、照射時間が長いので、エネルギーはさらに近傍の近傍へと拡散します。結局、近傍に3本のエネルギーが貯まるまでには、エネルギーの総本数は8本必要という感じです。
ピコ秒レーザーの場合は、エネルギー6本で速やかに近傍の水分が気化しましたが、ナノ秒レーザーの場合は、エネルギー8本を要しました。これが、「ピコ秒レーザーでは、ナノ秒レーザーよりも低出力でしみが取れる」ことの、私なりの解釈です。私がもうちょっと賢ければ、数理モデルで記述できるんでしょうが、直観的には以上のような感じです。

さて、話続けます。というよりも、今回はここからが本論です。
しみ取りは、低出力で出来るので、お客さんの痛みも少なく調子が良いのですが、ADM(Acquired Dermal Melanocytosis)とか、大田母斑とか、深いところにあるメラニン色素をとる場合には、ピコ秒レーザー、しみを取る時のような低出力では効かないようなのです。これはこの2ヵ月ほどピコ秒レーザーを使ってみた私の経験からです。
C6やMedliteⅡといったナノ秒レーザーと同じ出力(フルエンス、J/cm2)でなければ取れません。
ピコ秒レーザーがナノ秒レーザーに劣るということではありません。まったく同じなのです。
 
説明は一応可能です。レーザー光というのは、皮膚に当てた後、指数関数的に強度が減衰します(ランベルト・ベールの法則)。
下に図示したように、メラニンがレーザー光によって蓄エネルギー性を有するにためには、そのレーザー光が十分に強くなければなりません。皮膚の深くへ進むにつれて、レーザー光は減弱します。しみ取りの深さでは、ピコ秒レーザーのピークパワーは十分高かったのですが、ADMの深さでは低くなってしまい、ナノ秒レーザーと同様、フルエンス値に依存してくるのでしょう。

上記の私の仮説に従えば、タトゥーの取り方にも、これまでの通説に補足が必要と言うことになってきます。
私のクリニックには、タトゥーを取るお客さんはあまり来ないので、臨床経験に裏打ちされた話ではありません。そこは断っておきます。あくまで私の推測です。
 
タトゥーに用いられる色素は、成分も粒子径も様々です。ピコ秒レーザーには光力学的効果(photodynamic effect)がありますので、金属やカーボンのような硬い色素、とくに粒子径が大きい色素に対してはメリットがあります。ナノ秒レーザーよりも良く取れます。
しかし、有機系の柔らかい色素、あるいは金属やカーボンでも粒子径の細かい色素によるタトゥーの場合、除去にはナノ秒レーザーと同じフルエンスが必要となるはずです。タトゥーはADM同様、深い部分に色素が入っているため、ピコ秒レーザーでしみを取るときのような低フルエンスで除去できるという特性が生かせないからです。
タトゥーによって、ピコ秒レーザーのメリットが活きる場合と、ナノ秒レーザーで取った場合と変わらない場合があるのではないか、というのが私の推測です。
この点、タトゥーをピコレーザーで取る経験の多い先生の印象をお聞きしたいところですね。誰かブログで書いてくれないかなあ。
(2017/07/20記)

ピコ秒レーザーはなぜ低出力でしみが取れるのか?(その5)

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その4は→こちら
 
ピコ秒レーザーでしみを取るメカニズムを理解しよう思って文献を読むと、光音響効果(photoacoustic effect)と光力学的効果(photodynamic effect)という言葉が出てきます。読み流してもなんとなく解ったような気分にはなりますが、気になって調べると、物理学の知識やら数式の壁に突き当たります。お医者さんっていうのは、元々学力のある(あった)人が多いので、すらすらと理解できる人ももちろんいるのでしょうが、私を含め、ほとんどの美容系医師にとっては歯が立ちません(と思います。私だけじゃないよね?(^^;)。
それでも、お医者さんと言うのは、理解していなくても判っているような顔をするのは得意だし(そういう仕事なんですよ。お医者さんが「判らん」と言って首ひねっていたら患者さん不安でしょ?)、レーザー照射するのにどうしても必須の知識と言うわけでもないです。しみが取れればいいんだから。
一応、私が理解している限りを、イラストを用いて直観的に、数式を一切用いずに以下に解説してみました。私と同レベル以下の方々のお役に立てれば幸いです。
 
