スレッドリフトの長期経過・その2


糸でのたるみ引き上げに用いる糸には「溶ける糸」と「溶けない糸」があります。
溶ける糸と言うのはPDSという加水分解する素材で出来ているので(だから銀色のアルミ包装に入っている。空気に触れた時点から分解が始まる)、糸としての張力(組織を支える力)は2ヵ月後、素材そのものとしても6ヵ月後には完全に消失します。「糸を入れること自体でまわりにコラーゲンが生成され吸収後も効果が続く」という説明するところもありますが、それは嘘です。まったく何の効果も残さず半年後には完全に元に戻ります。PDSの分解産物にそんなコラーゲンの産生を高めるようなものなどありません。PCLという素材から出来ている糸はさらに分解が早いです(下図赤線)。

「溶けない糸でも元に戻るから、溶ける糸と同じことだ」というクリニックもありますが、これは勝手に思い込んでいるか、糸を入れる技術が悪いかどちらです。今日はうちのスタッフ二人の経過を示して、そのお話をしようと思います。

Wさん。
「溶ける糸」が出始めた10年くらい前に、片側に溶ける糸、反対側に溶けない糸を3本づつ入れて経過を見た方です(→こちら)。
下は2005年、ちょうど10年前です(40才)。この方「ほくろを取る前後のbefore/after」にも出演してもらっています(→こちら)。下の写真はそのときのものです(ほくろを取ってきれいになったところ)。

赤く線で書いた部分の肉割れがでてきています。すなわちそれより下のお肉がたるんで下がり始めているということです。以下、この赤線部分に注目して写真をみていくと理解し易いです。

この部分を上げるべく、下写真のように、左右に3本づつ計6本デザインします。

  糸入れた直後。両頬とも引きあがっています。

 下の写真は、糸を入れてから2ヵ月後。溶ける糸を入れた側が下がってきています。この実験を行う際に「最低6ヶ月は経過をみる」と約束していたのですが、本人から「耐えられない、溶ける糸を入れた側に溶けない糸を追加して欲しい」と懇願されました。

それで溶けない糸を3本追加した直後が下写真です。  

下はそれから3ヶ月たったところ。今度は下がってきません。 

さて下はそれから10年たった写真です(50才)。この間糸の追加はしていませんが、効果は保たれています。正しく溶けない糸を入れれば10年経っても効果は続きます。 

10年のbefore/afterを上下に並べました。

 次にIさん。
スレッドリフトの長期経過・その1(→こちら)でも紹介した方で、初期のデザインからエックストーシスまで2004年から2007年頃までに数回糸を入れています。その1では側面の写真で解説したので、ここでは正面写真を示します。
糸を入れる前(54才)。

下は1年後。法令線にヒアルロン酸などフィラーは打っていません。まったく糸だけの効果です。

下は2年後。またたるみ出てきました。「戻った」というよりも、糸というのは入れることによって5才くらい若返った印象にしますが、そのあとまた年はとるわけです。もし糸が入っていなかったら、もっとたるみが強かったはずです。

下は3年後の2007年。

ここで再び糸入れて引き上げました。下写真は直後。

下は最近の写真です(65才)。この間糸は追加していません。
  
10年前とのbefore/after

溶ける糸を採用するクリニック(先生)というのは、
1 最初から糸の効果を信用していない
2 技術(主にデザイン)がどこかおかしい(下手)
3 後でのクレームを心配し過ぎか、あるいは対応する気が無い

