超音波によるたるみ治療器はヒアルロン酸を溶かす?

鶴舞公園クリニックの今月のご予約受付は9月2日でいっぱいになりました。次のご予約受付日は10月1日(土曜日)です。7ヵ月後の来年5月分のご予約をお受けいたします。公平のためお電話のみのご予約とさせていただいております(直接来院してのご予約は受け付けておりません)。ご了解くださいm(_ _)m。

ヒアルロン酸を注射したあとで、あるお客様から「先生、超音波美顔器はいつから使っていいでしょうか?」と聞かれました。
私はヒアルロン酸美容液の製作販売もしています(→こちら)。以前読んだ論文に「実験に用いたヒアルロン酸は、高分子量のものを超音波で小分子量に分解して作製した」と書いてあったことを思い出しました。
 
私「・・ヒアルロン酸は、超音波で分解されるから、あまり超音波美顔器は使わないほうがいいかもしれませんよ。」
お客様「そうなんですか!?、私、来月○○クリニックで超音波による若返り治療を予約しているんです。それもキャンセルしたほうがいいんでしょうか?」
 
最近、高密度焦点式超音波(HIFU:High Intensity Focused Ultrasound)というたるみ治療が流行っています。超音波を真皮や皮下組織に加えることで、その個所の温度を上げて、すなわち熱エネルギーによって、軽い瘢痕化・引き締めをするものと理解されています。ヒアルロン酸を注射したあとに、これを施術すれば、確かに分解しそうです。
ということは、この二つの施術は両立しないものなのでしょうか?・・

とりあえず、うちにはHIFUの機械はないので、まずはパワーが低いであろう超音波美顔器に関して実験してみることにしました。めがね洗浄器で代用しました。

https://www.youtube.com/watch?v=S23amnXayNs 
(画像をクリックするとYOUTUBE動画が開きます)

「パワーが低いであろう」と書きましたが、実際に実験して気がついたのですが、めがね洗浄器内の水は5分後にはやや温かくなっています。5分でタイマーが切れるようになっているので試しに3回(15分)繰り返してみたところ、明らかに水温上昇しています。水温が上昇した分のエネルギーが加わったということです。
HIFUの機械では、「当てられた皮下組織の温度が65~75℃へと急激に上昇します」とのことですから、めがね洗浄器内の水がその温度に達するまで繰り返せば、HIFUが照射されたと同じ条件になるのかもしれません。
HIFUをヒアルロン酸に直接照射したほうが、余程簡単です。スーパーで鶏肉買ってきて、ちょっと皮下注射したあとでHIFU当てて変化を見てみるといいと思います。誰かやってくれないかなあ・・。
 
さて、この記事は、「HIFUという施術は皮膚のヒアルロン酸を溶かしてしまうので、若返りに良くない」という主張をするためのものではありません。むしろ逆です。

どういうことかというと、低分子量のヒアルロン酸というのは、真皮の繊維芽細胞に働きかけて、コラーゲンの産生を促す作用があります(高分子量のヒアルロン酸にはありません)。HIFU施術が真皮内のヒアルロン酸を分解して低分子量ヒアルロン酸を生成するなら、それによる若返り効果というのは、単なる熱変性によるのではないのかもしれません。
真皮内に自然に存在する生理的なヒアルロン酸と言うのは、ターンオーバーが早く、確か24時間くらいで再生産されますから、HIFUを施術することで真皮のヒアルロン酸が全部分解されてスカスカになったままということはないです。

年配の方の細かいしわにチクチクとヒアルロン酸注射を打つと、何ヶ月か先にいらっしゃったときに、ヒアルロン酸を注射した部位のみならず、妙に全体に張りが出ているように感じることがあります。これはひょっとしたら、注射したヒアルロン酸が徐々に分解されるときに生成された低分子量ヒアルロン酸によって繊維芽細胞が刺激されて、コラーゲンが産生された結果かもしれませんね。

ただし、話を戻して、法令線などヒアルロン酸をボリュームアップの目的で入れたところには、HIFUを当てるのは避けたほうがいいかもしれませんね。多かれ少なかれ分解はされるでしょうから。

<論文を読んで勉強・確認したい方のために>
1 ヒアルロン酸が超音波で分解される話は
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8173334
2 低分子量ヒアルロン酸が繊維芽細胞に働きかけてⅠ型コラーゲンを増やす話は
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18282267

(2016/09/06 記)