ヒアルロン酸でどこまで美人顔が作れるか?


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は8月1日(水曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年3月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

18才の看護学生さん。ご縁あって、ときどきクリニックの見学にいらっしゃいます。
「マスクをしていると美人と言われるのでマスクをしていることが多いです」とのこと。


 眼が大きくぱっちりしてるし、とにかくまつげが長い。育毛薬使ってるのではなく天然だそうです。20㎜近いです。

ただ、マスクを外すと、これはご本人も認めていらっしゃるし、了解を得てこうして写真UPして解説もしているのですが、顔下半分がどうもバランスが悪い。「お金を貯めて、将来骨格の手術を受けたい」と言っています。

(写真をクリックして拡大してみるとわかりやすいです)

しかし、何をどうしたらいいのか、非常に難しいケースと思います。あごを短縮する手術というのがあるし、下顎を短縮する(セットバック)手術や、頬骨を削る手術もあります。私は専門ではないですが、それでも一応美容外科医を名乗っていますから、学会などで症例をみて、どんなケースにどんな手術が向いているかくらいは、普通の人よりは解ります。アドバイスしたり、術式さえ決まれば上手そうな先生に紹介することも出来ます。しかしこの子の場合、決め手が思いつかない。

何度も写真を見直すうちに、ひょっとしたら、この子は、骨格の手術ではなく、ヒアルロン酸である程度行けるのではないか?という気がしてきました。
注射のポイントは赤丸の箇所です。とくに重要なのは、鼻柱から人中のあたり。鼻翼よりも鼻柱が貧弱で引っ込んだ感じになって、人中すなわち鼻の下が短い。ここを伸ばすと良いのですが、鼻の下というのは長いのを短縮する外科手術はありますが、伸ばすのはむつかしいです。ヒアルロン酸を繰り返し注射していれば、expander効果で伸びてくるでしょうから、それがいいんじゃないかと考えました。
もう一つは、頬のこけの感じの部分。要は、なんとなく凹んで境界のようになっている個所を左官仕事で平らに直す感じです。


仕上がりがこんな感じ。悪くないと思います。
(写真をクリックして拡大してみるとわかりやすいです)

初見ではたぶん誰もが「あごが長いから短縮すれば?」と考えると思いますが、あごが長い美人って結構います。そうではなくて、ポイントは鼻の下の短さと、頬のこけ(凹凸)にあったのではないか、というのが私の判断です。
 
この子が、お金を貯めて、骨格系の手術を受けたとして、確かに顔は変わるでしょうが、それによって美人度が上がるどうかは微妙だと思います。手術をすればそれなりの傷跡は残りますし、何よりも「骨格の美容整形手術してこの程度ですか・・」というレッテルはやはり嫌でしょう。
ばっちり上手くいくケースがあるのを否定はしませんし、自分が施術メニューに入れていないからといって切る系の大きな手術は何でも反対というわけでもないのですが、ヒアルロン酸などの小技でも、意外といけるケースもありますよということは、覚えておいて良いかと思います。
 
この子の場合、私も確信がなかったので、ヒアルロン酸注射に先立って、生理食塩水注射でシミュレーションしました。クリニックに見学にいらっしゃる関係者(準スタッフ)なので、自分の勉強もかねて行った施術です。お客様でいらっしゃったら、ヒアルロン酸を勧めはしなかったでしょう。何度も彼女の顔を見ているうちに気が付きました。
なので、7か月先の私のクリニックの予約とって初見でカウンセリングして、私が一発でお客様の美人度が上がる最適解を見つける能力があるわけではないです。ここは誤解を招かないよう強調しておきます。しみを取ったり、糸で加齢のたるみを引き上げたりという、単純で間違いのない仕事が私のルーチンです。若返りは単純作業ですが、美容(美人度を上げる)は難しい。今回のケースは、あくまで皆様のご参考までにとご本人の了解のもと提示しました。
(2018/07/15 記)

鶏肉で糸リフトの実験しました

   
鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は8月1日(水曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年3月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

