眼の下のたるみ取りと眼瞼下垂

 スタッフの旦那さんの、眼の下のたるみ取りと眼瞼下垂の手術をしたときの、before→afterです。


 眼の周りだけ比べるとこんな感じ。鼻の横のしみも取ってます。

  ご主人、先だって、大腸がんでお亡くなりになりました。この眼の周りの手術は2年くらい前のものです。
 生前(手術直後、まだ癌がわかっていないころ)、「そのうちホームページにモデルとして写真使わせてください。」とお願いしていて「どうぞどうぞ、構いませんよ。」と諒解を得ていたのですが、ついついUPを怠っていて、いまになってしまいました。
 奥様であるスタッフが「先生、あのときの手術のときの亭主の写真、プリントアウトしていただけないですか?手元に写真があまり残ってなくて、寂しいんです」と言われて、思い出した次第です。
 ご主人はお花屋さんでした。奥様はよく「良いお花が入ったから」とクリニックに持ってきてくれました。旦那さんもクリニックで、自分のお店のお花が活けられているのを見て、嬉しそうにソファに座って眺めていらっしゃったのを覚えています。あのときのお二人のツーショットを撮っておいてあげればよかったなあ・・。
 「人の役に立つのが好きな旦那でしたから、写真をホームページに使って、見本にしていただけたら、きっと喜ぶと思います」と奥様もおっしゃってくださるんで、こうして遅ればせながらUPしました。奥様も、ホームページ上に、いつまでも旦那様の写真が残っていれば、なんだかネットのデジタルな世界で生きてるみたいで、慰めになるのかもしれません。
 奥様(うちのスタッフ)は、まだまだ長生きするだろうから、そのうちあの世で再会するときに「お前老けたなあ。」と言われないように、元気を出してこれからも若返りに頑張らなくちゃね。
(2010.12.20)

香港の先生(付:ALSOの講習)

香港からDr.Lamという方が、クリニックの見学にいらっしゃいました。

お土産を頂きました。立派な木箱に入ってます。
何でしょう?開けてみるとこんな感じ。
クリスタルに刻まれた、プレートでした。プレートには下のように記されています。
Dr.Mototsugu Fukaya,M.D.
Thanks for being a great teacher
Dr.Lam
5thNov 2010

うちのクリニック、小さなところではあるんですが、ときどき国内外からいろんな先生が見学にいらっしゃいます。だけど、こんな立派なお土産頂いたのは、初めてです。
Dr.Lam(右の眼鏡のひと)と私。

「香港ナビ」の記事に、Dr.Lamと香港にある彼のクリニック(Lasercare Medical Skin Clinic 激光醫學皮膚護理中心)が紹介されています。
http://www.hongkongnavi.com/beauty/56/article/
イギリスのケンブリッジ大学卒業らしいです。ていうことは、たぶん私より賢いんじゃないかなあ・・。元々皮膚科専攻なのは私と同じ。オーストラリアで美容外科も学んで、いまのクリニック開業なさっています。わたしより10才くらい若いです。
しかし、こんなクリスタルのプレートわざわざ作って持ってきてくださるって、お金も結構かかるだろうし、重いだろうし、よほど私のことを気に入って下さったのだろうなあと思うと、とても気分がいいです。

このプレートはとても有難いです。なぜかというと、うちのお客様や未来のお客様に、安心感与えてくれると思うので。外国からわざわざ医師が見学に来て、それも物見遊山じゃなく、本気で学びにいらっしゃる、私がそういう医師でありそういうクリニックなんだ、って物証なわけですから。
この日は、エックストーシス2件と、下まぶたの脱脂と二重まぶたの手術を見学していかれました。エックストーシスはわたしのオリジナルですが、ほかの手術は普通にやられてるプチ整形の手術です。もちろんDr.Lamもやってます。
普通にやられてる手術ではあるんですが、わたしなりの細かなオリジナリティみたいなことろはあります。Dr.Lamはそこに気がついて気に入ってくださってるみたいで、それがまた嬉しい。「先生(私のこと)の手術はとても素早くて合理的だ、先生は私のマスター(師匠)だ」、とおっしゃってくださいます。
さて、今回は、気の利いたお土産をいただいて嬉しかった、ってだけのお話でした。恐縮です。自己顕示っぽい嫌味な文章になってなければよいのですが・・。

