糸での引上げとリポレーザーの合わせ技

 
 エックストーシスとリポレーザーの合わせ技の解りやすい例を紹介します。

 糸入れる前です、法令線から口横、あごにかけて、ドレープ状に下がってきています。


 まずは糸のデザインです。エックストーシスで耳横で交差させて(縦糸)頭側へも引きます。頭側の糸のデザインは写真に写っていません。アプトスを2本加えて(横糸)さらに補強します。


施術直後です。


 半年ほどしたところ。初期の引き上がりは一カ月くらいである程度戻りますが、顎ライン(フェイスライン)の引き上がり効果は保たれています。しかし、口横から顎下にかけてがどうしてもお肉の重みが残ります。


 それで、リポレーザーで口横と顎下を内側からあぶって、引き締めてやります。下は施術範囲のデザイン。


4か月後です。ある程度すっきりしましたが、まだ口横が残っています。


さらに小範囲を2回目のリポレーザー。下は範囲です。


 2回目リポレーザーから2カ月後。かなりすっきりしてきました。お友達にもはっきりと「若返ったね」とか「小顔になった。」と言われるそうです。


補足です。

1 「リポレーザーと糸を一度にやりたい」という方がときどきいらっしゃいますが、別々に分けた方がいいです。なぜかというと、リポレーザーの施術は、術直後けっこう腫れるので(麻酔薬の注射量が多いため)、糸での引上げに対抗する重みになってしまい、戻りやすいからです。

2 順番としては、糸→リポレーザーがいいです。なぜかというと、リポレーザーというのは脂肪を焼くわけですが、たるんで下がっている脂肪というのは、本来は上の方にあったものなので、出来れば残して、元々あった位置に戻してやりたいからです(糸での引き上げというのは、皮を引っ張るのではなく、深いところの脂肪の上方への整復です)。糸でどうしても引き上がらない残った部分を、焼いて取る、という順番のほうが、ふっくら感も保てて自然な感じに仕上がります。

3 既に何回も記していることですが、直後の腫れの程度は、リポレーザーのほうが糸より強いです。「リポレーザーの方が糸より腫れが少ない・ダウンタイムが少ない」と考えて、まずはリポレーザーを、と希望される方が多いのですが、逆ですので御注意下さい。

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 これは、小杉小二郎画伯の「花と果物」という油絵で、最近開業した知人にお祝いとして送ったものです。差し上げたものではあるのですが、私自身、この絵の雰囲気がとても気に入ったので、撮影した画像を、診察室でのカウンセリングの際に使うパソコンの背景に設定してみました。
 
 医者になってから、皮膚科へ、そして美容へと、ある意味楽なほうへ、自分自身苦しくない方へと、流れてきてしまった私ですが、私なりに医者として、生活のすべてをなげうって病気を治すことに専念した一時期がありました。その頃いっしょに働いた、戦友のような知人です。

 もう最後に会ってから何年も経ちます。 私は美容に転身して、知人もまた違う道へと進みました。いつか年をとってお会いして、思い出話をすることはあっても、互いの人生が交わることはもう無いのでしょう。
 
年をとると、思い出だけが増えていきます。絵を通して、昔の若かった頃の自分や知人に思いを馳せるのですが、いずれはそれも薄らいで、ただ絵だけが残るのでしょう。  

 それが人生というものなのだろうし、色々なものを過去へと置いたままにしてきた罪深さのような感覚(注:患者に対してや自分が行ってきた医療行為についてじゃないですよ、勿論。私生活上ないがしろにしてしまった関係者に対する後ろめたさのことです)は、消えることは無いのでしょうが、それでもまた、夜が明ければ新しい朝が訪れます。

  私にとって美容での開業は、隠遁生活を始めるようなものでした。この白いクリニックは私にとっての小さな修道院で、朝起きて、ここで仕事をすること、そのものが、私にとっての「祈り」です。 静かで決まった生活の繰り返しは、私の心をゆっくりと癒してくれました。
 
 それ以上の何も望まず、たぶん私は、ここでの毎日の生活という、祈りをこれからも、ささげ続けることでしょう。    

 すべての人たちの心に平安が訪れますように。Merry Christmas.  
(2012年12月21日記)