今日は1日、7か月後の予約受付日です。
朝10時から開始なのですが、9時過ぎから電話が鳴り始め、スタッフは携帯で時刻を確認しながら10時0分ちょうどになるまで待機します。公平第一なので。
今日1日でだいたい300件くらいのお電話をお受けします。1時間ほどで声がかすれてくるので、小さなアメを口に入れながら頑張って、2時間弱で次のスタッフと交替。この日ばかりは受付は5人体制で頑張ります。



しみ取りの枠と、糸など手術の枠があり、しみ取りの枠は初日で埋まりますが、手術の枠は2日目3日目でも日を選ばなければ空いていることが多いです。なので手術御希望でお電話繋がらないと困ってらっしゃる方、2日目の午前中あたりが狙い目ですよ。

さて、PAPARSという形成外科の雑誌があるのですが、そこから糸リフトについての原稿執筆依頼が来ました。糸リフトの経験の無い先生方に、糸でたるみが引き上がる理屈を解りやすく視覚化しようと、鶏の皮と腿肉を買ってきて実験しました。


左)施術前のたるんだ頬のイメージ 中)針を刺したところ 右)糸が通った施術後。赤線は引き上がり具合を解りやすくするための補助線。

どうでしょう、一点に集中していた重力負荷が糸によって周辺に分散される理屈がお解りいただけるでしょうか?
これを踏まえて、実際に口横のバッカルファット付近のたるみの引き上げを解説したのが下図です。最初下顎あたりから皮下を通して針を入れますが、このときの進行方向は、持ち上げたいターゲットである口横あたりに向けてです。針の先端がターゲットに届いたら、これを拾って、次いで針の進行方向を上方へと変えます。この操作がキモであり、針の方向をまったく変えずに、ただ糸をやみくもに皮下に通すだけでは、鶏肉の実験のような引き上げ効果は得られません。


次にコグ(返し)の性状についてです。糸リフトは、糸と組織との固着によって重力の負担を分散させる手技です。下図の左側は、単糸に手間をかけて刻みを入れた当院で使用している糸で、右側は近年出回っている型枠を作って樹脂を流し込んで成型した安価大量生産物です(モールドタイプと呼ばれます)。あなたはどちらの「返し」で魚を釣りますか?


スレッドリフト用の糸というのは、様々な製品が次から次へと現れます。しかし新製品=改良品というわけではありません。糸リフトの原理や仕組みを大して理解もしていない製造者が、コストだけを考えて改悪品を世に出してきているとしか思えないのが近年の現状です。
現場で施術している医師の側の問題も大きいと思います。私は皮膚科出身であり、解剖を熟知した形成外科医に対する敬意は決して忘れませんが、この問題に関してはあえて苦言を述べさせていただきたいと思います。多くの形成外科医が、切って縫い付ける手術ばかりに関心を寄せ、糸リフトについて真剣に考えようとしてこなかったのではないでしょうか?せめて今回のPAPERSの原稿を読んで、真面目に糸リフトに取り組もうと志している方だけにでも、私の思いと経験知が伝わればと願います。

専門的な話になりますが、そもそもSMAS(頬の深部にある筋膜組織)の切除縫縮というのは支持組織を強化する作業では決してありません。切除した皮膚が伸びるようにSMASもまた再びたるみます。むしろ手術の結果損傷を受けたSMASは長期的には伸びて菲薄化するでしょう。そこで脂肪吸引やら、時には顎下腺まで切除するというような「ボリュームを減らす」という戦法をフェイスリフトに併用する医師も現れます。溶けない糸によるたるみ引き上げというのは、外部から支持組織を加えるというプラスの作業であり、例えていうならば大腿筋膜をSMAS部分に移植して補強するようなことです。決して切るフェイスリフト手術と対立するものではなく、むしろこれを補強する手技と認識すべきと考えます。

何となく溶ける糸のほうが安全なような気がするからという理由で患者に溶ける糸を勧めて、効果が無かったと訴える患者に「やはり糸では駄目ですね。費用は高くなりますが切るリフト手術をしましょう」と誘導するためのツールに、糸リフトの施術を貶めて欲しくありません。15年間、糸リフトの施術をメインメニューとして施術を続けている私の心からの願いです。