これは、ドラゴンフライ(とんぼ)。中国では、とんぼは、幸運を運んでくるサインだそうで、指先とかにとまると縁起がいい。これもDr.Lamからのプレゼントで、うちのスタッフ皆が一つづつ頂きました。

バランスがよく出来ていて、机の角とかに置くとちょうど止まってるみたいに見える。香港じゃ、クリスマスのときなんかに、これをたくさんお土産に持って行って、行った先の家中に止まらせたりするそうです。
Dr.Lamって、お土産の選び方が上手なひとだなあ、ほんと。感心しました。
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おまけです。先日、ALSO(産科救急の講習)を受けてきました。
前にも書きましたが、自分は美容外科医である前に医師です。その基本を忘れることのないように、いざというときの救急のための研鑽は欠かしません。わたしのクリニックの中で妊婦さんが倒れるなんてことはさすがに無いでしょうが、人間社会で生きている限りは、いつどこでそういう場面に遭遇しないとも限りません。そうしたときに、医師免許を持つものとして、恥ずかしくない行動を取りたい。そういう気持ちはとても強いです。

助産師さんや初期研修医、若手救急医の先生方に混ざって勉強するのは楽しいです。
1)医師としては、可能な限り手広く、万が一の可能性に備えること。2)美容外科医としては、自分の能力というか守備範囲をわきまえ、しかし、その範囲については徹底的に深く掘り下げて研鑽を積むこと。この二つが、わたしのポリシーです。
※赤矢印がわたしです。肩甲難産とか吸引分娩とか産後大出血のときの応急処置とかを学びました
ALSO(産科救急の講習)ホームページは

です。医師でなくても、救急救命士や看護師でも受講できます。最近産科崩壊が問題になっていますが、そういう時代だからこそ、より多くの医療者が産科救急を学んでおくべきだと思います。将来的には、非医療者向けのコースもできて、妻が妊娠したら万が一に備えて夫が講習を受けておくのが常識な時代になると良いと思います。
(2010.11.5記)
 

上まぶたのたるみ取り

親しい知人が、上まぶたのたるみを切り取る手術にいらっしゃいました。この種の「切る手術」は通常手術翌日、すなわち24時間後が腫れのピークで、2日め3日めからは退き始めます。カウンセリングのときに皆さんにそう説明はするのですが、実際に腫れのピークである24時間後というのは、皆さん来院されずに家で引きこもっているので(スタッフでさえそう!)、なかなかお見せできる写真がありませんでした。今回、ご本人が女医さんということもあって、術後12時間毎の写真撮影に協力していただけました。ありがとうございます。
手術自体は、ごく普通のものです。二重ラインのところで余った皮膚を切り取って縫い合わせるだけのことで、私なりの丁寧な仕事であるとの自負はありますが、オリジナルな術式・デザインでもないし、経過や結果がmy best!というほどでもありません(通常の経過・結果です)。あくまで、術後早期の12時間毎の経過がわかるので、この種の手術を受ける方にとって参考になるだろう、との意図での掲示です。


  
術前、向かって左のまぶたのかぶさりが強いです。デパートの化粧品コーナーで、メイクさんに、「こちら側のアイシャドウは、少し太めに引いて下さいね」と言われて、ショックで、手術を受けることにしたそうです。
術直後です。糸は透明な細いナイロン糸ですので、よほど近付いても見えません。

12時間後(翌日朝)です。切開線と瞼縁(目のふち)の間のむくみと、若干の内出血を認めます。

24時間後です。切開線と瞼縁との間のむくみがピークで、水っぽく腫れています。むくみに伴って内出血が溶けて広がっています。腫れのピークです。

36時間後です。腫れは退き始めています。

48時間後(2日後)です。腫れがさらに退くとともに、内出血が紫色調を帯びて濃く感じられます。むくみが引いてきたのと、ヘモグロビンの色調変化との相乗効果です。

3日後です。少しお化粧で隠れていますが、腫れも内出血も退いてきています。3日後にお化粧すればこの程度、という目安になるでしょう。2連休の前日に手術したので、この日は彼女の手術後の初出勤日でした。仕事(外来診療)をしていて、とくに誰にも何も言われなかったそうです。