しみ取りのターゲットは、表皮細胞内のメラニンです。皮膚にレーザーを当てると、メラニンの分子中の電子(e)が励起されてメラニンがエネルギーを吸収します。

吸収されたエネルギーは原子核や分子全体の振動のような形で伝わります。

さらには、この振動すなわち熱はメラニンを取り巻く水などの分子にも伝わります。水は気化して空疱となります。これが、レーザーでしみ取りをするときに、十分なエネルギーが伝わったかの目安とされるIWP(immediate whitening phenomenon)です。

 
パルス幅が短いと、周辺への熱損傷が少ない、というのは、下図のようなイメージです。パルス幅を短くしていくと周囲への熱損傷はほとんど考慮せずによくなります。このパルス幅の理論的計算値が「熱緩和時間」です。とはいっても、メラニン分子からどこかに熱は逃げなければなりません。あくまで熱損傷がおきなくなるということですね。


さて、先回まで私が非常に悩んでいたのは、「エンライトン(ピコ秒レーザー)では、照射フルエンス0.5J/cm^2で、メドライトC6(ナノ秒レーザー)2.0J/cm^2と同程度のIWPが生じる」という事実です。上のイラストイメージからだけ考えれば、同程度のIWPを生じさせるには、ピコ秒だろうがナノ秒だろうが、同じだけのエネルギー(フルエンス)が必要なはずです。


ピコ秒レーザーでは、ピークパワー(W/cm^2)が高く、電子が感じる電場が強いです。すると、電子の励起レベルが非常に上がり、そのためにメラニンの化学構造が変化したりもします。ナノ秒レーザーおよびそれ以上のロングパルスレーザーでは、電子は熱を伝える通過点に過ぎなかったのですが、ピコ秒レーザーでは、電子の励起によっていったん蓄積される感じです。それが一気に放出されて周囲に熱影響をおよぼすと、同程度の水蒸気の気泡を作るには4分の1のレーザーエネルギーで済む、ここの計算は、どうやってするのかは私にはわかりませんが、「エンライトン(ピコ秒レーザー)では、照射フルエンス0.5J/cm^2で、メドライトC6(ナノ秒レーザー)2.0J/cm^2と同程度のIWPが生じる」というのは、そういうことだと思います。

コップに水を入れて運ぶ話で例えましょう。ピコ秒レーザーは電場が強いため、電子というコップが大きくなります。ナノ秒レーザーではこのコップが小さいので4回運ばなければなりません。そのために蛇口を出しっぱなしにしておかなければならないので、無駄が多い、っていう感じです。

 
さて、光音響効果(photoacoustic effect)ですが、このように高エネルギーとなったメラニン分子は、温度も高く、体積も増します。ただしそれはほんのわずかの時間(ピコ秒)です。しかし、この僅かの時間の間に体積が膨張と収縮を行うことで、密度の波が生じます。密度の波=音波です。



光音響効果(photoacoustic effect)というのは、レーザーでしみ取りをするときにあまり関係のある話ではありません。このあとに記す光力学的効果(photodynamic effect)を理解するための前知識です。エネルギーの強弱に関わらず、パルス幅が短くなると生じます。
 
さて、パルスレーザーのピークパワーが高くなると、電子の感じる電場もさらに高まり、ついには電子が原子や分子から離れてイオン化するプラズマという状態になります。プラズマの温度は非常に高く、体積も膨張します。それが短時間でオンオフされると、密度の波が音速を超えます。これは衝撃波と呼ばれます(光力学的効果(photodynamic effect)。
衝撃波というのは、津波のようなもので、破壊力が大きいです。ただし物質には衝撃波に対する強い弱いがあり、タトゥー色素に用いられる炭素や金属粒子などは、衝撃波に弱いです。生体組織は衝撃波に弱くはありません。腎結石の衝撃波治療で腎臓が破裂しないのと同じです。
 
上記のように考えてきたとき、ピコ秒レーザーが低出力でしみ取りが可能なのも、衝撃波を発生してタトゥーを効率よく除去できるのも、ピコレーザーが強い電場を有しており、電子が大きなエネルギーを得ることができるからです。レーザー光の電場はピークパワー(W/cm^2)に規定されます。フルエンス(J/cm^2)ではありません。
ロングパルスレーザーを用いて脱毛をするようなケースでは、熱損傷を利用するのだから目安はフルエンスで良いですが、ナノ秒やピコ秒など、組織の熱緩和時間よりも短いパルス幅のレーザーにおいては、ターゲットの物質の電子にどれだけ大きなエネルギーを伝えられるかが重要なようです。それならば、レーザーのパネルの表示はフルエンスではなくピークパワーであるべきだと思いませんか?
 