もう一つ、コイル状の糸(アプトススプリング)についての実験です。コイル状の糸を挿入した後、実際に内部がどのようになっているのかを確認してみました。
下図はコイル状の糸(上)と、これを鶏のささ身に挿入したあとで切り開いたところ(下)です。コイル状の糸を引き延ばした状態で挿入すると、リングとリングの間で肉が挟まれて組織と固着します。コイルは縮んで戻ろうとするので、その性質を利用してたるみの引き上げに利用します。糸全体に伸縮性があるので口横や首など可動部位に向いています。
 

均一にむらなく引き伸ばされているようで安心しました。車のサスペンションの後付けみたいですね。

(2018.7.1記)


ざわちん見に来ませんか?(医療アートメイクの無料講演会@名古屋)


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は7月1日(日曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年2月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

5月9日(水曜日)10時~11時半、ウインク愛知5階小会議室にて、下記のような無料市民講演会を催します。
事前登録不要、入場無料です。
会場は300人収容なんですが、無料市民講演会なので、大々的に宣伝広告する筋合いのものでもないし、クリニックのお客さんにチラシ配布しているですが、正直、どのくらいお客さん来てくれるのかがわかりません。
あまりにガランとしてたら寂しいし、せっかく来てくれるざわちんさんや池田先生に悪いので、お暇だというかた、助けると思ってご来場ください。よろしくお願いいたしますm(_ _)m。
和子先生とあこさんが、モニターさんの施術動画流しながら解説もします。いま頑張って編集中なので、全部で1時間半のことですし、出来れば、ざわちんさん終わったらぞろぞろ帰ってしまうなんてことなく、最後までお付き合い頂ければ、さらに嬉しいです。

【日時】平成30年5月9日(水曜日)、10時-11時30分
【会場】ウインク愛知(愛知県産業労働センター)5F小ホール
【内容】
1 アートメイクを取り巻く現状と、医療アートメイク学会発足の経緯について 池田欣生(東京皮膚科形成外科総院長、医療アートメイク学会理事長)
2 「私、失敗しないんです」-正しい眉のアートメイクデザイン ざわちん
3 安全・安心な医療機関でのアートメイクー実際の施術動画を供覧して解説 河村・小澤(鶴舞公園クリニックスタジオ)
【主催】医療アートメイク学会
【共催】女性医師によるアートメイクの会、日本メディカルタトゥー協会
【協賛】鶴舞公園クリニック
【後援】中日新聞社
(2018/04/25 記)

2018/05/10追記
昨日の講演会の様子が中日新聞に掲載されました。すぐに収穫できる種蒔きではありませんが、実績になっていくと思います。ご来場いただいた皆様有難うございました。



抜去した糸とその組織像


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は5月1日(火曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年12月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

フェイスブックの非公開グループで「美容外科症例わからん会」というものがあります。
美容外科医が知恵を出し合って、互いの疑問を解決しようという集まりで、メンバー数は380人です。
そこに下記のような質問をしてみました。
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当院で一年前に入れた溶けない糸(コイル状、ナイロン)を、凹凸が気になるために抜去して入れ替えたのですが、その際に周囲の脂肪組織が絡まってきた部があったので、病理に出してみました。なかなか見る機会の無いものだと思うのでUPします。


 通常は糸のみ抜けてきて、脂肪は付いてきません。時にこのように脂肪が付着します。視診的に明らかな感染などの炎症症状は一年を通してありませんでした。
ピンク色の均質な丸がナイロン糸の断面です。
 真ん中あたりの糸周囲に繊維化が強く起きていて、この癒着が強くて脂肪がくっついてきたのだと思います(拡大1)。


 癒着の少ない糸周囲にも弱いながら繊維化生じていることがわかります(拡大2)。

脂肪が付いてきてはいますが、溶けない糸の場合、このようにしっかり抜けるため、抜いてしまえば凹凸は治ります。脂肪付着しているからと言って、線状の陥凹になるなんてことはありません。
 溶けない糸はこのように、面倒ではありますが抜去は可能ですが、溶ける糸は、そもそも抜けないし、溶ける糸といえど異物であり、一年以上残る場合には周囲にこのような繊維化生じるでしょうから、凹凸きたした場合には修正しにくいのではないかと想像します。
それで質問です。溶ける糸で、一年以上たって、凹凸残存している例ってみたことありますか?
=====