5日後です。抜糸のためお化粧を落としています。内出血は溶けて周りに黄色く広がり(ヘモグロビン→ヘモジデリン)消えつつあります。

目をつむったところです。切開線の両端に、白いナイロン糸の結び目が見えます。細かい連続縫合なので、途中の糸は見えません。

8日後(抜糸の3日後)です。お化粧しています。切開線や内出血はほとんどわかりません。

10日後です。お化粧はしていますが、8日めのときより薄化粧で済んでいます。

目を閉じたところ。内出血はほとんど消えています。切開線もさほど目立ちません。

術前と10日後の写真を上下に並べました。比べてみると、向かって左は、隠れていた二重がくっきり現れて、向かって右は、二重の幅に変化はありませんが、外側の垂れが取れてすっきりしました(眼の形が上向き半月からアーモンド型に戻りました)。
また、左右の眉の高さを比べてみるとわかりますが、術前は向かって右が上がっていたのが、術後は左右が揃っています。おでこの筋肉でもって向かって右の眉・上まぶたを一生懸命引き上げていたのが解除されたためです。目周りの写真の使用許可しか頂いていないのでお見せできませんが、実際おでこの皺が消えました。彼女は「おでこ楽チン♪」とご機嫌でした。

彼女は、昔からの親しい友人です。
自分が、この仕事を始めて、一番良かったなあと思うのは、自分の両親や親しい知人・友人たちを、わたし自分の記憶の中にある楽しかった頃のアルバムに近い状態へと戻すことが出来るという点です。
ひとは誰もが老いていきます。それは自然の変化です。しかし、変化して欲しくないものもある。わたしの中で楽しかった、輝いていた頃の友人であり続けてほしい。
何よりもそれは、わたし自身の願いです。
同窓会などで、昔の友人に再会して、嬉しいのだけれど、昔との違いにショックを受けた経験ありませんか?そんな感覚です。
お花を活けていると、しおれかけていた花でも、少し茎を短く切り取って水揚げを良くしたり、下葉を切ってやると、また生き返ることもある。枯れた部分を切り取れば、残された花たちがまた誇り高く咲き映える。
花はいつか枯れてしまいます。だからといって、長持ちのためのお手入れをしない人はいないでしょう。わたしにとってこの種の若返り施術は、ちょうどお花を活け直すような作業なんです。
 
 (2010.10.4)

スレッドリフトの長期経過について・その1


 アプトスやエックストーシスなどの、溶けない糸によるたるみ引き上げ施術を繰り返していると、長期的にはどんな結果になっていくのか?というお話です。

 当院は開院して7年、糸の施術の症例総数は、正確にカウントしてはいないのですが、2008年に過去3年間の集計をした結果では、絶対数491人、一人当たりリピート率2.3回、延べ施術数491×2.3=1129件、一人当たり糸本数7.7本、総糸数491×7.7=3780本でした。わたしは、年間3780÷3=1260本の糸を入れている計算になります。
 リピーターの方で、今一番多く入っているひとは120本くらいです。数十本入っているレベルのひとは全然珍しくありません。

 以前にもHPのほうに書きましたが、溶けない糸が多く顔に入っているからと言って、とくに問題は生じないようです。ここでは、効果の長期予後について考察します。

 うちのスタッフの1人で、数十本入っているかたの経時写真で説明しましょう。
 2004年8月、54才のときにはじめて糸を入れました。このときの施術は、Dr.Wuが提唱したワプトスです。施術前と直後の写真です。
 
 ワプトスだけでは、下左のように、輪郭がシャープにはなるけど、口横や頬の引き上がりが悪いので、1週間後にアプトス追加しました。下右がデザイン。
 
下左は1ヶ月めで、もうちょっと引きあがらないか、法令線取れないか?と、アプトス1本づつさらに追加しています。このころは、スタッフに協力してもらって、いろいろなデザインを工夫していました。
 
もう1本追加です。頬は上がるものの、なかなかこのスタッフの法令線を糸で引き上げて消すのは難しいなあ、と悩んでいた時代でした(懐かしいです)。
 
2004年12月にワプトスを追加しました。なぜ追加したかと言うと、たしか、長い糸を入れるための当院オリジナルの針を作成したので、これを試させてもらったのだったと思います。
 
下は1年ほど経ったころの写真で、戻りはあるものの、それなりに効果はあるなあ、と思って撮ったものです。

 下は、2006年1月(2年後)に、エックストーシスのデザインを思いついて、既に入っている頭側の糸(ワプトス)に、追加で交差させて入れてみたときの写真です。ワプトスだけよりも、引き上がり加減が自然でよい、と考えました。このころ以降、Dr.Wuの考案したデザインであるワプトスは止めて、全部エックストーシスの施術に変えました
 
