ピコ秒レーザーはなぜ低出力でしみが取れるのか?(その4)


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は7月1日(土曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年2月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。
  
前回(→こちら)、前々回(→こちら)、前々々回(→こちら)、の続きです。
ピコレーザーのピークパワーのデータはないかなあと思って、ネットで検索してみたら、見つかりました。

エンライトン532nmで0.4ギガワット(0.4×10^9 W/cm^2)、サイノシュア社のピコシュアで0.36ギガワットです。フルエンスで2.0J/cm^2出せるからエンライトンを買ったんですが(→こちら)、ピークパワーは同程度なんですね・・。

せっかくデータ見つかったし、先回ヤフー知恵袋で神様が降臨して道しるべ授けてくださったんで、自分でも計算してみました。

ピコ秒レーザー:フルエンス 0.5J/cm^2, パルス幅 750psの場合、完全な矩形波であるとすれば、ピークパワーというか光強度は、0.5J/cm^2÷750ps= 6.7×10^8 W/cm^2 になります。上表の数字とほぼ同じです。
一方、ナノ秒レーザー:フルエンス 2J/cm^2, パルス幅 6nsの場合、同様に完全な矩形波であるとすれば、ピークパワーは2.0J/cm^2÷6ns= 3.3×10^8 W/cm^2 になります。C6の波形はトップハットですから矩形に近いはずです。
同じフルエンスでも波形がガウシアンのMedLiteⅡでは、ピークパワーが少し高くなるはずです。


ただし、ガウシアン波形の場合、中央部のピークパワーは高くなるのですが、周辺部が低くなります。
エンライトンでしみ取りをしてみて、感じるのは、直径5mm以上のスポットサイズ(MAX8mmまで設定できます)になると、周辺部が中心部に比べてホワイトニングが起きにくくなる点です。たぶんガウシアンなのでしょう。ですから、エンライトンの場合、スポットサイズはなるべく小さくして、大きな面積を取るときには、Hzを増やして施術したほうが良いと思います。

エンライトンを使用してみての経験上、ホワイトニングの程度が、直径2mmのほうが、直径8mmよりもはるかにしっかりしているので、おそらく上表のピークパワー値もまた、直径2mmでの値だと思われます。
私は、C6とMedLiteⅡを持っていたのですが、しみを取るときは、経験的にMedLiteⅡのほうが良さそうだと思って使ってきました(→こちら)。またMedLiteⅡは初期モデルなので、大きなスポットサイズで強いフルエンスが出ません。Hzは出せるので、2mmのスポットサイズでHzを多くして(5または10回/秒)面積の大きなしみを取ってきました。いま、振り返ってみると、理にかなったことをしていたのだなと感じます。

話を戻して、上表のエンライトン532nmのピークパワーは、0.4ギガワット(0.4×10^9 W/cm^2)です。この光強度で、クーロン爆発は起きないでしょうか?
水素原子の1s 軌道の電子が原子核から感じる電場は、5×10^9 V/cmです(→こちら)。ちなみに、なぜ水素原子を引き合いに出すかというと、一番小さな原子なので、クーロン爆発も最小のエネルギーで生じるだろうからです。
E = 2.74×10^3 √I の計算式を使って、電場(E)から光強度(I)を計算すると、5×10^9 V/cmは3.3×10^12 W/cm^2 に当たります。
0.4×10^9 W/cm^2 と 3.3×10^12 W/cm^2 では、約1万倍の開きがありますね。クーロン爆発は起きなさそうです。
 
キュテラの方のお話しだと、750psというパルス幅は、技術的限界で、フルエンスを同じにしてこれ以上パルス幅を短くすると、プラズマが発生してしまうのだそうです。プラズマっていうのは、原子核や電子が自由に飛び回っているような状態のことをいいます。しかし、メラニン顆粒がプラズマになってしまうと、何か悪いことがあるのかなあ?
クーロン爆発未満だと、光励起の結果、水素の移動などの光化学反応が起きるようです(たとえば→こちら)。

しかし、こうなると、C6, MedLiteⅡ,エンライトン各レーザーの、すべてのスポットサイスのピークパワー実測して確認したくなってきました。実はキュテラ本社の開発部に、協力を仰いでいます。関心持ってくれるといいんだけどなあ。

 ☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆

固い話が続きました。エレナさんオリガさんタチアナさんのコーラスどうぞ。今夜名古屋市内のお店で舞台に立つのですが、その前にクリニックの待合でアカペラで一曲歌ってもらいました。
もともと三人、音大出てトリオ組んだのですが、折からのソ連崩壊、いろいろあったことでしょう。そのあたりに思いを馳せながら、お酒飲んでこようと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=rTgUBc-M3ck 

ちなみにこの歌は「ウラルのグミの木(Уральская рябинушка) 」と言って、рябинаという花が二人の若者に恋をされてどちらが良いのか思い悩むという内容の歌詞です。たぶんロシアの女性は歌うと幸せな気持ちになるんじゃないかな。


音楽も、歌詞の意味知ってると知らないでは、感傷も違ってきます。レーザーも、仕組みを知って使うのと、知らずに使うのとでは、やっぱり違いますよ、って落ちで(^^)。
(2017/06/16記)

Cuteraのアメリカの開発部門から回答がきました。具体的なデータは公表しないでくれと言われているので出来ませんが、Enlightenの532nm,0.5J/cm^2とMedLiteC6の2.0J/cm^2のピークパワー値は、私の予想通り、かなり近いです。
パルス幅が組織の熱緩和時間より長い(熱で効果を出す)脱毛レーザーのような場合には、指標はフルエンス(J/cm^2)でいいですが、パルス幅が組織の熱緩和時間より短い(電場で効果を出す)ナノ秒レーザーやピコ秒レーザーでは、パネルの表示はピークパワー(W/cm^2)であるべきなんでしょうね。