数日待ってみたのですが、「いいね」は貰えるものの、コメントはつきません。そこで少し挑発的に下記のように付け加えてみました。

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コメント付かないですね・・
1) 凹凸が一年以上継続している例がある←溶けない糸と異なり抜けないから修正困難ではないか?
2) 凹凸が継続する例が無い←周辺に生じたわずかな繊維化だけでは支持力が足らないことの証明ではないか?
と反論して、溶ける糸の欺瞞を叩いてやろうという目論見だったんですが(笑)。
冗談は置いておいて、どなたか溶ける糸派の方で反論ございませんか?
学会などでもしつこく強調していますが、埋没二重が溶ける糸で出来ないのとまったく同じ理屈で、溶ける糸によるたるみ引き上げは意味が無いというのが、昔から変わらぬ私の持論です。
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しばらくするとお二人からコメントが付きました。

===(コメント1)===
〇大のAです。
深谷先生、ご報告ありがとうございます。
同じような症例何例もありますので、ヒアルロン酸でも、吸収糸でもなんでも、同様のことが生じうると考えております。
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私の返信です。

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ありがとうございます。ヒアルロン酸は半年から一年で吸収されると言いながらも、数年たっても残ってるように見える方日常的に診ます。同じ理屈だと、溶ける糸も、周囲繊維化した状態で残存するのではないかと考えます。もちろん細かく千切れて張力は無くなっているでしょうが。

=====

もう一人の先生。

===(コメント2)===
深谷先生、ご報告ありがとうございます。
〇美容外科のBと申します。
若輩者の美容外科医で大変恐縮でございますが、せっかくの機会ですのでコメントさせて頂きます。
まず、溶ける糸で「凹凸が一年以上継続している例があるかどうか」についてです。
私の溶ける糸のスレッドリフトの730症例程度の経験上で私の知る範囲ではありません。
(症例数が多くなくて申し訳ございません。数千症例以上の先生のコメントが欲しいところです。)
ただ、糸の刺入部付近のヨレが長期的に残ってしまっている症例は見たことがあります。
そのため、テクニカルエラーによっては溶ける糸でも凹凸・ヨレが長期的に残るリスクはあるのかなと思っております。
次に「周辺に生じたわずかな繊維化だけでは支持力が足らないことの証明」ということに関してですが、基本的に私も同意見です。
深谷先生のおっしゃる通りで溶ける糸では長期的には大きな支持力はないと考えています。
ただ、大きな支持力はないものの溶ける糸でもそこそこの支持力はあると思っています。
というのも、溶ける糸のスレッドリフトをしている患者さんはたるみが少なく見た目も実年齢より若い方が多いからです。
(特に繰り返して受けている方です。私の730症例程度の経験上です。数千症例以上の先生のコメントが欲しいところです。)
ちなみに、
Suh DH et al:Outcomes of polydioxanone knotless thread lifting for facial rejuvenation.
Dermatol Surg. 2015 Jun;41(6):720-5.
という文献ではスレッドリフトの施術を受けた方を2年間以上後ろ向きに調査しています。
<結果として>
・満足した人の割合は87%。
・肌質改善に関しては、もっとも良い”excellent,”が13人、良い”good,”が9名という格付け評価であった。(31人中)
・リフトアップ効果に関しては、もっとも良い”excellent,”が11人、良い”good,”が6名という格付け評価であった。(31人中)
であり、以下のように結論づけられていました。
「Facial rejuvenation using PDO thread is a safe and effective procedure associated with only minor complications when performed on patients with modest face sagging, fine wrinkles, and marked facial pores.」
「スレッドリフト(材質はPDO)を使用した顔の若返りは、軽度の顔のたるみ、小じわ、毛穴が目立つ患者において合併症も少なく安全かつ有効な施術である。」
そのため、溶ける糸のスレッドリフトは溶けない糸と比較して効果は劣っているかもしれませんが、730症例の私の経験上も患者満足度が高いですし有用な施術の一つであると思っております。
長々とコメント失礼致しました。
=====