のどれかです。間違いありません。
糸での引き上げの施術をするなら、「溶けない糸でしか施術しない」と明言する先生に施術してもらって下さい。別にうちでなくてもいいですから。
それが誠実な態度です。
この施術はとてもいい施術です。「たるみを気にする女性は多いから、溶ける糸なら後の心配しなくてもいいし、効果が無いのは解っているけど一儲けしてやろう」みたいな、調子のいい話に乗らないように気をつけてください。
ゴールデンウィークが近いです。うちは御予約は半年以上前から一杯なので、今からの御予約・施術は無理ですが、もし他院で「溶ける糸」の予約をなさっている方、悪いことは言いません、キャンセルされたほうがいいですよ。ドブ金もいいとこです。
繰り返します。スレッドリフトは、「溶けない糸でしか施術しない」と明言する正直な先生に施術してもらって下さいね。私でなくてもいいですから。
(注:私のことをよく知らない方のために申し添えますが、私はこの10年間、毎年1000本以上の糸を入れている(→計算はこちら)、たぶん日本で一番糸の施術経験の多い医師です。経験値には自信がありますが、「自分が一番上手だ」などとおこがましいことは思いません。糸の施術はセンスの問題なので、私よりも経験が少なくても上手な方もいるかもしれないからです。しかし「溶ける糸」で施術している医師は、こと糸の施術に関しては信用できません。その理由を今回の記事に書いたという次第です。)

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クリニックのロゴ入りの鏡作りました。
 片面が拡大鏡になっています。
当院でまつげ美容液のグラッシュビスタ(→こちら、税込22,680円)お求めいただいた方に販促品で差し上げています。好評ですよ。

(2015/04/27 記)


鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継

「甦れ!!水も滴るいいア・ソ・コ」(真面目な話です)


「中間分子量ヒアルロン酸」は、私が製作販売している化粧品の主成分です。現在のところ、これを使用した化粧品は日本では他にありません。製品名を明示すると、ブログ記事が薬事法第86条(未承認医薬品の広告禁止)に抵触するおそれがあるので、製品名を伏して一般名である「中間分子量ヒアルロン酸」に置き換えて記事を書いています。関心のあるかたは検索あるいはクリニックHPから探してくださいね。
 
「美スト」という雑誌の今月号に表題のような記事がありました。


書きにくい話をユーモラスに上手にまとめたコピーとイラストだと思ったので紹介させていただきました。

実は今回の私のブログの内容は、過去に何度も書こうと思い立っては筆が折れてそのままになっていたものです。私が作製した分子量10万付近の特殊なヒアルロン酸美容液があるのですが、これが中高年の膣粘膜の萎縮・乾燥に良いかもしれない、という話です。

中間分子量ヒアルロン酸化粧水というのは、本ブログの過去記事(→こちら)でも詳述しておりますように、「ステロイド外用剤による皮膚の萎縮を防止するのに役立ちそうだ」という観点から製作しました。基になったスイスのジュネーブ大学の論文は→こちら。加齢による皮膚の萎縮に対する若返り作用については→こちらこちら

通常のヒアルロン酸美容液には、この作用はありません。通常のものには保湿効果を最大限に利用するために分子量100万以上のヒアルロン酸が使われています。浸透をよくするために用いられる分子量5千以下のヒアルロン酸にも、この作用はありません。分子量10万付近のヒアルロン酸だけが、表皮細胞のCD44 というレセプターに結合して分裂増殖のシグナルを送ります。そして、このサイズのヒアルロン酸をジュネーブ大学の実験通り2%w/w濃度で作製した美容液は、今のところ私が製作したものだけです。

それで、これ、どうして膣にいいと考えたかと言うと、通販サイトで購入したアトピーの患者たちの声がきっかけでした。
アトピー性皮膚炎というのは、目にみえる場所だけに起きるものではないです。男女を問わず外陰部にも湿疹が生じます。女性の場合、痒みとともに、皮膚が割れたりして痛みも伴います。しかし場所がデリケートなだけに、中間分子量ヒアルロン酸化粧水を使うのも抵抗があり勇気が要ります。思い切って使ってみたら思いのほか傷の治りが良くて使い心地もよかった、そういう感想メールを何通もいただきました。
皮膚も粘膜も同じ上皮です。中高年以降の膣粘膜の萎縮にもいいのではないだろうか? そう考えました。調べてみるとCD44レセプターは膣粘膜細胞にも存在することがわかりました。

それで、知り合いの婦人科の先生二人に私の考えを説明して、そういう訴えで来院した患者さんに差し上げて試用してみてもらえないか?と何本か差し上げてみたのですが、なかなかうまくいかないようです。どうも、中高年の女性が、膣粘膜の乾燥や萎縮でわざわざ婦人科を受診して相談する例は少ないみたいですね。性交痛の相談などはむしろ若い方のことが多いようです。
「美スト」の、この秀逸なコピーとイラストに勇気をいただいて、思い切ってここでキャンペーンを張ってみます。思い切ってというのは、私はこういう下半身関係のネタで記事を書いたことが無いもので・・。