書きながら、途中で、そうだ、これ英文にして、キュテラ開発部のDr. Wytzeに送ってみよう、と思いつきました。物理をよく知らない人がなんとか理解しようと頭をひねるとこうい風になるのかと興味もってくれそうな気がします(^^)。

また、書きながら思ったんですが、いわゆる肝斑のレーザートーニング、あるいはレーザーカーボンピーリングのような低出力繰り返し治療を、ピコ秒レーザーで行うメリットは少ないかもしれません。出力下げてピークパワー落とせば、電子エネルギーはナノ秒レーザーと同じレベルになってしまうからです。むしろフルエンスが少ない分、発生する熱が少なく、物足りない施術になってしまいそう・・。
(2017/06/29 記)

私自身の若返り


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は7月1日(土曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年2月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

先日JSASの学会のあと、FBで意見交換していて、いま元気に活躍している30代~40代の先生たち、私自身が顔に溶けない糸いれていること知らないようだったので、私自身のbefore/after写真再掲してみます。
私は2004年の3月に、シンガポールのDr.Woffles Wu(シンガポールで一番有名な美容外科医です。例えていうなら日本の高須先生)が日本にライブサージャリーに来た時に、自ら志願してモニターになりました。自分が施術している糸を、患者の側になって実感してみたかったからです。


施術中の様子。


施術直後。



施術前の写真(2004年、45才)と、今日(2017年、58才)の写真。13年を挟んだbefore/afterです。



頬の肉、落ちては来てますが、糸頑張ってくれてはいると思います。さっき、スタッフに何才に見えるか聞いてみたら、「左は40才、右は50才」だそうです。45-40=5、58-50=8なので、若さ値は+5才から+8才に変化、若返り効果は+3才です。もともと童顔で若く見える分を差し引いても、実年齢よりは糸のお陰で若干若くみえるということでしょう。

「己の欲せざるところを人に施すことなかれ」という言葉があります。医師の行動指針・規範といっていい。自分がしたいことをするのではなく、自分がされたくないことを患者にしない。私は美容外科に転じる前も、このことを常に頭において医療に携わってきました。
六本木の境先生は、スプリングスレッドが感染率の高い糸であってもそれを上回るメリットがあると考えて患者に勧めるならば、何よりもまず自身がスプリングスレッドの糸の施術を経験してみるべきだし、もしも日本に自分よりも腕の良い医師がいないのなら、開発者であるフリスマン医師のところまで行けばいいです。私ならそうします。ほんとにそうすればいいのに。
それに比べると、あきこクリニックの田中先生の、直観的に溶けない糸に抵抗があるから、自身にも患者にも施術しない、という感覚のほうが、私としては納得できます。
ただし、親近感というか、好感度は境先生のほうが高いです。溶けない糸の効果を認識しておられるからです。忌憚のないところをこうやって記していますが、私のほうが一回り年長ですし、檄を飛ばされていると感じてください。なんだかんだ言っても、最終的には年齢の若い人の勝ちです。先に引退するのは私でしょうから。

昨日、和子先生が、ちょっと面白くないことがあったようで、「先生、糸入れて」と言ってきたんで、追加しました。ほとんど美容院で髪切る感覚ですね。
和子先生のこれまでの経過は→こちら

術前


デザイン。自作のアプトススプリング二本ずつ、計4本です。


術直後。


和子先生、昔から小生意気なところがあって、いろいろ名言あるんですが、勤務医で同じ病院で働いていたある日、医局で和子先生、のりこ先生、私の三人でお茶していて、病棟から呼ばれた時のこと、
「私たち(和子先生とのりこ先生)は、何もしなくてもきれいだから行かなくてもいいの。先生(私のことです)は、働いている姿が美しいんだから、先生行ってらっしゃい。」
本人は忘れちゃってるみたいなんですが、あまりに名言過ぎて、一生忘れられそうにありません(^^)。
先日、和子先生、のりこ先生と、大名古屋ビル33Fのオルクドールでお茶してきました。三人とも50才を越えて、私はもうじき60才です。いつまでもとはいかないでしょうが、できるだけ長くこの二人の美貌を守りつつ、私自身の「美しい仕事姿」をも、保ちたいものです。


(2017/06/25 記)