50歳からの眼瞼下垂手術 -自分を取り戻す-

  
「50歳からの眼瞼下垂手術 -自分を取り戻す-」
  
 ↑のような標語で、本来は健康保険で、形成外科専門医にかかれば数万円で終わってしまう施術を、数十万円でやっているクリニックがうちの近所にあります。非常に情けないし、同じ皮膚科医として恥ずかしいと思います。
  
別に、近所だから、ライバル視しているとか、そういうのでは無いのです。彼は開業前に、うちに見学に来ました。非常に腰が低く礼儀正しい人だったので、私も気をよくして、「近所でやるなら、同じ皮膚科出身同志、先生が保険診療も手掛けてくれるなら、ちょうどいい、仲よくやろうじゃないか。」と、私のほうから歓迎の意を表しました。いま思えば、彼は「ヒアルロン酸など、安売り合戦にならないように、価格を揃えることにしませんか?」と提案してくるなど、妙に細かいことを言う人だなあと、気になる点はありました。
  
彼のクリニックの内覧会の日には、わたしも友人を誘って挨拶に行きました。そして案内パンフレットを100枚くらい貰って、「近所に保険診療をやっている皮膚科が出来たので、保険適応のある疾患や施術はぜひこちらへどうぞ。」と、私のクリニックを訪れた患者さんたちに配りました。
  
その後、1~2年ほどして、知人の美容外科の先生が「先生の近所で開業した元皮膚科の先生、なんだか先生(私のこと)に批判的なことを、ホームページに書いてますよ。」と、忠告というか、ご親切にも教えてくれました。そんなまさか?とは思いましたが、なるほど、そうとも読める記述が何か所もありました。

批判的なことを書くのは構いません。ただ、それが、医学的(あるいは工学的)に稚拙で間違っているのです。これは非常に気になるし、苦になります。それで、このブログで記事として取り上げて、何度か指摘しました。すると、彼は、気が付いたのか、新たな記事では、そういったことを書かなくなりました。
   
しかし、どうもまだ気になる、苦になる点があります。それが、彼の行っている眼瞼下垂手術で、HPによると「両目で378000円、モニター価格で50%または30%引き」という価格設定です。
   
 別に、自由診療だから、いくらでやっても勝手だろう、と言われればその通りなのですが、彼がやっているのは、保険診療機関で健康保険適応のある手術です。それを、たとえば形成外科専門医の先生で、勤務医時代から通算数百例、数千例とこなしてきた方が、自分はプロ中のプロだ、というのなら、自由診療で好きな価格設定でやってもいいでしょう。しかし、彼は皮膚科医です。開業前の勤務医時代にこの手術をやった経験は、一度もないはずです。
   
ちょっと、患者というかお客様をなめてはいませんか?経験豊かで、なおかつ健康保険でこの施術を行っている形成外科専門医の先生方に失礼だとは思いませんか?少なからず、同じ皮膚科出身者として、憤りと恥ずかしさを感じます。
  
彼が、この手術を、保険診療でやっているならいいんですよ。私はこんな嫌味な記事は書きません。
ともすればやくざな、美容外科、自由診療の世界といえど、それなりの仁義、通すべき筋があります。それは、保険診療をなさっている先生方に対する、心からの敬意です
   
私も、眼瞼下垂の手術は、保険適応の無い、タッキング術に限って行いますが、その際は、かならず「あなたの眼は、形成外科で健康保険の効く『切る手術』でも直せますよ、費用は数万円ですよ。」と、勧めます。それでも、様々な事情で「切りたくない」という方にのみ施術しています。
  
その価格は、片目9万円、両目で18万円です。彼の「モニター価格」よりも安いです。私は彼の「モニター価格」は確信犯だと思います。高額を設定して、モニター価格がお得なような気にさせて、なおかつ、代金とともにHP上で写真が使えますからね。美味しいとこ二重取りといったところでしょう。
  
 前置きはこのくらいにして、うちの「50歳からの眼瞼下垂手術 -自分を取り戻す-」の施術例を、いくつかご紹介します。いずれもタッキング術で、片目で9万円、両目で18万円の正規料金です。うちは、モニター料金と言うのはありません。施術が終わったあとで、「よろしかったら、眼のあたりだけ切り取って、ブログで紹介させていただけませんか?」とお願いすると、半分くらいの方は「ちょっとそれは困ります・・」とおっしゃるし(家人に内緒とかいろいろあるのでしょう。その場合はもちろん無断で写真は使用しません)、半分くらいの方は「ええ、どうぞどうぞ、結構ですよ、私もブログの写真を見て来たのですから」とご快諾されます。お三方とも、そのような気のいい方々です。
  


向かって左の下垂です。おでこの筋肉で一生懸命上まぶたを持ち上げているので、眉が上がっています。


施術(片目だけ)後はきれいに左右がそろいました。眉もほぼ同じ高さに戻りました。眉さん、お疲れ様でした。


両目の下垂です。目の上が窪んで眠たげです。


施術後です(白いのはレーザーでしみを取ったあと)。


一ヶ月後です。最初の写真と比べると、眉の形が違っているのがおわかりでしょうか?下垂なあるときには、顎を前に出して、少し見下ろすような恰好をしないと、見にくかったのですが、施術後はその癖がとれて、顎を引いた普通の顔つきになったということです。


この方も、向かって左側の軽度の下垂です。このレベルですと、保険で手術できるぎりぎりのところだろうと思います。


ほんの一針、わずか数分の施術で、左右の眼が揃います。

以上、私のクリニックの「50歳からの眼瞼下垂手術 -自分を取り戻す-」でした。
(2013年6月28日記)