 
私の返信です。

=====
B先生、ありがとうございます。
730例で凹凸一年以上続くケース思い浮かばないということは、無いのでしょうね。
解釈については、先生もお認めになっている通りと思います。
患者満足度については、組織学的に微細な繊維化が残る以上は、重力にあらがってたるみを引き上げる効果はなくても、張りを出すというか、ちょうどサーマクールを当てるような効果はありそうです。
B先生のようにまともな考えで、溶ける糸を施術しておられる方には、何も物申す気持ちはないのですが、中には「溶けない糸は危険で溶ける糸のほうが優れている」ような発信をなさる方がいるので、溶けない糸派の私としては困ります。患者が不安がって、なだめるのが大変ですから迷惑です。
私のほうが年長ですし(58才です)、もとより症例数を競う積もりはないですが、一応ご参考までに、私の溶けない糸の経験値はだいたい延べ5千例くらいで入れた糸総数は3万本くらいです。10年以上の観察例も多く、最近「溶けない糸の長期効果」として論文にまとめました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29180885
溶ける糸で満足度の高い成果をあげているB先生なら、溶けない糸を施術すればもっと患者に感謝されると考えます。最初は凹凸の修正など大変かもしれませんが、時間をかければなんとか抜けるものですよ。ぜひ溶けない糸にも挑戦してみて下さい。
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追伸が来ました。

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深谷先生御返信誠にありがとうございます。
少なくとも溶ける糸のスレッドリフトのテクニカルエラーで凹凸が長期的に残ってしまうことは稀ですがあります。
(私が知っている範囲ですと
・脂肪吸引+溶ける糸のスレッドリフトの組み合わせの症例で凹凸が長期的に残ったケース
・糸の刺入部付近の凹凸・ヨレが長期的に残ったケース)
また、私の経験でもスレッドリフト後の凹凸をヒアルロン酸注入で修正したケースが数例あり長期的に残るかもなと思ったこともございます。
なお、おそらく皮膚・皮下組織が薄い人に浅いレイヤーで糸を挿入したら溶ける糸でも長期的に凹凸は残りそうな気がします。
そのため、私も深谷先生の意見にほぼ同意なんですが
「溶ける糸で凹凸が1年以上続くケースが無い」と言い切るのはベストな表現ではないかと思います。
また、
Savoia A et al:Outcomes in thread lift for facial rejuvenation: a study performed with happy lift™ revitalizing.
Dermatol Ther (Heidelb). 2014 Jun;4(1):103-14. doi: 10.1007/s13555-014-0041-6. Epub 2014 Jan 17.
という別の文献でも
・スレッドリフトの施術を受けた方を2年間以上調査されていて
【結果】
・満足した人の割合は89%。
・左右非対称となったのは6%であったが、簡単に修正された。
・合併症の頻度は少ないが、以下のようなものが認められた。
→腫れ、内出血、赤み、少量の出血 、一時的な感覚障害。
【結論】
「Thread lift with “Happy Lift™ Revitalizing” is a safe procedure associated with minor complications, when performed on cohorts of patients requiring a facial lifting of modest degree.」
「スレッドリフト(種類はハッピーリフト)による若返りは、中程度の顔のリフトアップが必要とされる患者さんにおいて、合併症も少なく安全な施術である。」
などとポジティブに書かれています。
また、私の経験上で1年に1回溶ける糸のスレッドリフトをしている患者さんの症例写真を見比べてみて、1年前よりもたるみ減っているなと感じることもあります。
そのため、深谷先生のおっしゃることに概ね同意はしていますが、
・溶ける糸のスレッドリフトはたるみ改善効果がない。
・患者満足度の高さは組織学的な繊維化でサーマクールを当てる効果だけによるもの。
と言い切れるほどシンプルなテーマではないような気はします。
ありがとうございます。
やはり、深谷先生の経験値は卓越されていますね。
もちろん溶けない糸の方がたるみ改善効果が高いということは理解しております。
ただ、現状ですと溶けない糸のスレッドリフトは技術的に私は自信がないのでチャレンジできないです・・・。
論文・文献の方も誠にありがとうございます。
勉強させて頂きます。
長々とコメント失礼致しました。