下は2006年12月→2007年1月で、上まぶたのたるみを切り取った前後の写真です(下右は抜糸直後で、目尻に赤い縫合線が見えます)。ほほのたるみはというと、またそれなりに戻ってきているようです。
 
下は、2007年11月、このころはもうエックストーシスのデザインも確立して、スタッフで「実験」させてもらう必要も無かったのですが、スタッフのほうから「そろそろまた入れて欲しい」とリクエストがあって、施術しました。一番最初のワプトスのbefore/afterに比べると、エックストーシスは、直後から引き上がりが自然な感じなのがわかると思います。頭側の糸も、頭頂方向ではなく、こめかみの生え際から耳の上にかけて弧を描くようにデザインすることで、後日ときどきあった毛のう炎のトラブルからも解放されました。
 
その後はこの方、糸を入れてないです。2009年11月と2010年7月の写真を示します。
 
さて、糸の長期予後ですが、このスタッフの6年前(54才)の写真と、今年(60才になりました)の写真を下に並べてみました。左の写真は糸を入れる前で、54才の女性として、まあ、普通のお顔かな、と思いますが、右の写真は、60才の女性としては、実年齢と解離が感じられると思います。これが糸の長期予後です。

 (追記:下はさらに5年たって65才のお顔です。この5年ほどは糸入れてないですが、頬のお肉は下がらず糸が頑張ってくれているみたいです。)
 
引きあがった直後の結果は、とくにエックストーシスの場合、とても美しく、「このまま続いてくれればいいな」と誰もが思いますが、だいたい1ヶ月くらいで、魔法は取れます。しかし、元の木阿弥ということではなくて、少しは引き上がりが残るし、何よりも、長期的結果として、そこから先たるみにくい、たるみの予防になる、ということが言えます。
 
 時の流れを止める、と言ったら言い過ぎかもしれませんが・・しかし、ほんとに、緩やかにする、ではなく、止める、という感じが今のところしています。糸の本数がある程度増えたところから、見た目年齢の進みが止まる感じです。

 これは、このスタッフだけでなく、溶けない糸を数十本以上入れている方々に共通した印象で、もちろんそういう方は意識の高いかたでしょうから、このスタッフが上まぶたのたるみを切ったように、他にも色々心がけていらっしゃるのでしょうが、それにしても、数年前、「溶けない糸を長期間多くの本数入れていて、長期的に何か悪い影響があるのではないか?」とか、「たくさん入れたら中で絡まって変な結果になってしまいませんか?」とか、学会でも聞かれたものですが、そういうことはなく、むしろ、多くの本数の溶けない糸が入っていることは、たるみ防止の観点からは、善だ、という結果が出つつある、といっていいと思います。

 考えてみれば、ごく自然な話で、多数の糸を張り巡らしておけば、洗濯ロープが洗濯物吊るすような感じにお顔の中はなってますから、下がりにくいです。当たり前の結果です。

 ですから、現在のわたしの考えは、

1.たるみが気になる人は、たるんで下がってしまった後ではなく、ちょっと気になりだした頃に、それよりも下がらないように、という意味=予防的に、溶けない糸を入れていくといい。

2.本数は数十本程度ではまったく問題ない。むしろ、最終的にそれくらい入っていたほうがいい。

3.将来的には、たるむ前(20代?)に、若さを保つために糸を入れ始めて、40才頃には数十本入っていて、以後のたるみ防止の備えが出来ている、という考え方が一般的になるだろう。

 です。

 実は、以上の考えを、ロシアの知人の先生にメールしてみたんですが、同意、というか、とくに3.は、ロシアでは既に一般的な考えで、モスクワとかのロシア美人なお金持ちたちは、皆若いうちに糸入れてしまうのだそうです。

 ロシアの医学論文にもそう書かれていて推奨されているそうです。やっぱりなあ。結論の行き着くところって、同じですね。

追記:
 「溶けない糸」といっても「金の糸」は駄目ですよ。あれは、ロシアでも際物扱いです。物理的に持ち上げたり支えたりする強度はありませんし、引っ掛かりのcogもありません。ここで「溶けない糸」と記しているのは、あくまでポリプロピレン製のアプトスやエックストーシスといった「溶けない糸」のことです。