通販サイトで、これまでに中間分子量ヒアルロン酸化粧水を御購入いただいたお客様、およびこの記事を読んで新たに購入してみようと思い立ったお客様、膣に使用した感想をshop◎fukaya.shop-pro.jp(◎を@に変換)にお寄せ下さい。中間分子量ヒアルロン酸化粧水150ml(大サイズ、価格10,800円)を追加で1本プレゼントします。感想とともに送付先住所氏名および年齢(重要!)と、何年何月頃に購入したかを記して下さい。ショップ履歴と照らし合わせて購入歴を確認したうえで発送します。感想文は活用させていただきますが、個人情報はもちろん絶対機密です。決してほかの目的で使用しません。

膣内への外用の仕方ですが、膣内まで指で外用できればベストですが、難しい場合は膣付近の皮膚に外用するだけでもいいと思います。毎日、最低二週間継続してみてください。パートナーの協力が得られれば、性交の際に男性器につけて潤滑ゼリー代わりに用いれば膣内にまんべんなく広がるので一石二鳥です。
(2015/04/24 記)
 
追記
 この記事を、以前この件について相談して実際に試用してもらった知人の先生(50才台、女性)に読んでいただいたところ、早速以下のような返信をいただきました。なるほど・・。
 ちょっと深い世界の話のようで、男医である自分が立ち入っていい領域なのか心配になってきました。しかし少数でもこの情報を必要な方はいると思うので発信を続けます。皆様からの感想文をお待ちしています。
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女性が濡れるのは   ①新鮮な男性とHするとき ②オナニーしたとき ③Hな画像をみたとき
です。年齢は関係ありません。ですから膣の乾燥が問題になるのはHの時だけ。普段Hをする習慣のない女性には「女として最もコンプレックスを感じる部分」であり避けてとおりたい話題です。

さて中間分子量ヒアルロン酸化粧水の使用感ですが、 最初はお顔につけるものを「膣に?」という感じで衛生面で抵抗感がありました。外陰部は外気に触れない分、清潔面を重要視します。
使ううちにHの途中の痛みもなく、ピストン運動、体位変換もとてもスムーズでHを長い時間楽しめます。また無味無臭ですからフェラチオの時に嫌な感じもありません。H後の膣のヒリヒリ感も早く治ります。
最近は膣も丈夫になったのか使用回数がへりました。
女性ホルモン剤やサプリメントを併用されるとより効果的かと思います。

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追記2(以下別の方からいただいたメールの抜粋です)
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中年以降の膣粘膜萎縮による性交痛について、ネットで調べると「加齢によるものなので、パートナーの理解を求めてください」という記述をよく見かけます。
仲の良い夫婦の間柄ならそういうことも言えるかもしれませんが、世の中そういう女性ばかりではありません。
特に「パートナー」を巡って若いライバルがいる場合には深刻な問題です。濡れないのは決して彼を愛していないからではないです。しかし「自分は年をとったので乾燥して濡れなくなってきた」などとは口が裂けても言えません。
そういう立場からは、中間分子量ヒアルロン酸化粧水が潤いをよみがえらせてくれるというのは朗報です。
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鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継


レーザーカーボンピーリングの長期効果(うちのスタッフ)


※現在ご予約は7ヶ月待ちです。11月分のご予約は4月1日のうちに全部埋まりました。次は5月1日に12月分となります。週に2~3個ですが、キャンセルがありますので、「今日なら行ける」という日があれば、お電話ください。たまたまキャンセルが出た直後でしたら、お入れできます。また、再診の方のボトックスやヒアルロン酸については、少々お待ちいただければ当日可能です。※