=====

私の返信です。

=====
ご丁寧な追伸ありがとうございます。
すると、B先生ご自身の経験においては、一年以上凹凸が残った症例の記憶はないが、他院での施術(?)の修正の経験からは、凹凸が残る場合もあるかもしれない、という印象ということですね。
B先生が丁寧に施術していて、凹凸が目立ちにくいのかもしれませんね。
他院の症例は、一年後も目立つということは、直後は相当な凹凸で、初心者に近い先生が施術したのかもしれませんね。
それなら、「単なる張りではなくて、若干はたるみ効果が残るような気がする」というB先生の印象にも合致します。なるほど。
ところで、先生が挙げられた2論文は、実は私も読みました。
スレッドリフトに関する英語論文は、先生もご承知のように、数えるほどしかありません。
なおかつ、患者満足度を尺度として評価しているものばかりです。
ここが私は不満です。なぜなら、患者満足度は、効果のみならず、価格やスタッフの対応まで含めた複合的な結果であって、たるみ評価の尺度ではないからです。
なおかつ、長期効果の場合には、患者の実年齢自体が増加していくと言う面も考えなければなりません。
それで私は自分の論文では、評価尺度に工夫をこらしました。よい方法だと思うので、またお時間あるときにご一読ください。
私と同じ方法でB先生の手持ちの症例で解析して、両者を比較できるといちばんいいのですけどね。
お互い、溶ける糸と溶けない糸、片方しかやっていないですから、相手側のことは推測しかできません。
今回は、貴重なお時間費やして、私の挑発的で失礼な質問に丁寧にお答えくださいましてまことに有難うございました。
気が向いたら遊びに来てください。先生のようにまともな意見交換出来る方は好きなので歓迎します。

=====

いかがでしたでしょうか?若干専門的な議論ではありますが、一般の方が読んでもわからない話ではないし、むしろ有意義な情報だろうと考えて、こちらに紹介しました。
B先生のコメントにありますように、溶ける糸にもそれなりの効果というか満足度はあるようですから、私も決して全面否定するつもりはありません。もし溶ける糸の施術を選ばれるならば、B先生のような効果も限界も承知した方にやってもらうと良いですよ。
(2018/03/02 記)

外部から何かを足さなければ補強したことにはならない。第131回日本美容外科学会(JSAPS)報告・その2


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は3月1日(木曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年10月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。
 
その1は→こちら

右はMarten先生、真ん中は宇津木先生(クリニック宇津木流)です。


宇津木先生とは、今回の学会事前の摺り合わせで、メールでかなり突っ込んだディスカッションをさせて頂きました。その内容が、面白かったんで、かいつまんでご報告です。
宇津木先生曰く、

「SMASの固定や力源の支持力は耳前部から咬筋の前縁までで終わっています。それより前(口側)は、SMASの支持力はありません。しかし、本当に支持が必要なのは、咬筋前縁より前のまさに支持力のない部分です。そこを別の組織または糸のようなもので補強する必要があるのです。」


SMASというのは、頬のたるみを支持する筋膜です。図のように広がっており、これを上方に引き上げ、短縮することでたるみを改善しようというのが「切るリフト」の考え方です。
宇津木先生は、SMASの引き上げで改善するのは、咬筋の前縁まで、すなわち図の紫色のエリアよりももう少し狭い範囲で、口横のたるみなどには影響が及ばない、と考えています。
宇津木先生は、切るフェイスリフト手術の際には、大腿から腱膜を採取し、SMASの及ばない部位に縫合して、引っ張り上げるという補強をされるそうです。
これって、糸リフトの考え方に似ています。
腱膜を移植しないただのSMAS短縮(引き上げ)手術というのは、支持組織を加えていません。引き上げてはいるのですが、補強は行っていないです。
だから、脂肪吸引などであごや首の重みを取るなどの操作を加えない限り、戻りも起きやすい。
引っ張ることでSMAS自体も薄くなるでしょう。
糸リフトと腱膜移植は、外部から補強材料を持ってきて、将来的なたるみの進行を食い止めようという点で発想が似ています。
宇津木先生は、スレッドリフトの手技を御自身の施術に応用したいようで、