(2010年7月23日記)

スレッドリフトの長期経過について・その2は→こちら


 

静脈麻酔について(+ロシアの思い出)


 私は元々皮膚科医です。どうやって美容外科(と言ってもプチ整形程度、大きな手術はやりませんが)の手技を覚えたのか?と、ときどき聞かれることがありますが、海外、とくにロシアで学びました。
 これは、ほんとうに、たまたまのご縁だったのですが、その昔、金沢大学理学部のバイカル湖の水質環境を調査するチームに同行して、ロシアを訪れる機会がありました。そのとき乗ったタクシーの運転手さんが、医大を卒業したひとで(当時のロシアは、ソ連崩壊後の混乱のため、外国語(英語)の出来るひとは、医者をするより外国人相手のタクシー運転手したほうが、収入がよかったらしい)、そのかたの知り合いの病院を紹介して見学させてくれたのが始まりでした。
 余談ですが、ロシアの普通のお医者さんは、英語が出来ません(最近は違うかもしれませんが)。医学部では、ラテン語を習うそうで、ラテン語で詩を書かされたりもするそうです。なので、ロシアの薬の多くはラテン語表記です。
 ロシアがわたしにとって良かった点は、まあ、日本の法律に触れるわけではないから書きますが、仲良くなると、わたしがロシアの医師免許を持っていないにも関わらず、手術をさせてくれたことです。その後、アメリカのUCLAメディカルセンターとか、ビバリーヒルズ界隈の美容外科の開業医の先生方のところにも、つてを頼って見学に行きましたが、見せてはくれても、やらせてはもらえなかったです。
 なので、わたしは、ロシアで美容外科を学んだ、と自分では思っています。
 またまた話がそれますが、ロシアの美容外科の学会は面白いですよ。たとえば、ある先生がオリジナルな針糸を開発して、それによる手術の報告の演題があったとすると、口演が終わると、会場の隅っこで、その先生がその針糸の現金販売始めます。小声でこそこそとやってるんで、雰囲気的には非合法のいかがわしい取引みたいです。
 
 写真まん中は、仲良くしていただいた先生のひとり、アラ先生。わたしは、この頃、まだ若かったですね。もう10年以上前ですか・・。
 

 アラ先生のところでは、いろんな施術を覚えました。熊に噛まれて欠損した鼻の修復とか・・。日本じゃまずありえない手術ですが、ロシアでは熊でなくても犬なんかに噛み切られることは、よくあるらしい。犬にキスしたりするんでしょうか?鼻も高くて噛みつかれやすそうだし。


 アラ先生のところでは、アプトスの施術なんかもさせてもらってました。上の写真は、このころのわたしの施術例(before→after)です。
 アプトスを日本に紹介したのは、高須クリニックの先生ですが(当時はロシアンリフトと言われてました)、日本の美容外科学会ではじめて高須先生の紹介ビデオを見たとき「ああ、これアラのとこで、私がやらせてもらってるやつじゃん。」と思ったのを覚えてます。
 上の上の写真の奥の男性は、バシリー先生というフリーの美容外科医なんですが、とても性格の良い方で、「フカヤは、日本の医者で、手術して働いて、アラが患者からお金を受け取っているんだから、アラはフカヤに給料を払うべきだ。」と、アラに交渉してくれたりもしました。もちろん「いや、自分はロシアの医師免許ないし、勉強に来てるんだから、お金はいいんだ」って言って、辞退しましたが(汗)。
 
 アラ先生は、ロシア人の中でも美人で、若く見えると思います。この当時既に大学生の息子さんがいらっしゃったのが、信じられないくらいでした。

 しかし、わたしがアラ先生で、一番感動したのは、下の写真。

 ウラジオストックの冬の凍った道はとても滑りやすいです。舗装はほとんどされてないし、何より坂が多い。わたしなんかは、靴裏に金属のつめみたいなの付いた靴はいて、それでもよちよち歩きです。そこをこのヒールで上手に歩かれるアラ先生・・(もしも転んだら、この高そうなコートはどうなるのだろう・・)。
 これが、美容をやる女医さんの、心意気・価値観なのだなあ・・。わたしも見習わねば、というか、いやいや私がヒールを履こうと決意したわけではないですが、少なくとも感性を同調させていかなければ、と、眼を洗われる思いでした。
 