先日、ある会合で美容外科の先生とお話ししたのですが、そのときの会話。
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彼 「いやー、うちのスタッフは本当に辞めないですよ。私が可愛いがってますからねえ。」
私 「そうですか、うちのスタッフも辞めないですよ。居心地いいのだと思います。」
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美容外科の先生にとって、スタッフが辞めないっていうのは、自慢話になるんですね。私はよく「うちはスタッフが辞めない」と、開業医の先生方の集まりで言っていたのですが、相手からこの話を振られて先に自慢されたのは始めてで、新鮮な感覚でした。
私はスタッフで苦労したことがないので彼の話に抵抗はなかったですが、場をわきまえないと嫌味に聞こえるのかも。ちょっと自戒しました。

この手の話で今までに一番面白かったのは、保険診療のふつうのクリニック開業している友人が、どうしても納得できない看護師相手に「お前が辞めるか俺が辞めるか、どっちかだ!」と大見得を切った話で、その看護師が辞めなかったら閉院するって訳でもなかろうに、切羽詰まると人間面白いことを言い出すものだと吹き出しました。こういうネタのほうが、仲間内で雑談するときには喜ばれるでしょうね。

さて、普通のクリニックと違って、美容クリニックでスタッフが辞めないことが自慢になる理由は、一般の職場と違って、1)給与がいい、2)雰囲気がいい、のほかに、3)施術をしてもらえる、という特典があるからです。院長の腕がいい(または取りそろえている施術がいい)ことをほのめかすわけで、自慢と言うよりも「一つの証拠として挙げる」感覚に近いかもしれません。

うちのスタッフ二人の10年前、入職直後の写真と、現在の写真を示します。

Mさん、しみ・ほくろをざっと取って、あとは毎月レーザーカーボンピーリングしています。その後10年間で2~3回しみ取り追加したでしょうか。しみというのは、それまでの数十年にわたる紫外線暴露の結果なので、数年たつと、それまでまったくしみの無かったところに新たなしみが出てきます。一度しみ取りをしたところは、再生した赤ちゃん肌なので、そこからの再発はまずありません。数年おきにその都度、新しく出てきたしみを取っていればいいです。
くすみや色むら、毛穴や小じわなどは、レーザーカーボンピーリングを繰り返していれば、良質な上品な肌に仕上がります。10年間、毎月やっていますから、累計100回以上は施術しているんじゃないかな。


Yさん、同じようなことで、入職後、まずしみ・ほくろを取って、そのあとレーザーカーボンピーリングを繰り返しています。やっぱり毎月一回、100回以上繰り返しています。目の下のふくらみ(目袋)も取ってます(→こちら)。
10年の歳月で、年は取りますが、肌質はきめこまかく色白になっています。お二人とも10年前よりも少なくとも肌は若いというか、良質になっています。


まあ、これだけ綺麗にメンテナンスしてあげていれば、スタッフたち、ちょっとやそっとで辞めようなんて気にはならないでしょう。

さて、うちのクリニック、鶴舞の本院とアトリエは、ちょっと予約がお取り辛い状況になっているのですが、覚王山のほうでしたら、レーザーカーボンピーリングの予約枠の空き、今のところはまだあります。覚王山でカーボンピーリング始めながら、7カ月先の本院でのしみとりの予約を待つというのもいいと思います。
覚王山のレーザーカーボンピーリング担当のあさこ先生↓
最近、スタジオで写真を撮ってもらう快感に目覚めたそうです。

前から書いていますが、本当にこの方、地味目な先生だったんですよ。入職前の数年間は、熱心なうちの常連のお客さんでした。目周り手術したり、糸入れたり、もちろんレーザーカーボンピーリングもやっています。最初からの写真を見学にいらっしゃった先生がたにお見せすると、皆さん目を見張って溜息つきます。
彼女自身も、ジム通いして筋トレして、姿勢やら直したそうで、50才過ぎからでも女性は努力すると変わるんですね・・。私の作品と言うよりも、私がお手伝いした彼女自身による作品であるわけで、女性としてリスペクトに値する方です。ぜひ薫陶を受けてきてください。

覚王山のレーザーカーボンピーリングのご予約は052-753-8592、または本院(052-264-0212)のどちらでもお受けできます。毎月1日以外でも可能です。お待ちしています。
(2015/04/19 記)

追記:あさこ先生のOKが出たんで、彼女の変身経過UPしました→こちら。必見ですよ!

鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継