レーザーカーボンピーリングについて


 レーザーカーボンピーリングについてまとめてみます。

 くすみ・小じわ・たるみ・毛穴・しみ(美白)、といった症状に、まんべんなく、微妙ではありますが、効果がでます。
 どうして、そういった効果が出るのかを、メカニズムの点から、もう少し解説してみたいと思います。

 まずは「くすみ」について。
 表皮は、いちばん下に基底層という細胞があり、これが、だいたい4週間ほどかけて、上へと分化していって、角質になります。「しみ」や肝斑は、基底層の細胞がメラニンを蓄えて生じます。基底層にメラニンを多く蓄えた細胞が多いと、その上のほうの角質も、メラニンの多い角質になります。


 角質も、メラニンを持っています。ただし、下の方にあるしみがくっきりと境界明瞭でも、角質まで行く間に、細胞がまわりに広がって散らばっていきますから、角質レベルでは、ぼんやりと薄い茶色のムラということになります。これが「くすみ」です。

 レーザーカーボンピーリングで、カーボンを塗る理由は、二つあります。

 ひとつは、深さの問題です。
 カーボンを塗らずに、レーザーをただ当てるだけですと、角質は色が薄いので透過しやすいです。 浅いところは透過して、深いところでエネルギーを出します。
 しかし、カーボンを塗ってからレーザーを当てますと、レーザーは、黒いものに反応して、エネルギーに変えるので、角質表面のすぐ外側で強いエネルギーが生じます。すると、角質同士の結合に、ひびがはいってゆるみます。
 エネルギーの伝わる深さが、浅くなった、ということです。

 レーザーカーボンピーリングのあとには、必ずビタミンCのイオン導入を行うことにしていますが、この角質同士の結合にヒビが入った状態で導入を行うと、導入の効率がいいです。

 ビタミンCというのは、電気的にマイナスの電荷を帯びておりまして、皮膚表面の角質も、マイナスに帯電しています。ですから、反発しあうので、ただ外用するだけでは、角質の下まで入りにくいです。それで、ビタミンCを塗った上から、さらにマイナスの電極を押し付けてやることで、導入効率を高めるのがイオン導入ですが、レーザーカーボンピーリングは物理的に角質にヒビを入れることによって、さらに導入効率を高めるわけですね。

 バリアゾーン(表皮)の一番上にある大きなオレンジ色の〇(中にー)は、角質の電荷を示します。 その下の矢印のついた小さな〇がビタミンCです。

 イオン導入のときには、具体的には、マイナスの電極に、ビタミンCの水溶液をコットンに含ませて、こするような作業をします。このとき、ビタミンCの導入効率が高まると同時に、角質にヒビが入っていた証拠に、面白いほど、角質が取れてコットンが茶色になります。

 「ピーリング」というのは「皮をむく」という意味です。似た施術にケミカルピーリングというのがあります。こちらは、薬品で角質や表皮を溶かすわけですが、濃度や作用時間を間違えると、赤くただれます。しかし、カーボンとレーザーを用いたカーボンレーザーピーリングなら、機械的・物理的な反応を利用しますので、このような間違いは起こりません。ケミカルピーリングより安全です。なおかつ、後述しますように、ケミカルピーリングには無い、良い効果もいろいろあります。

 次に、カーボンを塗る理由の二つめ、分布についての解説をします。

 カーボンを皮膚に塗りますと、皮膚のへこんでいるところ、すなわち、小じわや毛穴に、カーボンは厚く入ります。
 その上からレーザーを当てますと、カーボンが厚く入っているところで、レーザーはカーボンと反応して強いエネルギーを出します。

 カーボンを塗らずに、ただレーザーだけを当てますと、毛穴や小じわといった凹みは、陰になっているので、レーザーが入りにくいです(レーザーは光です)。

 したがって、カーボンを塗ってからレーザーを当てるということは、凹みの部分に、とくにエネルギーを強くかけてやる、すなわち、エネルギーの分布を、カーボンを塗らない場合と反対に、逆転させてやる、という意味があります。

 これが、カーボンを塗ったレーザーピーリングのほうが、毛穴・小じわに効きやすいという理由です。また、小じわが引き締まることにより、皮膚全体の「たるみ」も若干改善します。

 さて、以上で、カーボンを塗ってからレーザーを当てる二つの意味、「深さ」と「分布」について説明を終えました。

 もうひとつ、カーボンレーザーピーリングには、カーボンを塗らずにレーザーをあてる「レーザーピーリング」様の効果もあります。それは、カーボンを塗ってからレーザーを当てるといっても、カーボンを焼き飛ばしたあとの皮膚にも直接、レーザーが当たっているからです。

 カーボンを塗らないレーザーピーリングでは、エネルギーは、基底層から真皮までの深いところに主に届きます。もっとも、そのエネルギーは、しみをかさぶたにして取ってしまうほど強くはありません。しかし、少しではありますが、メラニンを分解する働きはあります。それで、月一回繰り返すことによって、少しずつ少しずつ、しみを含めた肌全体が白っぽくなっていきます。
(カーボンを塗ったレーザーピーリングでは、上で記したビタミンCの導入による効果もあります)

 真皮に届くことによって、コラーゲン産生を高め、引きしめ・引き上げにも若干の効果を示します。もっとも、これらは、ラジオ波を使った高エネルギーを真皮に届ける器械には及びませんが。まあ、おまけ的な効果という感じです。

 ですから、カーボンを塗るレーザーピーリングの長所というと、やはり、くすみや毛穴・小じわということになりますね。ただし、月一回の施術を繰り返していて、実際に皆さん、実感として喜ばれるのは「美白」や引き締め・たるみへの効果のほうみたいです。くすみは、その時きれいに取れても、4週間たてば、また角質は増えてきますし、毛穴は、元来生理的に存在するものなので、浅く小さくはなりますが、無くなりはしないからなのだろうと思います。
(2008年1月31日記)