「腱膜移植は、糸を使う概念、原理と同じだと思います。 実は、糸を勉強したいと思ったのは、糸の代わりに腱膜を使えばかなり効果的な手術ができると確信しているからです。」

とのことです。

切る手術をしてたるみを引き上げたとしても、外部から何かを足さなければ補強したことにはならない

この点で、宇津木先生と私の考えには共通項があると思いました。

Marten先生とツーショット。


ヴェリテの福田先生が私の発表に好感を持ってくださって一緒に写真を撮って送ってくれました。福田先生とは10年ぶりくらいです(私が学会にあまり顔を出さないからです)。福田先生が名大形成の医局長だった頃に、医局会の末席に加えていただいて勉強しました。懐かしい。


4人で写真。たまにはこういうのいいですね。私は名古屋でクリニックに引きこもってるので、気が付くと一か月くらい女性としか話してなかったりします。



せっかく東京に来たので、マンダリンオリエンタルに泊まりました。朝6時過ぎ、夜明け前の部屋からの景色です。このあと帰っていつも通りの仕事に戻りました。同じような日々の繰り返しですが、その中に平和と安心があります。大切にしたいと思います。

(平成30年1月16日記)

溶ける糸は溶けない糸よりリスク・デメリットが多い。第131回日本美容外科学会(JSAPS)報告・その1

 
鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は2月1日(木曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年9月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

第131回日本美容外科学会(JSAPS)の、「フェイスリフトとスレッドリフト」のパネルで、15分間の口演をしてきました。せっかく作ったパワポなので、ここにUPしておきます。前半はこれまで書いてきたことのまとめですが、後半の、溶ける糸と溶けない糸の比較などは、目から鱗の方も多いんじゃないでしょうか。

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私は最近、「溶けない糸によるたるみ引き上げの長期効果」という論文を書きました。受付で別冊を配布しておりますので、ぜひご一読ください。
 
 
まず最初に、私のスレッドリフトの施術の動画をご覧ください。約三分です。
第一に、コイル状の糸による施術です。コイルのリングの間で組織が挟まれて糸が固定します。糸は、後付けの靭帯のように、生涯支え続けます。
 
第二に、エックストーシスです。これは私独自のデザインです。針は私が発明しました。針にヘッドが付いていないので、進行方向に引き抜くことが出来ます。
二本目の糸は、最初の糸と交差するように挿入します。二本の糸の4つの端を引っ張って、こめかみ辺りの組織を引き締めます。
  
三番目に、アプトスです。針を進める途中で、方向が上向きに変化する点にご注目ください。糸は水平方向に引っ張りますが、口横のたるみは上方向に引きあがります。
 
  
患者と方法。
再来患者のうち、過去にスレッドリフトの施術を受けた者を、連続して100人ピックアップして、解析対象としました。
 

正面および斜めからの写真を撮って、目より下の中顔面下顔面のみが見えるように切り取ったものを用意しました。


100人の患者の、スレッドリフト前後の写真を、6人の女性にランダムに見せて、年齢当てをしてもらいました。
6人の数字の平均を「見かけ年齢、アペアラントエイジ」と定義します。

  
患者の実年齢と見かけ年齢の差を、「若さ値、ユースバリュー」と定義します。そして二つの若さ値の差を、「若返り効果 ジュビネーションエフェクト」と定義します。


 例えば、この女性は、初診時、実年齢30才、見かけ年齢31才でした。
スレッドリフトの施術を受け、34才のときに再来しました。見かけ年齢は28才でした。
彼女の「若さ値、ユースバリュー」は、30-31=-1才から、34-28=6才になり、若返り効果、レジュビネーションエフェクトは、6-(-1)=7才です。
 

これは100名の患者のスレッドリフト前の実年齢と見かけ年齢のプロットです。
回帰直線が、Y=Xにほぼ一致するので、6人の女性による年齢当ては、かなり信頼できます。


