糸での引き上げの長期効果について (付:糸端がひっかっかったときの外しかた)


鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は終了しました。次のご予約受付日は4月1日(土曜日、10:00-18:30)からです。7ヵ月後の来年11月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

今年5月の日本美容外科学会(JSAS)で糸での引き上げ(スレッドリフト)のシンポジストを引き受けることにしました。
実は学会にはもう10年くらい行ってないです。いくつか理由があるのですが、10年ほど前に「もう、ここから先は、学会で情報を仕入れるのではなくて自分で切り開くしかないな」と感じたのが最大の理由です。
10年経って、なぜ学会で報告しようと思い立ったかというと、最近美容外科の先生たちも世代交代してきたようで、そういった先生たちの中には、私のやっていること、やってきたことを知らない方々もいるようなので、この辺りで一度インパクト与えて存在感示しておいたほうが、いろいろ都合がよさそうだ、と考えたからです。
どういう風に都合がよいかというと、うちのクリニック、遠方からのお客さんも多いです。術後の経過で心配があるときに、近所のクリニックにセカンドオピニオン的に相談にいくこともあるかもしれません。そういった際に、担当医の先生が私が糸での引き上げについて真面目に取り組んでいる経験豊富な医師だということを知っていれば、対応も良くなるでしょう。お客さんの安心につながります。
 
さて、話が変わりますが、「How old do I look?」というサイトがあります(→こちら)。
顔写真をuploadすると、年齢を言い当ててくれるもので、顔認証の技術の応用だそうです。
お顔のたるみというのは、なかなか数値化しにくいです。いきおい、学会でも、症例写真をせいぜい数例提示するのが関の山で、そうすると何とか理解を得ようと、良い経過の写真を使ってしまいます。客観的な情報提供になりません。
そこで、このHow Old Robotを使って、顔年齢を出して術前後を数値化して比較したらどうだろうか?と考えました。

頬のたるみを数値化する方法としては、以前、「数名のひとに写真を見せて、年齢を推測してもらい、その平均値を計算する」という方法を、ここに書きました(→こちら)。
この方法は手間がかかるので、How Old Robotで代用できれば、ずいぶん簡単です。
そこで、クリニックを受診した60人くらいの方の初診時の写真(正面と斜めの2枚を並べて目から上を切り取ったもの)を、まずはスタッフ6名に順に見せて、年齢当てをやってもらいました。6名の評価の平均と実年齢とをグラフにした結果が下図です。

相関係数というのは、散布している点が、どのくらいY=X(斜めの直線)に近いかを示すもので、1に近いほど良いです。
一方How Old Robotに同じ写真を判定させると、下図のようになりました。ただし、How Old Robotは目の部分を切り取ると、顔と認識しなくなるので、目を含んだ全顔です。


相関係数は0.74なので、数名のひとが判定して平均を取ったほうが、より正確なようです。
また、このHow Old Robot、40代~60代の人を若く判定してしまう傾向があるみたいですね。
ちなみに私の顔写真を判定させたら「30才」と出してきました(実年齢は57才)。

商用というか、遊びのツールなので、わざと実際より若く出るようになっているのかもしれません・・。

なので、手間はかかりますが、数名の人で判定する方式のほうが、正確なようです。将来的にはHow Old Robotも進化するかもしれませんが、今のところは。
 
下は、あるお客様の、初診時と、スレッドリフト後に再診された際の最近の写真です。



この写真を、うちの6人のスタッフたちに判定させたところ、上の初診時の写真を「実年齢-6.3才」と判定しました。一方、下の最近の写真のほうは、「実年齢-9.5才」と判定しました。ということは、この方は、この間に9.5-6.3=3.2才若返ったことになります。
 
さて、最初にグラフで示した60名の方は、いずれも、当院で過去に糸を入れた方です。学会に備えて、再診にいらっしゃったお客様で過去にうちで糸を入れたことのある方を順番に100人評価する予定で、その途中経過です。
60名の方の、最近の写真をスタッフ6名に評価させた結果は下図です。


一番最初のグラフに比べると、全体的に下にシフトしています。これが、スレッドリフトによる若返り効果と言えます。
なお、術後の評価において、実年齢よりも見た目年齢のほうが高い方もいます。しかし、これは即「糸が効果が無かった」ということにはなりません。なぜなら、術前は見た目年齢が実年齢に比べてさらに老けていたかもしれないからです。
例えば、実年齢が40才のときに見た目年齢が45才の方がいたとします。その方がスレッドリフトを受けて、その後43才のときに再来し、見た目年齢が44才であれば、(43-44)-(40-45)=4才若返ったと言えます。
逆も言えます。すなわち、40才のときに見た目年齢が35才だった方がスレッドリフトを受けて、その後43才のときに再来し、見た目年齢が40 才であれば、(43-40)-(40-35)=-2才ですから、再来時に実年齢よりも若く見えていても、糸が有効であったと考えるべきではありません。
下は、そのような観点から、解析した結果です。60人のうち、最後に糸を入れてから1年以上経っている方たちだけをグラフにプロットしました。全体的に右上がりです。

これはどういうことかというと、「溶けない糸を入れておくと見た目年齢は年を取りにくくなる。それは実年齢が進むほど顕著となる」ということです。

私は、これまで、「溶けない糸を入れておくと、だいたい5才若返ります。それは10年経っても同じことです」と説明してきたのですが、実際には、「「溶けない糸を入れておくと、だいたい5才若返ります。10年後には糸を入れないより8才くらい若返ってます。」という説明のほうが正しいのかもしれません。
これは、実はそれほど意外な話でもないです。下図のように説明できます。

スレッドリフトによって、頬のたるみの進行が妨げられれば、実年齢が進むほど、見た目年齢との差は大きくなります。
  
以上、60例ほどデータ入力したので、息抜きに解析してみました。100例入力したら、糸の本数や施術回数などとの関係も調べてみます。結果が楽しみです。

スタッフに写真見てもらって見た目年齢評価しているところ。100人×2回(術前後)×6人の数値を出すので、けっこう大変です。だけど、興味深い(^^)。

さて、話は最初に戻って、当院では遠方からのお客様も多いのですが、そういうお客様に一番気を遣うのは、術後のトラブルです。交通費も時間も大変ですから。
よくあるトラブルに、「凹みが出来ている」というものがあります。そのまま放置で目立たなくなることも多いですが、糸端がひっかかっているだけのことが多いので、下のような手技で直せます。自分でもできますので、まずはトライしてみてください。もちろん当院までお越しいただければ、すぐに直します。
スレッドリフトの経験の多い医師にとっては、当たり前の手技なのですが、経験のない医師だと、難しいことを言われて不安になるかもしれません。セカンドオピニオンというのも善し悪しです。

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(H27/3/1記)