 アラ先生、先日、少なくとも45才は越えてるはずなんですが、3人目の子供さん御出産なさったそうです。いや、すごい。

 で、なんで、アラ先生の話書いてるかと言うと、思い出したからですが、なぜ思い出したかというと、先日、アラ先生の紹介で、名古屋で働いているロシア人歌手のかた(エレナさん)が糸(アプトス)入れにいらっしゃったからです。「アラが、フカヤが糸入れるの上手だと言ってたので、来た」そうです。アラ先生、ありがとう。
 
 ちょうど、静脈麻酔の様子(麻酔がかかるまでと、覚めるところ)の解説のための、動画のモニターを探していたところだったので、協力してもらうことにしました。
 以前は、痛がりのかたには、法令線や口唇のヒアルロン酸注射なんかは、下眼窩神経ブロックとかしてやってたんですが、最近はもう、5分くらいのちょっとした施術でも、痛がりのかたには、即、静脈麻酔。だって、痛みがまったく記憶に残らなくて気持ちよさそうだから。

 静脈麻酔のための別料金は頂きません。患者サービスの一環です。痛いの嫌ですよね。

静脈麻酔(かかるまで)

video
↑クリックすると動画始まります。

静脈麻酔(施術終わって覚めるところ)
video
↑クリックすると動画始まります。
  
(2010.6.26記) 

しみ取りについて・その3(肝斑と太田母斑様色素斑)


 お顔には、年齢とともにいろいろな色素斑が生じてきます。それぞれ取り方が異なるので、まずは一つ一つの同定(診断)から入ります。これを鑑別診断と申します。
 その中でも、通常の「しみ」(老人性色素斑)と、とくに区別が必要なものとして、今回は肝斑と遅発性太田母斑様色素斑を例示します。

ケース1 普通のしみと肝斑の混在
こめかみのあたりに大きなしみと、頬全体に広がる肝斑、その上に散在するそばかす様の小さなしみがあります。
 
 まず、大きなしみと細かなそばかす様のしみとを、Qスイッチレーザーで取ってやります。
そのあと、レーザーカーボンピーリングを繰り返して、ゆっくりと肝斑を薄くしていきます。下の写真は5回終了時です。
レーザーカーボンピーリングと言うのは、カーボン粒子を懸濁したミネラルオイルを外用したあとで、弱い出力の1064nm波長のレーザー(QスイッチYAGレーザー)で焼いていく方法です。肝斑に効果があります。
 カーボンを塗らずに1064nmの弱い出力の照射だけを繰り返すレーザートーニングという施術がありますが、これとほぼ同じ機序で肝斑が薄くなるのだと考えられます。(使用する機械も、メドライトC6という、レーザートーニングを行うのと同じQスイッチYAGレーザー機種です)。
 
ケース2 遅発性太田母斑様色素斑

 これも、肝斑と同じく、両目周りに左右対称的にパラパラと現れる色素斑なのですが、ふつうのしみや肝斑との違いは、色調にあります。やや青黒い感じです。
上の写真は典型例ですので、このケースで診断を誤ることはないでしょうが、中には、普通のしみと区別が難しい場合もあります。
 皮膚科学的には「真皮メラノーシス」と呼ばれる分類になりまして、色素が真皮というやや深いところにあります。
 Qスイッチレーザーには、ルビー・アレキサンドライト・YAGの3機種がありますが、太田母斑様色素斑は、QスイッチYAGレーザーでなければ取れないことが多いです。
なぜかというと、

レーザー光の波長と深達度のグラフを示します。

 Qスイッチレーザーには、ルビー、アレキサンドライト、YAGの三種類がありますが、ルビーレーザーの波長は694nm、アレキサンドライトは755nm、YAGは1064nmです。波長が長くなるにつれて深くまで作用します。
 ルビーやアレキサンドライトでは、真皮の浅い部分までの色素は焼けますが、深いところまでは取れません。例外的に、皮膚の薄い方や、色素が真皮の浅い部分にのみあるケースでは、取れることもあるでしょうが、ルビーやアレキサンドライトでは取れないがYAGでは取れる、というケースのほうが多いです。