これはスレッドリフト施術後の、実年齢と見かけ年齢のプロットです。
見かけ年齢が明らかに低いです。スレッドリフトの効果を表しています。


最後にスレッドリフトを受けてからの時間と、若返り効果との関係です。50人の患者は最後にスレッドリフトを受けてから1年未満で、あと50人は1年以上経過していました。
これは、一年未満の患者のプロットです。月数がたつにつれ、若返り効果が減弱しています。
 

一方、最後にスレッドリフトを受けてから1年以上経った50人の、経過年数と若返り効果とのプロットがこちらです。
回帰直線は右上がりであり、年数が経つにつれて、若返り効果が上昇しています。
これはとても興味深いことです。私は、スレッドリフトの効果には、短期と長期とがあり、施術後数ヶ月は短期的効果が減弱していきますが、一年以上たつと、実年齢に比べて見かけ年齢が若くなるという、長期効果が見込まれるのだと考えます。


溶けない糸を入れるというのは、組織の中に、靭帯を後付けするようなものです。たるみの進行はゆるやかになります。
図に示したように、スレッドリフトの施術のあとは、実年齢と見かけ年齢とが、年数とともに乖離し、若さ値(ユースバリュー)が大きくなるのだと私は考えます。
溶けない糸によるスレッドリフトの施術のあと、たるみはいったん引きあがりますが、数ヶ月で戻っていきます。しかし、それは無駄ということではなく、一年以上の長期でみたときに、たるみの予防効果があると考えられます。


さて、最近では溶ける糸によるスレッドリフトを施術する先生が多いです。その理由に、溶ける糸のほうが安全という考えがあるようです。本当でしょうか?
 

溶ける糸も溶けない糸も同じ異物ですから、感染は起こり得ます。溶ける糸のほうが感染症を起こしにくいなどということは理論的にありえません。なおかつ、感染を起こした場合は、溶けない糸のほうが除去しやすいです。溶ける糸を抜こうとすると、もろくなっているので途中で千切れてしまうからです。


 注) 動画です。生々しいので苦手な人は見ないほうがいいです。同業の医師などで、どうやって抜くのか参考にしたい方のみご覧ください。
昔から繰り返し言ってるんですが、糸って言うのは、入れ方よりも抜くほうが難しいのだから、まず抜き方を、鶏肉などを使って練習したほうがいいです。抜き方を知らない医者に業者が「溶ける糸なら後のこと考えなくていいですよ」と売り込んだ結果が現状です。それを、糸抜くどころか入れた経験も無い形成外科医が論評するから話がややこしくなる。

実際に私が溶けない糸で施術した後、感染を起こした例で、糸を抜いている様子を示します。
最初に局所麻酔をします。感染を起こして瘻孔を形成しているので、麻酔薬が漏れてきます。
鉗子で糸をつかみ、手でマッサージしながら、注意深く糸を組織から外します。
糸が抜ければ、瘻孔は数日で閉鎖します。溶ける糸で自然に吸収されるのを待つと、数ヶ月かかります。
注) PLA(ポリ乳酸)などの2年くらいかけて溶けていく糸を推奨する医者もいますが、感染したときには抜くこともできずに2年待たなければなりません。炎症が長引けば、瘢痕や変形もきたします。そもそも2年で溶けるっていうのは、2年で急に消えるわけじゃなくて、もっと早い時期に千切れ始めて糸としての強度は無くなってます。解ってるはずなんですが、なんで溶ける糸にこだわるんだろう?たぶん直観と言うよりはただの思い込みです。


この女性は、溶ける糸を頬に入れた後、異物感と発赤・硬結が数ヶ月続いています。溶ける糸というのは、吸収の過程で低分子になりますから、アレルギーを引き起こす可能性があります。
 

これが結論です。感染しやすさは変わりません。溶けない糸のほうが抜きやすいです。溶ける糸にはアレルギーを起こす可能性があります。溶けない糸では長期効果が期待できます。


最後に、私は外科的フェイスリフトとスレッドリフトというのは、決して競合するものでは無く、相互補完の関係にあるということをお伝えしたいと思います。たるみの少ない方には、長期的な予防効果が期待できるスレッドリフトが望ましいし、しっかりとたるんでしまっている場合には、外科的に引き上げると良いです。以上です。ありがとうございました。

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(平成30年1月15日記)