切るリフトと「波まくら」


私のブログとしては珍しく、お菓子の紹介をします。南知多銘菓の「波まくら」


なんちゃって、私のブログで、そんな筈がありません。この「波まくら」を使って、たるみの引き上げの解説をしようと思います。
お餅が皮膚、餡がお肉(皮下脂肪など)とイメージしてください。


糸を入れて支えるイメージ。以前鶏皮と腿肉で示したのと同じです。


糸が入っていなければ、餡の重みでお餅は伸びて下がっていきます。頬のたるみに相当します。


さて、ここからが、今回のお話のキモです。
いわゆる「切るリフト」。これは、皮膚にしろ、その下のSMAS筋膜にしろ、引っ張って余剰部分を「切り取る」施術です。


確かに、直後は、ぴんと張ります。


しかし、よーく考えてください。お餅は引っ張られて薄くなります。一方で餡の重さは変わりません。餡を支える力は、以前より弱くなっています。だから、その後時間経過とともに、たるみは進みます。
皮膚だけを切っても、SMAS処理をしても、原理的に同じです。組織が薄くなれば、物理的な支持力は低下します。


これを回避するために、実のところは、餡に当たる皮下脂肪や、時には顎下腺など、可能なものは全て除去します。ここが実は、いわゆる「切るリフトの名人」たちが、黙して決して語らないところだと思います。


欧米人は元々の骨格が綺麗な方が多いので、皮膚やその下のお肉など除去できるものを全て除去してやれば、綺麗な輪郭になります。
しかしそれはあくまで写真上のことです。実際に近くで見ると、骨に皮が直接張り付いているような感じだったりします。
欧米の「切るリフトの名人」たちは、肝心にして部外秘のコツである、「重さを除去する」というポイントを、術式の報告に当たってお茶を濁しているように思います。
そこを汲み取ることなく、真面目な日本人の先生が額面通りの施術をして、結果がうまく出なくて悩んでいます。
以前、日本の「切るリフト」の名人と呼ばれる先生と、シンポジウムでご一緒した際に、「従来のフェイスリフトの術式では限界があるので、最近は大腿筋膜を移植して引き上げる方法を考えている」とおっしゃってました。糸でいいじゃん。
切るリフトに、もっと糸を組み合わせればいいのに。
切るリフトは、組織を切り取る「マイナス」の施術です。糸は支えを加える「プラス」の施術。相容れないものではなく、相互補完性があります。
「溶ける糸」はだめですよ。「溶けない糸」でなければ永続性がないからです。

最近23才の子に糸入れました。スタッフの娘さんです。うちのクリニックでの最年少記録です。


術直後。


術前。横から。


糸のデザイン。


術直後。下がらないようにという予防的効果が高い施術ですから、年齢に関わらず、というか、若ければ若いほど、有用性高い施術です。


上の実験で使った残りの「波まくら」を食べて幸せそうなスタッフたち。「先生、次はケーキで実験お願いします」とのこと。

(2019/06/04記)