外部から何かを足さなければ補強したことにはならない。第131回日本美容外科学会(JSAPS)報告・その2


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は3月1日(木曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年10月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。
 
その1は→こちら

右はMarten先生、真ん中は宇津木先生(クリニック宇津木流)です。


宇津木先生とは、今回の学会事前の摺り合わせで、メールでかなり突っ込んだディスカッションをさせて頂きました。その内容が、面白かったんで、かいつまんでご報告です。
宇津木先生曰く、

「SMASの固定や力源の支持力は耳前部から咬筋の前縁までで終わっています。それより前(口側)は、SMASの支持力はありません。しかし、本当に支持が必要なのは、咬筋前縁より前のまさに支持力のない部分です。そこを別の組織または糸のようなもので補強する必要があるのです。」


SMASというのは、頬のたるみを支持する筋膜です。図のように広がっており、これを上方に引き上げ、短縮することでたるみを改善しようというのが「切るリフト」の考え方です。
宇津木先生は、SMASの引き上げで改善するのは、咬筋の前縁まで、すなわち図の紫色のエリアよりももう少し狭い範囲で、口横のたるみなどには影響が及ばない、と考えています。
宇津木先生は、切るフェイスリフト手術の際には、大腿から腱膜を採取し、SMASの及ばない部位に縫合して、引っ張り上げるという補強をされるそうです。
これって、糸リフトの考え方に似ています。
腱膜を移植しないただのSMAS短縮(引き上げ)手術というのは、支持組織を加えていません。引き上げてはいるのですが、補強は行っていないです。
だから、脂肪吸引などであごや首の重みを取るなどの操作を加えない限り、戻りも起きやすい。
引っ張ることでSMAS自体も薄くなるでしょう。
糸リフトと腱膜移植は、外部から補強材料を持ってきて、将来的なたるみの進行を食い止めようという点で発想が似ています。
宇津木先生は、スレッドリフトの手技を御自身の施術に応用したいようで、

「腱膜移植は、糸を使う概念、原理と同じだと思います。 実は、糸を勉強したいと思ったのは、糸の代わりに腱膜を使えばかなり効果的な手術ができると確信しているからです。」

とのことです。

切る手術をしてたるみを引き上げたとしても、外部から何かを足さなければ補強したことにはならない

この点で、宇津木先生と私の考えには共通項があると思いました。

Marten先生とツーショット。


ヴェリテの福田先生が私の発表に好感を持ってくださって一緒に写真を撮って送ってくれました。福田先生とは10年ぶりくらいです(私が学会にあまり顔を出さないからです)。福田先生が名大形成の医局長だった頃に、医局会の末席に加えていただいて勉強しました。懐かしい。


4人で写真。たまにはこういうのいいですね。私は名古屋でクリニックに引きこもってるので、気が付くと一か月くらい女性としか話してなかったりします。



せっかく東京に来たので、マンダリンオリエンタルに泊まりました。朝6時過ぎ、夜明け前の部屋からの景色です。このあと帰っていつも通りの仕事に戻りました。同じような日々の繰り返しですが、その中に平和と安心があります。大切にしたいと思います。

(平成30年1月16日記)

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継