下の写真はYAGレーザー1回照射して1年後です。まだ色素が残っています。普通のしみは1回で必ず取れますが、遅発性太田母斑様色素斑の場合は、半年以上空けて(半年以上空けるのは、戻りじみ期間中は再照射ができないためです)2~3回の照射必要になることがあります(1回で取れるケースのほうが多いですが)。
 色素が、深いところから浅いところにかけて重層していて、初回照射時には、深いところの色素が浅いところの色素で遮られてしまうためでしょう。

 2回目の照射から1年、初回照射から2年後です。合計2回の照射で、ほぼきれいになりました。

 普通のしみをとるにあたっては、3種類のQスイッチレーザー、ルビー、アレキサンドライト、YAGの中で優劣はありません。どれかでは取れるが、どれかでは取れないなんて話は聞いたことが無いです。重要なのはQスイッチ機構(※下に解説あり)を備えていることであり、あとはエネルギー量など照射条件の問題です。
 (もし、ルビーでも、アレキサンドライトでも、YAGでも、どのQスイッチレーザーでもいいですが、普通のしみが一回の照射で取れなかったとしたら、それは担当医によるエネルギー量の設定が低すぎたということであって、レーザーの種類のせいではありません)
 
 しかし、普通のしみと鑑別診断上重要となる、肝斑や遅発性太田母斑様色素斑の治療をも視野に入れたとき、3機種のうちでどれがベストかというと、だれがどう考えてもYAGです。それでは、なぜ世の中の美容皮膚科の先生がたに、ルビーやアレキサンドライトを選ぶひとがいるかというと、これは健康保険適応上の理由だとわたしは思います。ルビーやアレキサンドライトレーザーの場合、一部健康保険適応となる皮膚疾患があるからです。

 ですから、保険診療と美容皮膚科の自由診療を並行してなさっている先生のところには、ルビーやアレキサンドライトが採用されていることが多く、うちのような、自由診療オンリーのところは、YAGレーザーを採用していることが多いということになります。
 保険診療のほうに力を入れている先生にも、自由診療で健常人のしみを鑑別診断も含めて徹底的に取ってやろうという先生にも、それぞれの考え方というか、力の入れ所があるということですね。
 当クリニックには、HOYAフォトニクス社製のQスイッチYAGレーザーが2台あります。万が一故障して、半分しみを取ったところで中断したり、せっかくお休みを取って準備万端の体制でご予約いただいたのに施術できませんじゃお客様に申し訳なくて、院長として心が痛みますから。

※Qスイッチ機構とは
 これが備わっているレーザーでは、出力をいくら上げても、皮膚にやけどを起こしません。
よく、エステサロンや、医院であっても脱毛用のレーザーで、しみも取っているところがありますが、これらのレーザーにはQスイッチ機構が付いていません。
 Qスイッチ機構のないレーザーでも、取れるしみはありますが、出力を上げなければ取れないしみもあります(濃いしみより薄いしみのほうが取れにくい)。そのようなしみをQスイッチ機構のないレーザーで無理に取ろうとすると、やけどを生じます。
 ですので、脱毛に力を入れている先生方の中には、取れるしみは自分のクリニックで脱毛用レーザーで取って、取れなさそうなしみは、私のようなQスイッチレーザーのある医院へ紹介なさるかたもいらっしゃいます。
 なお、脱毛用のレーザーで、Qスイッチ機構がついているものは、理論的にありえません。なぜなら、脱毛というのは、色素のある毛にレーザーを照射することによって、その周囲にある毛根細胞(色素がない=Qスイッチレーザーには反応しない)をやけどさせることで、永久脱毛へと導くからです。言い換えると、色素を持った細胞以外の周辺細胞をやけどさせることの出来ないQスイッチレーザーでは脱毛は出来ません。
 Qスイッチ機構のついているレーザーであれば、濃い薄いに限らず、取れないしみはありません。出力の調整だけです(弱すぎると取れないことはあります。いわゆる「切れ味」というのは、出力の問題であって、ルビー・アレキサンドライト・YAGといった機種の問題ではありません)。
(2010.5.13記)

切らない眼瞼下垂手術・その4

 先回(切らない眼瞼下垂手術・その3)の続きです。
 「切らない眼瞼下垂手術」は、真崎先生が共立美容外科時代に考案したものですが、現在は真崎先生は、「ミュラー筋と挙筋瞼膜を両層ひろい、瞼板に前転させる方向で固定する方法でおこなっています」とのことです。このコメントと真崎医院のHPのイラストを頼りに、わたしなりに真崎先生の現在の術式を推測してみました。
 (推測なんで違ってるかもしれません。お聞きしてみたいところですが、こういうのは美容外科の場合、ある程度は示唆しても、営業秘密として公開を好まない先生も多いので、お聞きしていいものかどうか、躊躇します。また、真崎先生が、学会などで「新しい方法」としてすでに発表されていたら、わたしの勉強不足で失礼にも当たります。・・一応メールでお聞きしてみようとは思っています。)

