上まぶたのたるみ取り

親しい知人が、上まぶたのたるみを切り取る手術にいらっしゃいました。この種の「切る手術」は通常手術翌日、すなわち24時間後が腫れのピークで、2日め3日めからは退き始めます。カウンセリングのときに皆さんにそう説明はするのですが、実際に腫れのピークである24時間後というのは、皆さん来院されずに家で引きこもっているので(スタッフでさえそう!)、なかなかお見せできる写真がありませんでした。今回、ご本人が女医さんということもあって、術後12時間毎の写真撮影に協力していただけました。ありがとうございます。
手術自体は、ごく普通のものです。二重ラインのところで余った皮膚を切り取って縫い合わせるだけのことで、私なりの丁寧な仕事であるとの自負はありますが、オリジナルな術式・デザインでもないし、経過や結果がmy best!というほどでもありません(通常の経過・結果です)。あくまで、術後早期の12時間毎の経過がわかるので、この種の手術を受ける方にとって参考になるだろう、との意図での掲示です。


  
術前、向かって左のまぶたのかぶさりが強いです。デパートの化粧品コーナーで、メイクさんに、「こちら側のアイシャドウは、少し太めに引いて下さいね」と言われて、ショックで、手術を受けることにしたそうです。
術直後です。糸は透明な細いナイロン糸ですので、よほど近付いても見えません。

12時間後(翌日朝)です。切開線と瞼縁(目のふち)の間のむくみと、若干の内出血を認めます。

24時間後です。切開線と瞼縁との間のむくみがピークで、水っぽく腫れています。むくみに伴って内出血が溶けて広がっています。腫れのピークです。

36時間後です。腫れは退き始めています。

48時間後(2日後)です。腫れがさらに退くとともに、内出血が紫色調を帯びて濃く感じられます。むくみが引いてきたのと、ヘモグロビンの色調変化との相乗効果です。

3日後です。少しお化粧で隠れていますが、腫れも内出血も退いてきています。3日後にお化粧すればこの程度、という目安になるでしょう。2連休の前日に手術したので、この日は彼女の手術後の初出勤日でした。仕事(外来診療)をしていて、とくに誰にも何も言われなかったそうです。

5日後です。抜糸のためお化粧を落としています。内出血は溶けて周りに黄色く広がり(ヘモグロビン→ヘモジデリン)消えつつあります。

目をつむったところです。切開線の両端に、白いナイロン糸の結び目が見えます。細かい連続縫合なので、途中の糸は見えません。

8日後(抜糸の3日後)です。お化粧しています。切開線や内出血はほとんどわかりません。

10日後です。お化粧はしていますが、8日めのときより薄化粧で済んでいます。

目を閉じたところ。内出血はほとんど消えています。切開線もさほど目立ちません。

術前と10日後の写真を上下に並べました。比べてみると、向かって左は、隠れていた二重がくっきり現れて、向かって右は、二重の幅に変化はありませんが、外側の垂れが取れてすっきりしました(眼の形が上向き半月からアーモンド型に戻りました)。
また、左右の眉の高さを比べてみるとわかりますが、術前は向かって右が上がっていたのが、術後は左右が揃っています。おでこの筋肉でもって向かって右の眉・上まぶたを一生懸命引き上げていたのが解除されたためです。目周りの写真の使用許可しか頂いていないのでお見せできませんが、実際おでこの皺が消えました。彼女は「おでこ楽チン♪」とご機嫌でした。

彼女は、昔からの親しい友人です。
自分が、この仕事を始めて、一番良かったなあと思うのは、自分の両親や親しい知人・友人たちを、わたし自分の記憶の中にある楽しかった頃のアルバムに近い状態へと戻すことが出来るという点です。
ひとは誰もが老いていきます。それは自然の変化です。しかし、変化して欲しくないものもある。わたしの中で楽しかった、輝いていた頃の友人であり続けてほしい。
何よりもそれは、わたし自身の願いです。
同窓会などで、昔の友人に再会して、嬉しいのだけれど、昔との違いにショックを受けた経験ありませんか?そんな感覚です。
お花を活けていると、しおれかけていた花でも、少し茎を短く切り取って水揚げを良くしたり、下葉を切ってやると、また生き返ることもある。枯れた部分を切り取れば、残された花たちがまた誇り高く咲き映える。
花はいつか枯れてしまいます。だからといって、長持ちのためのお手入れをしない人はいないでしょう。わたしにとってこの種の若返り施術は、ちょうどお花を活け直すような作業なんです。
 
 (2010.10.4)