 この図、わかりますかね?一番下のが黒目の上半分で、上まぶたをめくって、赤目を奥まで覗き込んだ感じの図です。
 



 ⑤で糸をぐっと締めてやると、瞼板に挙筋(瞼膜)が引き寄せられて結び付けられる結果となります。
 
 手書きのイラストで、愛想が無い点はご容赦ください・・。
 原法だと刺入から結索まで2手ですが、この方法だと5手です。多少手間は増えます。
 メリットとしては、

1)糸はすべて最初から粘膜下に埋没するので、露出した糸による初期の刺激が少ない。
2)瞼板と挙筋瞼膜との結索は水平2点で行われるので、うまくかかっていれば、「切る手術」のタッキング縫合とまったく同じ結果となる(切る手術と同じことが切らずに出来たことになる)。
3)水平2点で縫合することにより、原法でみられる粘膜のV字谷型のひきつれが生じず違和感が少ない。


 といったことが予想されます。
 
 デメリットは、
1)3)の裏返しになるが、糸が最初から粘膜下に埋没し、縫合部のV字がわかりにくくなるので、糸を外したいときに、縫合部が見つけにくい。

 点が予想されます。

 それで、早速やってみました。もちろんお客様でではないです。知人、っていうか、うちのクリニックのインテリアコーディネーターのひとです。開業のときからお世話になっています・・まあ、それ以前からの知人ではあるのですが。
 うちのクリニック、いらしたかたはご存知かと思うのですが、内装や調度品、安らぎ感あります。すべてこの方の作品です。会社はこちら
(株)フォーラム
・スタッフ紹介(本人の顔写真あり)
です。よかったら、仕事あげてください。最近は建築不況でたいへんみたいです・・。うちのクリニックにしょっちゅう遊びに来て(「目袋取りその3」に出てくるメガネのスタッフは彼女の中学の同級生)、気さくそうなお客様に「きれいなクリニックでしょう?わたしの作品なんです!」と言って、営業してるので、お会いになったことある方もいるかも。

術前
 左目(向かって右)が下がってます。目瞼下垂のひとって、気をつけてみていると、世の中結構多いです。)

 術直後(てか、さっき、遊びにきたんで「ちょっとやらせてくれ」と頼みこんで、やったばかりですが・・。)

 やってみた感じとしては、手間はそんなに苦にならないです。術後の違和感(ゴロゴロ感)は少なそうです。しばらくは、知人の紹介患者さんとかで症例を重ねてみます。違和感等で糸を外したいときに、ちゃんと見つかるかどうか不安なので、一般のお客様への施術は少し先になるかと思います。

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 肩の凝るはなしが続いたかもしれないんで、音楽おひとつどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=tx9h9rGDwik
 
これは、わたしが小学生の頃に封切りの映画のテーマソング?なんですが、ラジオで聞いて、子供心にとても印象に残って、当時父親のオープンリールのテープレコーダー(まだカセットテープなんて無かったころです)を借りて録音して、繰り返し繰り返し聞いていた曲です。
 マイナーな映画だったんで、長いことDVDも出なかったんですが、二三年前に発売されました。ところがなんと、人気のあったこの曲はどこにも収録されていないという、実に不思議な話です。版権の問題でもあったんでしょうか?
 当時のドーナッツ版のレコードは、YAHOOオークションで1000円で入手できたので、デジタル化してyoutubeにupして、世界の方々に「誰かこの曲について知りませんか?」と2年前から尋ねているのですが、まだ詳細わかりません。ドーナツ盤には「ベルト・アンデルセン楽団」ってなってます。
もしご存知のかたいたら、教えてください。
 この曲を聴いてたのが12歳の頃で、「ああ、これから自分の青春が始まるかも」と胸をときめかせていたら、父親の趣味で中高一貫の男子校に入れられて、暗黒の時代が続きました。人生やりなおせるものなら、とりあえず共学の中学高校に行ってみたかったなあ・・。